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第三話『言語学者』

 私は日本語が通じないと思っていたので、呆気に取られていると男の人はまた日本語を話した。


「私は、古い、言葉、勉強、する、人。あなたは、どこ、来た?」


何となく意味が伝わってきた。どうやら、この人は言語学者のようだ。私がどうやってここにきたのか聞いているみたいだった。


ー古いって何だろう。


と考えることはあったが、とりあえず答えることにした。


「私は、日本から来ました。」


すると言語学者の人は首を傾げた。


「?、にほん?」


「はい!そうです!」


「聞く、ない。」


日本という単語が通じたまでは良かったが、日本という単語自体には全く聞き覚えがないようで、また言語学者の人は首を傾げていた。


しかし、日本語が通じたのが、嬉しくて良かったと安堵の気持ちが少し、芽生えた。気づいていなかったが、周りの人々が私とその言語学者のやりとりを面白そうに見ていた。言語学者の人が立ち上がり、ある軍人に話しかけた。


「***、******。」


すると周りの人々は「*!」「****?」「***、*?」などの様々な言葉を使っていたため、何が何だか分からなかったが、すごく驚いているということだけは伝わってきた。私がわけも分からず困惑していると、言語学者の人はまた何かを話した。


「****、*****?」


何か提案を投げかけたらしく、軍の人は、一瞬戸惑ったふうに見えたが、その後すぐに話はじめていた。


「***、****。」


「*****。」


成功したらしく、言語学者の人は笑顔でその交渉をしていたであろう、軍人の人と握手をしていた。そして、私の方を向いて、また目線を合わせて、話かけてきた。


「あなた、私、家、住む、いい?」


どうやら私をここではなく、その言語学者の家に住まわせるために話をしていたようだった。私は言語が通じるというだけで安心できると感じたため、首を縦に振りながら、


「はい!」


と言った。すると、言語学者の人は安堵の表情を浮かべ、


「今、行く、いい?」


と手を差し伸べてきた。私はそれに答えるように、手を言語学者の手に合わせた。すると、言語学者の人は手を握って私を引っ張り、ゆっくりと立ち上がらせた。すると、あることに気づいたのか、言語学者の人は軍隊の人に声をかけた。


 外に出るととても寒く、凍えるような寒さだった。言語学者の人は震えている私に気づいたのか、軍隊の人に話かけると軍隊の人が毛布をとってきてくれた。


「夜、寒い、掛ける?」


と言ってくれたため、必死にうなづいていると、毛布を優しくかけてくれた。そして、今の自分の服装に気づいた。


ーそういえば、上下スウェットのまんまだったなあ


そんなことを考えていると、先ほどまでいた建物の中から軍隊の人々が手を振ってくれたため、振り返した。


ーあったかい人たちで良かったなあ


と思い、余韻に浸りながら多分護衛と思われる軍隊の人二人と言語学者の人と一緒にどんどんと歩いた。先程の思い出したように会話をしていたのは護衛をつけてほしい話だったようだ。言語学者の人はずっと私の手を握ってくれていた。言語学者の持っているランプの光はとても暖かく感じられた。


 しばらく歩いていると街が見えた。そして、街のある一角の家に着くと、


「ここ、私の家。」


と言語学者の人が言った。家は3階だてのそこそこ大きな家であるふうに感じられた。おそらく石でできているであろう家の外見には年季が感じられた。


やはりヨーロッパ風の外見の家ではあると感じ、どちらかというと、外側に組まれている木の感じから、なんとなくドイツの建築を想像した。周りには花が植えられており、華やかになっていた。そこで、軍隊の人と別れ、家の中に入った。


 家の中に入って、一番大きな部屋を通り抜けた。大きな暖炉が一つあるのが目立ち、木製でできた家具がいくつも置いてあった。そして何より、そこらじゅうに本が散乱しているのが、目に止まった。そして奥の小さな部屋に案内された。そして、言語学者の人は言った。


「今晩、ここ、使う、いい?」


と案内された部屋にはベットが一つと、机、ソファなど様々なものが置いてあり、この地域はずっと寒いのか分からないが、たくさんのあったそうなモコモコした毛布やクッションが置いてあった。


「ありがとうございます。」


私がいうと、言語学者の人は


「ありがとう?****、どういたしまして。」


と返してくれた。


「今日、疲れた?休む、大事。寝る時、これ、消す、できる?」


と言われ、ベットの横の小さな机に先ほどのランプが置かれた。どうやら白熱電球のようなものらしく、スイッチを押せば、消えそうであった。


「できます。ありがとうございます!」


というと、言語学者の人は安心したような表情を見せて、木造の扉をギーという音を立てながら閉めた。私はその扉が閉じられた瞬間どっと疲労感を感じた。


ー疲れた。明日からどうなるんだろう。


と考えながら、ランプを消して、


ー明日から考えよう


とすぐに眠りに落ちてしまった。

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