第二十七話『ティレのお祭りについて』
その後、ゲルーノくんたちと同じくらいの子たちにロジェさんが教えた後、私はディーヴさんに捕まっていた。ゲルーノくんは先に帰ったようだった。
ロジェさんは少し他の子達と話しているようだ。ディーヴさんは私が一人になったところに来たので、ディーヴさんがなんの話をしているのかについてはさっぱり分からないけれど、ディーヴさんはそれでも大丈夫なのだろうかと思っていると、ディーヴさんが、
「リン!was motest zer ****?」
といった。
「えっと、」
ディーヴさんが何を言っているのかはさっぱり分からない。すると、ディーヴさんは私が分からないことに気づいたのか、私が知っていそうな単語を使いながら、ジェスチャーで何かを始めた。
「kirutto」
と言いながら、服を指さし、
「kirune」
と言いながら、首元のマフラーを指さし、
「kiruhed」
と言いながら、ディーヴさんが手に持っていた手袋を指さし、
「kiruherud」
と言いながら、頭の毛糸で編まれた帽子を指さして、最後に
「was motest zer toreten?」
と二つの棒を持って何かを編む動作をしながら聞いてきたので、「何を編みたいか?」ということなのだろうかと考える。もし、その予想があってしたとして何でなのだろうという気持ちが湧いてきた。
とりあえず一番簡単そうな、マフラーにしようかなと思い、
「kiruen」
と答えると、ディーヴさんはニコニコしながら、「***!」と何かを言った。他の子達と話終わったのか、ロジェさんが来て、私の方を見て、ディーヴさんを見た後、私に
「どうしたの?」
と聞いてきた。ロジェさんに
「何を編みたいか?みたいな話をしてました。」
というとロジェさんは少し不思議そうにした後に、納得したような顔をした。そしてディーヴさんと何か会話をしていた。ディーヴさんは先ほどの私との会話をロジェさんに説明しているようで、ボディーランゲージとして編む動作があったので、多分、マフラーを編む話かなと思っていると、ロジェさんが私に
「マフラー、編む、したい?」
と聞いていたので、やっぱりそういう意味だったんだと思い、うなづくと、
「誰に、あげる?」
と聞いてきたので、どういうことだろうと思い、
「誰に、ですか…?」
と聞くとロジェさんはハッとしたような表情をした後、ディーヴさんにも何かを話していた。すると、ディーヴさんもハッとしたような顔をしていたため、なんだろうと思っていると、ロジェさんが
「リン、ティレの、お祭りの話、知らないから、分からない、ごめん。」
と言われたので、いきなり編み物を編むという話はなんだったのだろうということが、お祭りにちなんだ話だったのかと少し納得した。
「今日は、ティレのお祭りの、30日前、だから、用意する。」
「用意ですか?」
ロジェさんはうなづく、
「ティレのお祭りの日、大切?な、人に、ものをあげる。だから、レチアノール、編む、する?聞いた。大切、な人に、あげるため。」
なるほどと思い、うなづきながら聞いていた。30日後にティレのお祭りがあって、その日には何か物をあげるらしい、だから、ディーヴさんは何か編むという話を私に持ちかけたし、ロジェさんは誰に贈るのかということを聞いてきたようだった。
「…私も参加していいんですか?」
私みたいな、外部の人間が参加していいのかはとても疑問だったため、ロジェさんに一応聞いておこうと思った。ロジェさんがその質問の意図がつかめないというように不思議そうな顔をしたので、
「えっと、私は別の世界から来たのに、地域?モリ・ハルドのお祭りに参加、じゃなくて、一緒に、やっていいのかなと思ったので、」
というとロジェさんは
「一緒に楽しむこと、大事!」
と言ってきたので、お言葉に甘えて私も参加することを心に決めた。そしてロジェさんに、
「morke!」
というと、ロジェさんも隣にいたディーヴさんも嬉しそうにうなづいていた。




