修復作業2
スリープモードを解除するための下準備は済んだ。あとは損傷したパーツを取替えるだけだが、その作業が一番の手間となるだろう。
「お待たせしました、現在ケミネ姉さんが動作制御システムの作成に取り掛かっています、完成まで少々時間がかかると……」
「あの子なら半時間で十分でしょ、それよりもよほどあの人間が大切だったのね、どうすれば強化骨格がここまで変形するのか聞かせてもらいたいところだわ」
ガンマの体に接続されたモニターに移る強化骨格の映像を見て嘆息する、百年と少し生きてきたが、ガンマがここまでのダメージを負ったのは何十年ぶりだろう。
「まぁ、ガンブレードを持っていかなかったのは幸いだったわね、下手すれば最大出力で街をなぎ払い、反動で再起不能になっていた可能性を考えれば……」
スリープモードで静かな寝息を立てる弟の髪を優しく撫でる。
無茶した事については叱らなければならないが、完全な暴走を引き起こし、ギアとならなかったのは褒めてやるべきだろう。
「さあ、そろそろオペを始めるわよ、レイも手伝ってくれるわよね?」
首を縦に振ることで答えるレイ。
素直ないい子だ。
「悪いけれど、記憶チップは操作しないわよ。悲しいでしょうけれど老夫婦との思い出は一生覚えて生きていきなさい。それがあなたの供養となるわ」
眠り続けるガンマに囁き、寝息を立て続ける愚弟のオペを開始した。