第二十二話『カード』
ロジェさんが終盤になって昨日作ったカードを取り出した。
今になって、しらけたらどうしようなどの心配が湧いてくる。
ーうけたらいいけど…
と思っていた。
「***、*****。」
ロジェさんが何かを言うと、一斉にロジェさんの方を向いた。何を言ったのだろうかと思っていると、ロジェさんは両手で昨日作ったカードをみんなの前にかざし、
「***、****?」
と何かをみんなに投げかけると、みんなが一斉に黒板に書き出したかと思うと、勢いおく手を上げて黒板を上に上げている子がいた。その後ゾロゾロと黒板が上に上がった。みんな、「lire」「lire,lire!!」と手を挙げていた。リーレは「ハイ!」的な意味だろうかと思っていた。
ちなみに今回のカードは私が描いたニンジンである。
ー確かあれは、ladebarだったはず…
と私も頭の中で考えた。
ロジェさんは最初に手を挙げたと思われる子を手で指すと、その子は大きな声で
「ladebar!!」
と叫んでいて、ロジェさんは黒板を少し見た後、
「***!!****。****!」
と言って、周りがみんな拍手をしていた。どうやら綴りと内容ともに正解であったらしい。私も続いて拍手をした。
絵が通じてよかったと思っていると次の問題が出されていた。
その後も問題が出され、問題が出されるにつれてどんどんと盛り上がっていくのがわかった。もう退屈そうにしている子は居なそうだった。大人しそうに席に座っていた子も、答えていて、正解をしてみんなから拍手をされていた時に照れくさそうにしていた。
ー思ったよりも盛り上がっていてよかった…。
と私はホッとしていた。
20問目が終わると、かなり落ち込んだようなブーイングのようなものが出ていて、子供たちが悲しそうにしていたので、そこまで楽しんでクイズをしてくれていたのかと思った。
ある子供の一人が、ロジェさんに手を挙げて質問をしていた。
「je roje、***、*****?」
「*****、****、リン!」
いきなり名前を呼ばれたのでびっくりしたが、ロジェさんが手招きをしていたので、黒板の前に来て欲しいらしい。
「*****、*****!」
とロジェさんに言われた途端、みんなから拍手をされた。さらに何か色々なことを言っていたが、分からなかったので、ロジェさんの方をみると、ロジェさんは
「絵、上手。みんなが、言う。すごい!」
と言っていたので、どうやら絵を描いたひとは誰かみたいな話をしていたようだった。
こうやって絵を褒められたことは初めてだったので、とても嬉しかった。
「morke!!」
と言うと、さらに拍手が大きくなり、さらに恥ずかしくなってしまった。
その後、授業終わりに、たくさんの人から「doii」という言葉をたくさん言われて、どう言う意味かと悩んでいると、ロジェさんは「doii」は「すごい」という意味であるらしく、「褒めること、全部、使う。」と言われたので、ポジティブなことには全部使うと言う意味だろうかと思っていた。
ディーヴさんは相変わらず、抱きしめてきて、私の頬にキスをして離れていった。ディーヴさんが手を振ってくれたので、手を振りかえした。するとゲルーノくんも手を振りかえしてくれた。
ロジェさんは嬉しそうな顔をしていたので、
「よかったですね!」
と言うと、ロジェさんは
「リンのおかげ」
と笑顔で返してくれて、今日だけで褒められすぎて、頭はパンクしそうになっていた。
その後、神父さんが来て、ロジェさんと少し会話をしていた。
「***、thire*****。*****。morke。」
と神父さんが言うと、ロジェさんに向かって頭を下げていた。言葉を教えてくれてありがとうと言う意味で頭を下げているのかと思っていたが、ロジェさんが私に向かって、
「ティレが、子供の、笑う声、聞く、喜ぶ。から、ありがとう。リン、すごい!」
と言っていたので、そういえば教会だったと思うと同時に、ティレは子供の笑い声が好きなのだなと思った。そして、神父さんは、ロジェさんに紙幣を渡した後、私の方を向いて、
「je リン、****、***、morke。」
と言って私に何かが入った袋を差し出した。
「****、*****。」
と神父さんは申し訳そうな顔をしていた。ロジェさんは、「袋、後で、いい?」と私に聞いてきたため、袋で渡された時には今その場で開けてはいけないのかなと思った。
「morke!」
と神父さんの方を見て言うと、神父さんは笑顔で微笑んでくれた。




