第二十四話『異世界転移?』
ロジェさんは明日はどうやら大人の人たちに言葉の勉強を教えるらしい。ロジェさんは私にこう言った。
「明日は、来る、ない方が、いい。」
なんでだろうと思い、「どうしてですか?」と聞くと、ロジェさんは
「作霖のこと、嫌い、の人がいる、から。」
と答えた。そういえば、私が作霖の人に似ているから気をつけた方がいいという話を聞いたことがある。よくよく聞くと、明日は軍の人たちに言語を教えなければならないそうだ。ロジェさんは少し嫌そうな顔をしていたので、軍の人が嫌いなのかなと思い、
「軍の人が苦手なんですか?」
と聞くと、ロジェさんは、
「…苦手、たぶん。すこし、」
と曖昧なふうに私に返したので、あまり突っ込まない方がいいかもしれないと思った。
ロジェさんは私に、
「明日、カード、作る、お願い、いい?」
と聞いてきたので、
「わかりました!」
と言い、うなづいた。するとロジェさんは笑顔で「ありがとう」と言った。
次の日になり、出かける前のロジェさんからメモを渡された。どうやらロジェさんは日本語が書けるらしい。
「これの、カード、いい?ポリット語、後で、書く、から」
と言われたので、「わかりました」とうなづくと、ロジェさんは「ありがとう」と言った。さらにロジェさんは
「もし、描く、終わり、二階、自由に、見て、いい。」
と言われたので、「わかりました、ありがとうございます。」というとロジェさんは、笑顔で家を出ていった。ロジェさんに
「いってらっしゃい。」
と言って、手を振ると、ロジェさんは不思議そうな顔をしたので、ロジェさんに、「家を出る挨拶です。」と伝えると、ロジェさんは「どう、返す?」と聞いてきたので、「行ってきます、です。」と言った。
するとロジェさんは嬉しそうな笑顔で、
「いってきます。」
と言って、家を出て行った。
家の中には暖炉で薪の燃えている音だけが、聞こえる。考えていなかったが、洗濯機やクーラー、食洗機などの家電系の音や車やバイクの音が聞こえないのが、新鮮だなあと思っていた。
ロジェさんからのメモを確認すると、追加でレタスや玉ねぎのような野菜系のものとオレンジやリンゴなどの果物系があり、全部で30枚程度になりそうだった。
大変そうだなと思う一方で、昨日楽しそうにしていた子達を思い出し、カード作りを頑張ろうと思った。一応辞書と辞典を見ておこうと思い、机の上をみると、どうやらロジェさんが昨日のうちに描くものの写真が載っているところに紙を挟んでくれていたらしい。
リンゴのところを確認すると「リンゴは緑が多い」と挟んでいた紙書いてあり、やっぱり真面目な人ですごいなと思った。
カードを書き終えて、二階に上がる。日本語、もといジパング語のある本棚を見てみる。世界史を再び見てみるのもよかったが、他のものも見てみようと思った。世界史ではなく、ジパング史みたいなのはないかなと思って探ってみるものの、特にそのようなものはなく、代わりに気になるものを見つけた。
ー異世界転生について
異世界転生についてが記されたものであるらしい。まさか異世界転生について新書が出ているとはと思い、軽く本を開いてみる。開いてみると、異世界転生の転生部分についての宗教的な関係があることや最近の異世界転生ブームについてのことが書かれており、異世界転生した時の戻り方とかを期待していた私にとっては期待していたものとは異なっていた。
勝手に期待した私が悪いんだけどな、と思っていると、異世界転移の話が書かれており、「人物がそのままの状態(体、記憶など)の要素を持ったまま、異世界に来ること」と書かれており、私は異世界転移なのではとも思ってしまった。
難しいことがたくさん書かれていて、なんとなく内容はわかるみたいな感じだなと思ったところで、一階から音がしたので、二階から一階に降りると、ロジェさんが玄関を開けたところだった。
「ロジェさん、おかえりなさい!」
というとロジェさんは不思議そうな顔をしていたので、間違えた!と焦っていると、ロジェさんは
「ただいま?正しい?」
と聞いてきたので、
「はい!…すいません。」
というと、ロジェさんは笑顔で、
「慣れた、なら、嬉しい。」
と言ってくれた。ロジェさんはとても優しいということを再び、感じるのであった。




