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第五十話『好き』

 星を眺めて、数時間経った頃、ロジェさんと一緒に街に帰る。街に帰る途中にあんなにあった蝋燭が全て火が消えていた。星が明るく輝いているのと、暗闇に目が慣れたためかあまり、暗いとは感じなかった。ロジェさんは白熱電球と思われる、ランプを持っている。蝋燭には鉄の蓋のようなものが被さっており、不思議な感じがする。


「蝋燭、全部消えてますね。」


とロジェさんに言うと、ロジェさんは


「燃える、が移ると大変だから。半分ぐらいで、消える。」


と言った。半分ぐらいで消えるのは鉄の蓋が何か関係しているのだろうか。疑問で見ていると、ロジェさんはその鉄の蓋を一つの蝋燭からとる。その鉄の蓋の下には指輪のように輪っかのようなものがついていた。


「これを、消す、したいところ、まで、つける。そうすると、蓋が、かぶるから消える。」


そんなものがあるのかと驚いた。ある友人が蝋燭が趣味だと言っており、一つ一個500円ぐらいのやつをもらった覚えがある。夜につけて香りを楽しむらしいが、結局寝落ちして消し忘れるのが怖くて、一度火をつけただけで、あとは火をつけなくなっていた。これがあれば、私でも夜につけっぱなしでも火事の心配をしなくても安心である。


こんな便利なものがあるのであれば、私も一つ欲しい。興味津々で見ていると、


「珍しい?」


とロジェさんから声をかけられる。


「はい!初めて見ました。」


と言うと、ロジェさんは意外だと言う顔をした。


「昔から、ある。どうやって、火をこう、消す?」


見てないで、消すにはどうするのか、と言うことなのだろうか。ここまで多くの蝋燭を消すには確かに手でやるのは大変だ。どうするのかと言われても、LEDが主流の時代に生きているので、蝋燭をそもそもつけること自体が少ない。しかも一気に大量につけないので、消し忘れることはあるけもしれないが、そこまで消すこと自体は手間ではない。


LEDだから、電気のスイッチを押せば消えるとか、ガスは火事になりそうになると、危険を察知して勝手に消えるとか、ぐらいしか言えることがない。


「そもそも、蝋燭自体が少なくて……今、ロジェさんが持っている、電球……少し違いますけど、電球が家の大きな、明るくするものです。だから、えっと……必要がないのかもしれないです。」


そういうと、ロジェさんはさらに驚いたような顔をしたあと、


「ジパングも、そうと、書く、ものがある。同じ、だと思う。」


と納得したように言った。


雪が降ってきた。ロジェさんはその雪を見て、また微笑んでいる。星の夜に降る雪は本当に幻想的だ。白い鳥であるティレの存在を思い出す。この白い雪にティレは似合うのだろう。まだ、雪を見てティレが来る合図と言う感覚はしないが、このモリ・ハルドの人たちはティレだけでなく、雪も楽しんでいる。それが、素敵だと思った。


ただ、雪が激しく降り始めたため、ロジェさんが


「急ぐ、いい?」


と言ったため、「はい!」と言って、少し早足で家に帰った。


 家につき、ロジェさんは暖炉に火をつける。帰る頃には雪で全身が濡れ、冷え込んでいた。ロジェさんはタオルを私に手渡した後、お風呂のお湯を引いてくれた。ロジェさんに先にお風呂に入っていいと言ってもらったので、先にお風呂に入らせてもらう。今日はいろんなことがあったと、お風呂に入りながら考える。


ミラのお手紙のこと、ディーヴさんからの贈り物、ロジェさんからも貰った。お祭りの雰囲気は思ったお祭りの雰囲気とは異なっていたが、私にはその方が居心地が良かった。今日だけでもこの世界のことについて思った以上に知ることができた。


ロジェさんにマフラーをつけた時、とても緊張した。でも、ロジェさんは嬉しそうにしてくれた。ロジェさんとした話でロジェさんは珍しく煮え切らないと言う表情をしていた。そのことだけが不思議でたまらなかった。


お風呂から上がり、「ロジェさん次どうぞ。」と言おうとしたところで、ロジェさんが暖炉の前で寝ていることに気づく、ロジェさんが寝ているところを見るのは初めてだ。そもそも、人前ではあまり寝ないタイプの人かと思っていたので、少し驚いた。それだけ、疲れていたのだろうか。星を見に行くことに気を使わせてしまっていたことが申し訳なく感じた。


好奇心からこっそりと起こさないように近づいてみる。ロジェさんの寝息を感じて本当に深い眠りについていることがわかった。ロジェさんは本当に顔がいいと思いながら眺めていた。ロジェさんの座っているソファの横に座ってみる。


「……ロジェさん。」


小声で呼んでみるが返答はない。ロジェさんへの最近のモヤモヤ。ロジェさんが笑うたびにこちらも嬉しくなり、この前は年頃のロジェさんのことが好きな女の子に嫉妬までしてしまった。最初は家族愛や敬愛から来ていると思い込んできた感情が最近では鮮明に違うとわかるようになっていた。


ロジェさんにはまだ直接言うことはしたくない。拒絶されてしまいたくないと言う私の個人的な欲求からくるものだった。


「ロジェさん。好きです。」


口にしてみると、ロジェさんは寝ているため聞いていないと言うことはわかっていても、顔が熱くなってきた。顔を覆っていると、ロジェさんが小さな声で「ん〜。」と言って目を覚ました。時間的に聞こえていなかったとしても、バレているのではないかと言う気持ちでいっぱいになった。


(こんなバカなことしなければよかった……!)


ロジェさんはそんな私の様子を見て、


「大丈夫?」


と声をかけた。多分聞かれていなかったのだろう。ホッとしたのも束の間、伝わってほしいと言う気付かれたくないと言う相反する感情に悩まされた。


「ロジェさん!上がったので、次どうぞ!!」


と悩みを吹き飛ばすように言うと、ロジェさんは不思議な顔をしながら、「ありがとう。」と言ってお風呂の方へと向かった。熱くなった顔を覚ますように顔を仰いでいると、


「リン?」


と声をかけられ、驚き、「はい!」と裏返った声で返事をすると、ロジェさんは少し笑った後、


「疲れる、した?おやすみ。」


と言ったので、私も「…はい。おやすみなさい。」というと、ロジェさんは満足したようにお風呂場へ向かっていた。私も早めに寝てしまおうと思い、暖炉で少し温まったあと、自分の部屋へと向かった。

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