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第七十一話『蒸気機関車』

 「rinn, caje!きっぷ買ったよ。**。」


とロジェさんが帰ってきた。 


「お帰りなさい。」


「******!」


と私とカジェタノさんは反応する。ロジェさんは右手に3枚の切符を持っていた。その切符をロジェさんが私とカジェタノさんに渡した。相変わらず、この世界の文字は全く分からない。その切符には多分、この場所と行き先が書かれているのだろう。矢印でその二つの文字が繋がれていた。


「じゃあ、電車まで、行こう。」


そう言って、ロジェさんはベンチに置いていたロジェさんのトランクと私のトランクまで持ち始めた。私が慌てて、


「持ちます!」


と言ったが、ロジェさんは


「大丈夫。リン、私が、持ちたい。」


と言ってきた。ロジェさんのその言葉に私は否定することができず、ロジェさんに


「……ありがとうございます。お願いします。」


というと、ロジェさんはその言葉に微笑んで、


「どういたしまして。」


と言った。ロジェさんとカジェタノさんの間に入り、駅のホームまで歩く。駅のホームも広く、高校の最寄駅も人は多いが、それとは比べ物にならなかった。こんなにも大きな空間なのにも関わらず、混んでいると感じるのは不思議な感じがする。18世紀頃の服だろうか。服の歴史を学んでみても面白かったかもしれない。


(教科書の絵の中に入り込んだみたい……)


異世界にきたというよりもタイムスリップをしたという感じがした。最初この世界に来た時にもタイムスリップしたのではないかと考えたこともあったので、その感覚はあまり間違っていなかったのかもしれない。


(本当に元の世界と似てるんだなあ……)


そんなことをロジェさんとカジェタノさんの間に入りながら思った。駅の天井がとても高い。下はツルツルした石、大理石のようなものでできていて、駅の中心は羅針盤のような模様になっている。駅の横の壁はとてもよく凝っている。色々な形の彫刻があり、中でもやはり鳥のものが多いように感じた。


そもそも、ここはモリ・ハルドなのかも分からないが、鳥は一般的に美しいものとしてこの世界でも認識されているのだろうか。さらに、駅の壁に窪みのようなものができていてそこに壺や花瓶のような芸術品も置かれていた。まるで駅全体が美術館のようだった。


 駅のホームまで来て、ロジェさんの言っていた電車の正体がわかった。


「すごい……!初めてみました!」


(蒸気機関車なんて、教科書でしかみたことない!!)


その蒸気機関車は漆を塗ったような綺麗な黒色のボディをしており、入り口付近が高くなっており、本当に教科書に載っているものがそのまま具現化したような形をしていた。まさか蒸気機関車に乗れる日が来るなんて。


そう言って興奮気味にロジェさんにいうと、ロジェさんは少し焦った表情で


「……電車じゃない?」


と言った。私が


「私の世界では蒸気機関車って言うんです!」


とワクワクしながら言うと、ロジェさんは


「……そんなに、すごい?」


と聞いてきた。


「はい!教科書でしかみたことなくて!初めて実物見ました!本当すごいです!」


と言うと、ロジェさんは少し安心した顔をして


「リンが、嬉しいなら、良かった。」


と言った。ロジェさんはよく私が嬉しいなら良かったというが、ロジェさんがどう思っているのかいまいちよく分からなかった。でも、ロジェさんが嬉しいのであれば、私も嬉しくなるのでその気持ちは少しは分かるのかもしれない。カジェタノさんは、


「rinn, roje!**!」


と手を振っている。カジェタノさんは蒸気機関車の入口の方に立ち、私たちを呼んでいるようだった。


「私たちも、行こう。」


とロジェさんが言ったので、


「はい!行きましょう!」


と私はうなづいた。人生初の蒸気機関車に初めて乗るためとても緊張する。カジェタノさんが先に乗り込み、ロジェさんがカジェタノさんに私の荷物を預けて乗り込んだ。ロジェさんは私に手を差し出し、


「リン、気をつけて。」


と言った。私がロジェさんの手を掴み、蒸気機関車の脇についている手すりをつかむと、ロジェさんは私のことを引っ張り上げた。乗り込んだ時に思ったよりも勢いがあり、転びそうになったが、ロジェさんが支えてくれたので、怪我はしなかった。

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