第八話『服屋の店主』
その後、ロジェさんが抱きしめられている私から女の人をひっぺがしたかと思うと、私の方を見て、
「忘れてた。ごめん。あの人が、したの、あいさつの一部。大丈夫?」
「だ、大丈夫です。」
そういうとロジェさんは安心したように息を吐いていた。その光景を見ていたであろう女の人は知らない言葉を話している私たちを興味津々そうに見ていた。
女の人はとっても美人さんでモデルと言われてもおかしくない風貌をしていた。金髪の髪に、薄い紫の瞳で私よりも背が大きく165cmはありそうだった。
先ほどはびっくりした衝撃で何も考えていなかったが、こんな綺麗な人に抱きしめられていたのかと思うと顔が熱くなってきて、照れてしまった。
そして女の人はロジェさんに話しかけていた。
「ジェ・ロジェ!*****、****!」
「…****。***。」
「…****!」
先ほどはうまくロジェさんの前に何を言っているのか聞き取れなかったが、今回はうまく聞き取れ「ジェ」と言う発音は前に入るのだなとこれはきっと、〇〇先生みたいな相性だろうと考えていた。
すると、いきなりこちらに話が回ってきたそうで、女の人が声をかけてきた。
「ティレ・モルケ!**、*****、****!***!」
と挨拶以外は聞き取れず、
「…ティ、ティレ・モルケ!」
とだけ返し、ロジェさんの方を見ると、女の人に呆れているようだった。ロジェさんは
「話す、ない、説明した。けど…。ごめん。」
と言われ、とても落ち込んでいるので、
「謝らないでください。大丈夫です。」
と言った。ロジェさんは笑顔を浮かべて、先ほどの女の人が言ったと思われることを教えてくれた。
「この人は、ここ、服のお店の、人…?一番上の人?」
「店主のことですか?」
「店主?店主、たぶん。彼女の名前は、ディーヴ・レチアノール。」
「ディーヴさん。」
女の人の顔を見ながら、そういうと女の人は笑顔になった。そして、ディーヴさんは私の頭を撫で回した。
ー…恥ずかしい!
美人には会うだけでも照れてしまうものである。
「***?」
「名前、聞いてる。」
とロジェさんはディーヴさんの言っていることを代弁してくれた。
「浅川凛。凛です。」
と言うと、ディーヴさんは「リン!」と笑顔で返してくれた。そしてロジェさんは
「店の中、見る?」
と聞いてきたため、私は全力でうなづいた。
店の中はとても質素な感じであったが、同時に暖かみがあった。ズボン、シャツ、セーター、ポンチョ、コートやさらに下着などもおいてあってかなり充実しているようだった。
全体的に厚手の服が多く、半袖などはなかったため、年柄年中寒いのかと考えもするが、今が冬の可能性もあるのかと考えていた。
全体的に女性的なデザインのものが多く、私に合わせてロジェさんはお店を選んでくれたようだった。
ロジェさんはディーヴさんから受け取った麦わら帽子に使われているような草で作られた籠を私に渡し、気に入ったものがあれば、ここに入れるように言ってきた。
私は店の中を巡って色々と考えていた。私自身、お金は持っていないので、ロジェさんのお金で支払いとなるため、必要最低限に収めようと考えていた。
ーとりあえず、下着は何とかしないといけないよね
ーあとは、服。洗濯ってどのくらいの頻度なんだろう?
「ロジェさん。」
ロジェさんを呼ぶと、ディーヴさんと話をしているのが目に入る。ロジェさんはすぐにこちらに気づいてくれたようだ。
「ロジェさん。服を洗うのは、どのくらいでやりますか?毎日ですか?」
と聞くと予想外の答えが返ってきた。
「下着は毎日、他の服は、七日で一回。」
ー…七日で一回!
七日で一回という衝撃に耐えながら、服は寒いからあまり汗もかかなそうだしと思い予備を含め上下で四着ずつと下着は三着ほど選ぶことにした。それをロジェさんに持っていくと、びっくりされ、
「もっと、大丈夫!**レチアノール!」
というとディーヴさんは奥からいろんな服を出してきていた。どうやら私に着てほしいとのことであった。




