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第八十話『学校へ』

汽笛の大きなボーっという音が鳴り響き、船が港へと到着する。小さな部屋の窓から外を眺めると色とりどりの賑やかな街が現れた。街の人たちの様子をみると、商人の人たちが多いが、小さな子供たちがはしゃいで、荷物の周りで遊んでいるのが目に入った。 


「降りよう。」


そう言ってロジェさんは、荷物を持って部屋の扉を開ける。忘れ物がないことを確認した後、カジェタノさんと一緒に荷物を持って、船から降りた。新しい土地はとても新鮮な感じがする。海の匂いがするところは出航した港と変わらない。しかし、人の空気感が全く違うと感じた。モリ・ハルドの子供たち賑やかさが伝わってくるようだった。


「ここが、バルレッド。」


とロジェさんは辺りを見渡しながらそういった。そして、カジェタノさんはロジェさんに


「***?」


と聞くと、ロジェさんも


「***。」


と返した。ロジェさんは私の方を見て


「私は、久しぶり、だから。懐かしいと、思った。」


と話してくれた。


「学校はバルドゥインと、いう。一番、古い、学校。向こうのほうに、ある。」


とロジェさんは奥の丘のほうへと指をさし、言った。向こうの方と言われた方を見てみると、確かに丘の向こうに大きな時計台のようなものが頭を出している。そこまでの道は上に雨除けのような天井があるわけではないが、日本でいうところの商店街のような風貌を纏っている。


学生なのだろうか。黒色のローブを羽織った人たちが何人かいる。中学生に見える人から大学生に見える人まで様々な人がおり、学校というのは日本でいうところの中高一貫校で大学付属みたいなところなのだろうかと思った。


歩き食べをしている人が多くいたが、朝ごはんを結構ガッツリ食べてしまったので、あまりこれ以上食べる気にはならなかった。周りの人たちが驚いたような目つきで私たちの方を見てくる。その視線の多さに少し怖がっていると、ロジェさんとカジェタノさんがその視線から守るかのように私のことを囲ってくれた。


バルドゥイン学校?に着いた。学校、いや大学よりもでかいかもれない建物の大きさに驚愕としていたが、ロジェさんやカジェタノさんがどんどんと中に入って行くので、必死になって着いていく。そのことにロジェさんが気づき、歩く速度を緩めてくれた。カジェタノさんがロジェさんと話をしている。


「***、*****。」


「***!」


「****、**!*****!*****。」


「****。*****。」


その会話に漠然と耳を傾けながら聞いていた。カジェタノさんと出会ってから、三日程度一緒に行動しているが、まだ発音が聞き取れない。ポリット語はもしかしなくても日本語とかなり近い発音だったのではないかと思うほどである。もしかしたら英語の発音と近かったのかしれない。ポリット語は頭の中で英語を表す時に用いるアルファベットで理解していたけれど。


そう思いながら、会話に耳を傾け、英語でなんとなく理解できないだろうかと思考を巡らせてみるが、全くできなかった。


(そんなうまく行くわけないか……。)


と半分諦めたところで、ロジェさんが話をした。


「リン、先生に、挨拶する、から、一緒に行こう。」


「先生ですか?」


「うん、私の、大事な先生。」


とロジェさんは真剣な顔をして言った。さらに言葉を続ける。


「リン、に知ってほしいこと、がある。私とカジェは、漢語を一緒に、研究した。えっと……、昔の言葉、研究するは、この世界、で、一番すごいこと。」


「そうなんですか?」


「そう、だから、えっと……リン、驚かないで。」


「えっと、何に……?」


「対応?が、すごいかも。」


「なるほど……。」


この世界では、古代言語学というのは最高位に位置しているということだろうか。日本でいうところの医学部みたいなものだろう。それと対応が関係しているということは、お偉いさんみたいな対応かもしれないけど、驚かないでね的な意味合いだろうか。


そんな説明を受けていると、ロジェさんとカジェタノさんの後ろにウズウズと話したそうにしている女性の姿が目に止まった。


「あの、後ろ、」


とロジェさんに伝える間もなく、その女性が、目を輝かせて、ロジェさんとカジェタノさんに方へめがけてとんでいくのかと思いきや、私の方へと飛んできていった。


「***!?」


と目をさらに目をキラキラさせて、私にたづねるため、驚いていると、ロジェさんが言った。


「女の子だから、びっくりしてる。」


と言われて、そういえば、ここにくるまでの道のりで女の子を見なかったことを思い出した。

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