第二十六話『リベンジ』
ロジェさんが黒板の前に立つ。ロジェさんが、何かを話し始める。相変わらず何を言っているのかは分からない。ただ、私も少しだけはポリット語が聞き取れるようにはなっていた。
「cye, uii mote ***、*****!」
子供たちはロジェさんが何かをいうと、不思議そうな目を向ける子や面白そうな目で見る子など多種多様な反応が見られた。ロジェさんはその反応を見て、ルールのようなものを説明し始めた。
「***、****。uii geste was yht ***、zeer *** lire! ***?」
多分、「私がカードを見せたら、はい!と言って答えてね」的な感じではあると思う。子供たちは先ほどからワクワクしているような好奇心旺盛な目でカードの方に注目しているので、いい感じなのではないかと思っていると、ロジェさんが
「was yht des!」
と問題を出し始めていたので、どうかなと思っていると、子供たちが黒板に書き出して、
「「「lire!!」」」
と手を挙げ始めたので、ロジェさんは嬉しそうな顔をしていた。ロジェさんはある子を指すと、その子は自信満々に、
「regener!!」
と言った。
(regenerでりんごなはず…)
と思いながら、私も子供たちが答えているところを見ながら、考えてみる。ロジェさんが
「doii!!」
と言っているので、正解だったとと思う。ロジェさんがそう言ったところで、周りの子たちが拍手を送っている。そして「doii!」「…uii **。」「***。」と言っており、すごいと褒めているような子もいたし、悔しがっている子もいたし、次頑張ろうと黒板を握っている子もいた。
そして、次々と問題が出されていく、子供たちは頑張って答えているし、ロジェさんもとても楽しそうだ。
これはwiernerでぶどう。これはirenerでトマトなはず…。と考えながら見ていた。授業を見ていながら、今まで、気づかなかったことが見えてきた。子供達が間違えることについて怖がってなさそうということである。
間違っても、周りの目線は冷たくなはいし、その子自身もすぐに次の問題ですぐに手を挙げるということをしていた。若干不貞腐れてそうな顔をする子もいたけれど、その子も同じように次の問題になったらすぐに手を上げていた。
私は昔からずっと間違えるのが怖くて手を挙げるのが億劫になっていたから、ここの子供たちが羨ましいと感じてしまう。「なんで答えられないの?」という顔をされるのが怖くて、ずっと答えられなかった。
(私もロジェさんに教えてもらいたかったな)
と思うぐらいには子供たちはかなりリラックスというか、怖がらずに授業を受けれている気がする。
ロジェさんが
「**、****!」
と何かをいうと、ブーイングが出ていたので、上の子たちからのブーイングが出ていたなと思う。ロジェさんは、前回と同じように私が絵を描いたということを紹介したいのか、私を手招きして前に呼んだ。
「リン、***、* meles **。****!」
私が絵を描いたということを言っているのだろうと思っていると、子供たちは手を叩いて「doii!」とたくさん言ってくれた。ロジェさんの方を見ると何故か誇らしげで、ドヤっていた。
ロジェさんと子供たちにバイバイと手を振った後に、ロジェさんに
「さっき、ドヤ顔してましたよ。」
というとロジェさんは心あたりがないのか、驚いたような顔をしていて、
「…いつ?」
とロジェさんは聞いてきた。
「私のことを子供たちに絵の描いた人と紹介していた時です。」
というとロジェさんは少し恥ずかしそうに、
「リンの絵を、見せるの、嬉しい、から、かも…?」
と言ったため、少し私もそのように思われて、嬉しく同時に恥ずかしくもなってしまった。




