プロローグ
こんな人生を終わらしたい.....
そんなことを言っているのは、29歳無職童貞のニートの俺様である。
俺は今絶賛転生をしたいと思っている。理由は簡単だ引きこもってはや数年ラノベしか読んでいないからだ。
ラノベの主人公は女の子にちやほらされ、楽しそうな俺とは真逆の人生を歩んでる。実に羨ましい....
おれもそんな人生を送りたかった。誰かと共に楽しい人生を歩みたかった。でも、それは叶うことがなかった。
俺は小さい頃、外に出て遊ぶのが好きな子供だった。口が悪く、駄々をこねるただのクソガキでそこそこ楽しかったと思う。
そんな俺の人生を変える出来事が起きた。
中学3年になった俺はいつもと同じように、友達と近くのコンビニで楽しく話をしていた。いつもと何も変わらない、普通の一日だった。
その時俺は友達にアイスを買ってきてとお願いをしていた。少し経って友達からアイスをもらい、それを食べながら、楽しく会話をしていた。
次の日の学校、昨日コンビニで話をしていた、俺含め4人の生徒が校長室に呼び出された。もちろんなぜ呼び出されたか、さっぱりわからない。
「昨日のコンビニで万引きをした人がいると、通報がありました。」
校長先生は突然そういった。
俺からしたら何のことか、さっぱりわからなかった。でも、一つ言えるとしたら、この中の誰がが万引きをしたということだ。
なんてことを、俺は友達として情けないよ、見損なったと、心の中でつぶやいていた。
「すみません。おれです」
そう突然大きな声で発言した男がいた。
まさかこいつがするとは思わなかったが、人には裏の顔があるんだなーと気楽なことを思っていたが、
「でも、仕方がなかったんです。命令されて、逆らえなくて..」
と、男が言い訳を述べていた。
「命令か.....誰にされたのかい」
それに答えるかのように、校長先生が聞き返した。
「それは....」
誰だーそんなことを命令したのは、最低だな、そんなことを思いながら、自分は無関係だと思っていた矢先。
「こいつです」
その言葉と同時にそいつの指先は俺に向いていた。
「....は?」
無意識に出てしまったその声には、疑問と不安が詰まっていた。
意味がわからない、俺が?、は?何言ってんだよ....
そこに追い打ちを掛けるかのように、他の2人まで俺に指先を向けてきた。
その後の流れはわかるように、万引きの命令をしたとして、保護者と教師に怒られまくった。
家では罰として反省文を書くように言われたが、俺は一枚も書くことができなかった。
信用している友達に裏切られ、裏では根も歯もない噂が広がっていった。おまけにこの反省文を書くことによって、
俺は罪を認めたことになる。
そんなことをするわけがない、俺はしていない、俺は無関係だと、自問自答を繰り返し次第に不登校になり、そのまま、県内で一番偏差値が低いところに入学することになったが、もちろん、不登校癖は治っておらず、次第にクラスから孤立して、今現在まで引きこもりである。
でも、それはつい2時間ほど前までの話である。今は住む家すらない、つまり、追い出されたのだ。
夏の夜に一人の無職ニートの男が、放り投げられたのである。
まぁでも、気を取り直していこう。なぁに俺はまだ29歳だ新しい人生を送るぞー
そう、心の中では思っていても、体が動かない。
「......どうしよう」
今更連絡できる友人はいない....そもそもスマホもなかったな....
「........詰みか」
諦めが早いのはわかるが、これが俺なんだ。
もぉ、何もかのどうでも良くなった。
「転生したい」
不意にそんなことを言い、俺の体は誰かに動かされているような感じで、12階建てのマンションの屋上に立っていた。
自分でも何がしたいのかよくわからなかったが。
少し期待をしてしまった。ラノベみたいな人生を俺も送りたいと、やり直したいと。そう思い俺は
夏の綺麗な空を見上げながら、飛び降りた。
まるで、豆腐が落ちたように、醜く、あっけなく、俺は地面にぶつかり
死んだ
_