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アクト・ファミリア  作者: カミハル
開戦と魔王
14/50

母、出撃

『地上にてガンマさんがプログラム魔王を発動させたのを確認しました、次いで地上から地下へと通じるエレベーターが大破』

 司令室で書類整理を進めるヤクモの指輪が報告――指輪に搭載されたデバイスAIがガンマの情報を教えてくれる。

「ありがとうアリス……よほど辛かったのね、自分から発動させて全てを忘れさせるほどに……」

『それを理解した上で地上に向かってくれたのですから仕方がありません。それよりも三番ゲートにて熱源と震動を確認しました』

 アリスに言われてパソコンで地下情報を呼び出す。

 この施設から五キロ離れた三番ゲート――人間には非公式で、ギアを討伐する際に使用していたゲートだ。

『数は五千、市街都市部の八割強の戦力を投入してきたようですね』

「となると、地上のガンマは無視ってことね、相手は短期決戦狙いってところかしら」

『そのようですね、やはりいくつか見慣れない武装もあるようです』

 ため息を一つ吐き、ゆっくりと立ち上がる。

 現状で行動を起こせるプロトタイプは自分一人のようだ、わかってはいたが。

「アリス、選定通信でシャイン、ケミネ、レイ、ガンマ以外に通信、あたしが前線に出るわ、それぞれプロトタイプの作業を補佐している者以外は全て召集し正面広場に呼び出して。わかっていると思うけど、子供たちには内緒よ?」

『わかっています、情報能力に特化したあなたのデバイス、アリスを侮らないでいただきたい』

 指輪の石が光ると同時、瞬時に選定されたアクトに通信が飛ばされた。

『現在、地下に人間の部隊が侵入、この通信が聞こえている者はすぐさま正面広場へ急行してください。また、本作戦において、シャイン様、ケミネ様、レイ様、ガンマ様は参加せず基地移転任務を優先行動として動いていただきます、くれぐれも皆様に情報が漏れないよう、各々の迅速な行動を期待します』

「ありがとうアリス。それじゃあたしたちも久々に武装してがんばりましょうか」

 クローゼットから取り出す二丁の銃。

 グリップにセンサーが搭載され、ヤクモのエネルギーを弾丸にして撃ち出す。ケミネとシャインが三十年前に母の日にプレゼントにくれたものだ。

「できれば、使わずにいたかったわね」

『あなたは使わずに保管して愛でるタイプですからね、見かけによらず』

「一言多いわよ」

 真っ白なロングコートを羽織り、内側にたくさん作られた内ポケットにありったけの充電器をねじ込む。

 コートがエネルギーを回収し、ヤクモに送ってくれる、これはガンマとレイが三十年前の誕生日に贈ってくれたものだ。

『皆様の気持ちは――』

「全部背負ったわ、一人じゃなく家族みんなで戦いに行くわよ」

「かしこまりました、マスター」

 装備を整え、司令室を出る。

 下手をすればこれが自室の見納めになるかもしれないが、子供たちにもらった想いがあれば惜しくは無い。

(かならず家族を護って見せる!)


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