撤退準備完了
『以上がAIアリスからのメッセージです』
ガンブレードの言葉にガンマの膝が折れる。
プログラム魔王で感情は消せたと思ったが、やはり完全ではないようだ。なぜ完璧なプログラムを作ってくれなかったのだろう、完璧なプログラムであれば、ここまで苦しい想いをせずに済んだのに。
『それと物資の搬出が済んだようです、至急撤退を』
「いや、もしかすると母さんの記憶チップが残っているかもしれない、それを回収しなきゃ……」
残っているはずがない。あれほどの爆発ではチップはもちろん、体の残骸すら残されてはいないだろう。
しかし、それを受け入れてしまえば更なる悲しむがやってくる、ガンマはそれを恐れたが、状況はそれを許してはくれないらしい。
『気持ちはわかるけど、今はそんな場合ちゃうねん! レイからの報告や、空中から地下ごと吹き飛ばす爆弾がスタンバイされてるそうや、ほんま人間どもはクズばっかりやで、自分らの居場所消し飛ばしてでもうちらを消したいらしい。そやさけ早く!』
レイが見た輸送機には、都市部はもちろん地下を吹き飛ばして有り余る威力の兵器が積まれているらしい、それならば地下に戦力を送り込んだのは足止めの為だろう、敵の誤算はこちらが予想以上に早く敵戦力を片付けたのと、基地の破棄と撤退を決めたことだろう。
「わかった、今すぐ撤退する。地下ルートの破壊準備は?」
『万事抜かり無しや、兄貴が撤退したらすぐにでもぶち壊したるで』
「オッケー、後は頼んだぞケミネ」
通信を切り、戦場に背を向け基地内に入り、地下通路のカタパルトに足を固定し、射出ボタンを押す。
その間、ガンマが考えていたのは、母や姉のことではなく、人間の殺し方だ