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 王都の結界に複数の魔物の反応が見られ、早朝から現場に駆り出されていた今日がようやく終わる。


 幸い結界を破ることができる程の魔物ではなかったが、魔導士たちは朝から起こされて少々気が立っていたのか鬱憤を晴らすように上級魔法で討伐していた。


 かく言う私エラ・フィッツアランもその1人だ。


 笑顔で上級光魔法をぶっ放し、他の魔導士たちが倒した魔物共々朝日に消えていく光景に仲間たちが若干引いていたのは気のせいである。


 そんな朝の出来事から始まり、王城全体に魔力を供給するための魔道具の大規模な故障、魔導士団で管理している魔獣の脱走に貴族学校に通う男子学生の魔力暴走etc...


 せめて朝の魔物が飛行型でなければ第一騎士団で対応できたのに...、せめて魔道具の故障が大規模でなく数台であれば第二魔導士団だけで対応可能だった...、男子学生の魔力が光属性でなければ...、魔獣の脱走はまあ...あの子は私に懐いているから...。


 そんなことを考えても仕方ないのだが、全てのことにおいて少しでも違っていればエラは今日ここまで忙しくなかったし、寮に帰るまでに近道をしようとも思わなかったかもしれない。


 (すっかり遅くなっちゃった...)


 寮までの近道である第二魔導士団が管理する植物園の裏側を歩きながら、手帳を開き明日の予定を確認、少し遅起きしても良さそうだとほくそ笑む。

 早朝からまた魔物が攻めてこなければだが。


 さっさと帰ろうと手帳を閉じて顔を上げると、前方の木の影に人がいるのに気づく。


 こんな遅い時間にどうしたのか。

 何か困り事かと、もしくは不審者かもしれないと思い、エラは速めていた歩調を緩め人影に近づく。


 近づいたことでその人物の身長がだいぶ高く、体格がいいことに気づいた。

 もし本当に不審者だった場合力では敵いそうにない。

 万が一に備え自身に身体強化の魔法をかけてから、そっと声をかける。


 「あの...?」

 「君がフィッツアラン嬢?」

 「...はい?そうですが...(あら、この方は第一騎士団の...)」


 エラはなぜ自分を知っているのかと疑問に思いつつ答えた。


 「いいよ、じゃあ付き合おうっか。でも知っていると思うけど、一ヶ月後には別れてね?」


 「ん?」


 第一騎士団の団長様は私を一瞥し、期間限定の交際を提案してきた。

 

 なんで?




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