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第二話『出会い』

 その後、拳銃から開放されたものの、いつか殺されるかもしれない恐怖でついて行くと、段々と先程の小屋よりも大きなものが見えてきた。


その部屋が近づくにつれて、人の話し声がその建物の中から聞こえてきた。扉の前までつくと、銃を持った男が扉に話しかけた。


「***!」


すると扉の向こう側から声がした。返答をしているようで、そのやりとりが何回かあった後に、扉が開き、入るように誘導された。


すると、扉の向こうの人たちの目線が、一斉に私へと刺さった。やはりよそ者だからかもしれないと思っていたのも束の間、注目のされ方が、珍しいものをみる目線ではなく、睨みつけているような目線であることに気づき、体が動かなくなった。とても冷たい空気だった。


ー何か私の外見で怖いところがあるのだろうか。何かダメなことをしてしまったのではないか。


そのようなことを考えながら、その場で固まっていたが、私の後に入ってきた男が


「***、****、*******。…****。」


何かを説明すると、周りの睨みつけていた表情が一変し、安堵のため息と物珍しいものを見る視線へと人々の行動が変わった。中にはとても驚いた表情をしている人もいた。


その男の人が何かを説明してくれたのだと思い、感謝したいと考えていたのもの言葉が分からない。しかし、ありがとうの気持ちは伝わるものなのだろうかと思い、


「ありがとうございました!」


と言い、お辞儀をすると、感謝の気持ちが伝わったらしく、笑顔を返された。


 その後、ソファに誘導され、温かいココアのようなものをもらった。周りの人たちは私のことをだいぶ子供であると思っているらしいのか、先ほどの冷たい空気は何だったのかというぐらいの変わりようで優しくしてくれた。しかし、私は言葉が分からないという恐怖からは何とも言いようがないものが湧き上がってきた。


ーこのまま帰れなかったら


そんなネガティブなことを考えてしまう自分が嫌なのだ。


 しばらく経って、この軍隊の人々に保護されてから数時間が経ったように思われる。窓の外を見ると陽の光が落ちて、周りは暗くなっていた。


すると、扉からノックの音がした。また、先ほどの通り、何らかのやりとりをし、誰かがランプを持った軍服の人と一緒に入ってきた。


長袖の灰色のシャツの上に長い黒のロングのコートを羽織ったとても背の高い男の人が入ってきた。周りの軍人と比べれば、5cm程度の差ではあるが、私にはひどく背が高く感じられた。周りの人々と同じように金髪で青色の瞳をしていた。


そして明らかだったのがこの男の人は軍人ではないということだった。その男の人はある軍服の人に話かけていた。


「***、*******。」


「*****、****。」


ある軍服の人は私の方に指をさし、言った。するとその男の人は私に近づいてきた。そして、ソファに座っている私に目線を合わせるように、片膝を床につけた後、


「***?」


といい、私に何かを話して欲しいのか、ジェスチャーで口の前に手をやり、五本の指をくっつけては前に離す動作を行ってきた。私は、恐る恐る


「…こんにちは。」


と声を出した。するとその男の人は目をまんまるにして驚いた顔を見せたかと思ったら、


「こんにちは。」


と返した。発音の仕方が、少し違うようにも感じたが、私がこの世界に来てから初めて聞いた日本語であった。

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