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第四十話『当日』

 朝が明け、太陽の光で目が覚めるとなんだか外が騒がしい。寝起きのぼやけた頭で、なんだろうとぼんやりと考えていると、今日がティレのお祭りであったことを思い出す。


ーそういえば、今日だった。


昨日はあんなに楽しみで、明日遠足がある小学生みたいにウキウキしながら寝れなかったのに、朝になると、今日はティレのお祭りであるという実感が全くない。不思議だなとぼんやりと心の中で呟く。


眠たい目を擦り、布団から立ち上がる。台所の方にいくとロジェさんがもう朝ごはんの用意を始めているので、「おはようございます。」と挨拶をすると、ロジェさんも「おはよう。」と挨拶を返してくれた。


「私も一緒に作ります。」


というとロジェさんは「ありがとう。」と言って、「鍋、お願い。」と言って、木製のお玉を渡してきた。


最初はロジェさんは「大丈夫。」と言って私になかなかキッチンに立たせてはくれなかったが、最近ではお皿を出す以外にもお手伝いできることが増えたので、少しではあるが、ちゃんと役に立てていると感じる。


鍋の中にはクリームソースとキノコが入っており、火をつけて、焦げないようにかき混ぜる。ロジェさんは私の隣でニョッキを作っていた。ロジェさんは、若干料理があまり得意ではないのか、とても慎重に、集中して料理をしているため、あまり声をかけないようにはしている。


ロジェさんは新しい鍋を出し、お湯を沸かし始める。その中に塩を入れ、沸騰した後に、作ったニョッキを入れて茹でる。ニョッキは以前にもロジェさんの作ったものを食べたことがあるが、その時も美味しかった。もちもちしてそうで早く食べたい気持ちで、ニョッキの方を見ていると、ロジェさんが、少し笑って、「待ってね。」と言ってくるので、少し恥ずかしい気持ちになった。


ロジェさんは茹で終わったニョッキを一度ザルに移したあと、私に「いい?」と聞いてきたので、「いいですよ!」と答えると、ロジェさんはニョッキを私かかき混ぜているソースの中に入れる。そしてその上から、細かく刻まれたパセリを振りかけた。


もう、美味しそうである。ロジェさんはさらにバゲットを切っていた。絶対に合わせたら美味しい組み合わせであることは間違いない。日本のご飯も美味しいが、こっちの世界の料理は負けないぐらい美味しい。スープやシチューのようなものがメインでくることが多く、寒さにあまり得意ではない私にとってはとても嬉しい料理が多い。


「もう、大丈夫。」


と、ロジェさんが言ったので、火を止める。ニョッキとソースを取り出した木製のスープボウルに注ぐ。そして、テーブルに持っていく。蝋燭を灯し、「いただきます。」と言ってから食べ始める。バゲットに合わせて一緒に食べる、ニョッキのクリームソースはとても美味しかった。


ロジェさんの方が大抵、私よりも早く食べ終わってしまうので、私は後でお皿を台所に持っていくのだが、ロジェさんがいつも洗ってくれるので、申し訳ない気持ちになる。


「ロジェさん、お皿洗い、私がやります。」というとロジェさんは毎回決まって、「大丈夫。準備、して、いいよ。」と言ってくるのだ。それに大抵の場合はロジェさんの方が、準備が早いので、「ありがとうございます。」ということになるので、最近では、「お願いします!」と言って、お皿をお願いすることが多くなった。


 今日はいつもと同じ格好でも大丈夫なのだろうかと思いながら、鏡の前で服を合わせてみる。お祭りというのだから何かしらの格好をした方がいいようにも感じるが、よくわからないので、一旦服を着てみて、ロジェさんに聞いてみようと思った。


「ロジェさん、この服で大丈夫ですか?」


とロジェさんに聞くと、


「大丈夫、だと思う。」


と言われた。そして、


「髪、いい?」


と言われたので、「はい!お願いします!」と言ってソファに座ると、ロジェさんは私の髪を軽くハーフアップみたいな形で整えてくれた。神父さんからもらった髪留めも使ってくれたようだ。


「ありがとうございます!」


とロジェさんにいうと、笑って、


「どういたしまして。」


と返してくれた。ロジェさんへのマフラーとディーヴさんへのマフラーがそれぞれ包んであるプレゼントを持つ。いつ頃渡せばいいのかについてはさっぱりわからないが、とりあえず、ティレのお祭りで渡すということがわかっている以上持っておいていいだろう。ロジェさんも私が持っているプレゼントに特に突っ込まなかったので、多分お祭りの途中に渡すのだと思う。


 外に出るといつもとは違う光景にびっくりする。たくさんの蝋燭が並んだ街並みは圧巻だ。夜になればもっときれいなのだろう。


教会に行く道はいつもよりも人が多い。ロジェさんと一緒に街を歩く。


「いつもよりも、人が多いですね。」


とロジェさんにいうと、ロジェさんは、


「有名だから。たくさんの人が、くる。ここは北の方、だけど、南のモリ・ハルドは、物を売る人が多い。から、泊まりに、外からくる人もいる。」


色んな人種の人がいると思ってたけど、商人の街でもあるからってことなのだろうか。それを観にくるためにこの時期にくる商人さんもいるのだろう。


「今日は、たくさん、楽しむ。一緒に。」


とロジェさんに言われたので、私は「はい!」と返事をした。

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