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第五十九話『研究の理由』

 ロジェさんが本を読んでいる横で、私はジパングの本を開く。そのジパングの本はまたもや戦争について扱ったものであった。『戦争と社会集団論』と書かれた本には、どのようにして人は集団として戦争に参入をしていくのかというのが書かれていた。その本を読みながら顰めっ面をしていると、ロジェさんが、


「どうしたの?」


と聞いてきた。


「戦争に人々がどのように関わっていくのかという本でした。ジパングの本には戦争について語った、書いた本が多くて嫌になりますね。」


そう私がいうと、ロジェさんは、少し考え込んだ後、私に


「ジパングのこと、どのくらい、分かった?」


と聞いた。ジパングについての本はいくつか読んだのだが、主に戦争の本だ。あとは、いくつか新書のようなものがあり、図鑑や辞書などどちらかといえば、学問的な本に寄っていた。漫画や小説のようなものはまだ見たことがない。


「戦争をよくしていた国だったのかな…?ぐらいですね。まだ、読めていな文献、本も多くて。」


「戦争……他の古い国も、同じ。戦争の本が、多い。」


「そうなんですか?」


ロジェさんはその問いかけにうなづいた。そして少し寂しそうな顔をしている。ロジェさんのその顔を星空の下でも見たような気がした。ロジェさんは自身の持っていた本を置いたあと、


「古い国は、戦争で、なくなった。だから、戦争のこと、よく、書いて、ある。他の人が、こう言ってる。戦争の本が残るのは、戦争の中で、戦争のことが、大事だから。土の下に、大切に、保ち、たいから。だから、戦争の本が多い。と思う。」


確かに戦争の中で残しておきたいものといえば、文化財や古代文献も当てはまるのかもしれないが、国の技術それも戦争に関わるものであれば、残すというよりも隠しておきたいものだったかもしれない。土の下ということはシェルターみたいなものが土の中にでも埋もれているのだろうか。


「隠すため、というのもあるんですか?」


「そうかも。」


ロジェさんはまたうなづいた。また少し沈黙が続き、ロジェさんに思い切って話しかけてみる。


「そっそういえば、どうしてロジェさんはジパングの研究をしようと思ったんですか?」


「私が?」


「はい。」


ロジェさんがしばらく考え込んでしまったので、あまり聞くべきではなかったかもしれないと思ったが、そのあとロジェさんは私の質問に答えた。


「難しい。……私は最初、誰のしたこと、ない、こと、したい、したかった。」


「だから、誰もまだ研究していないジパングだったんですか?」


「うん。でも続けたのは、ジパングが最後の、戦争に、大きく、関わる、してそうだったから。」


「そうなんですか!?」


初耳である。しかし、自国の本にそんなことわざわざ書かないのかもしれないとも思ってしまった。


「うん、他の国の本から、分かる。そんな、大きな戦争、したくない。だから、私はジパングの研究をしている。戦争しない、ためのものが分かるかも、しれないから。」


「……なるほど。」


「もっというと、自由のため?」


「自由、ですか?」


「説明が、難しい……。歴史は、自由を、作るために、研究する、から。」


ロジェさんの信念が少し分かった気がした。ロジェさんのことについてまだ詳しくはよく分からないところもあるけれど、ロジェさんが今研究をしているのは、簡単にまとめると平和のためなのではないかと思う。


「ロジェさん!私ももっと協力しますね!」


ロジェさんの役にもっと立ちたいと思った私はロジェさんにそういうと、ロジェさんは


「ありがとう。」


ととても優しい笑顔で返事をしてくれた。


「そろそろ、寝ないと、明日、起きれない、よ。」


ロジェさんがそう言ったので、私も寝ることにした。


「おやすみなさい。」


「おやすみ。」


そうやりとりをして、ベットに入った。ロジェさんの心の中を少しだけ覗けたような感じがして、私はひどく嬉しいと感じた。

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