初心者とPT
【エンドレスファンタジー~初心者とPT~】
眩しい光を顔に受け、目が覚めた。
少しぼんやりしながら目を開けると其処には木の天井があり、回りをちらっと見渡すと見慣れない小さな部屋だった。
どうしてこんな所にいるんだろうか?
そんな事を思いながらぼんやりとし、時間が経っていく。
漸く意識がはっきりし、自分が死んでゲームの中の世界に入り込んだ事を思い出したのはそれから10分後の事だった。
「寝て起きて、未だに此処にいると言う事はそろそろ認めても良いかな」
儂はそう呟きながら、漸く此処がゲームの世界の中で、現実だと言う事を認めた。
と言っても、実際昨日入り込んでから直ぐにほぼ信じていたのだから今更と言われても仕方の無い事だが。
儂はとりあえず軽く身体を解してベッドから起きると部屋を後にする。
基本的に宿は一度寝て起きればそれで終わりであり、直ぐに出なければいけない。
女将さんに「お世話になりました」と頭を下げると「またおいで!」と元気良く笑いながら見送ってくれた。
そんな一言で儂は今日も頑張ろうという気持になりギルドに向かう。
昨日は最後の方扇を手に入れた嬉しさにかまけてクエストを受けずに結構もったいない事をしてしまった。
その事を反省しつつ今日こそ確りとクエストを受け、ランクを上げ、装備などを整えようと思った。
「っと、その前に扇の強化だけしておくか」
儂は宿を出て少し歩いてから、強化について思い出し思わず呟いていた。
強化とは武器や防具を鍛え、さらに強力にし、時には特殊効果等も付けられる様にする事だ。
強化は鍛冶屋で行え、基本的にレベルの高い武器であれば専用のモンスターからのドロップか露店で買わなければ手に入らない鉱石や皮、布や素材等が必要だが、今儂が持っている扇みたいにレベルの低い物であれば鍛冶屋にある鉱石でそのまま強化する事が出来る。
特殊効果を付けるには専用のアイテムが必要であり、それこそモンスターからのドロップ、それもレア扱いの物が殆どを手に入れなければいけない。
鍛える鉱石自体は安くも無いがそれほど高い訳でも無い値段で買える。
だが、特殊効果を付けるアイテムは馬鹿みたいに高い。
例えば武器に火の属性を付ける為のアイテムがあるとする。
鉱石自体は大体儂がゲームをやっていた時の相場で1個当たり15000L程度だ。
火の属性を付けるそのアイテムはどんなに安く見積もっても500000L程度、普通なら600000Lはする。
属性を付けるアイテムは特殊効果のアイテムの中でも安い分類に入り、それこそ一度の攻撃で2階のダメージを与えられるアイテムや、武器を振っただけで其処から風の刃が発生し、モンスターに攻撃できるようになる遠距離攻撃が出来るアイテムなどは安くても5000000Lはする。
数自体が少なすぎて相場が決まらないアイテムだ。
何個か露店に出ているときは比較的それくらいの値段で出る事もあるが、他に出ていない時等はその倍近くまで吹っかけて売りに掛かる奴もいる。
まぁそういった時は大概売れないんだけどな。
よっぽど緊急的に必要だと言う場合じゃなければ。
とにかく、今の儂の扇であれば普通に強化するだけなら問題なく鍛冶屋で出来るのでそちらに向かう。
鍛冶屋の扉を開けると鉄の臭いとむわっとした汗の臭い、少しの間いただけでも汗がにじんできそうな程の熱気が儂を襲う。
鍛冶屋は何処も変わらない物だ。
儂はそのままカウンターにいる店員に話しかける。
「この鉄扇を+10まで強化してほしい」
強化自体は基本的に+100まで可能となっている。
+1の強化をするごとに基本攻撃力が+10される。
と言ってもモンスターに与えるダメージにそのまま+10される訳ではない。
攻撃力自体は基本的に上手くきちんと当てられればそのダメージが与えられる物であって、大概は其処まで上手く当たらない。
レベルの高い者や、武器を使い慣れた者であってもそれこそ大体攻撃力の6割から8割程度のダメージを与えられれば良い方なのだ。
+10まで強化すると言う事は攻撃力が+100される。
この攻撃力の数値自体の合計値はハッキリと表示されない為自分達で計算するしかない。
基本的にSTR1が攻撃力+5に相当する。
今現在レベル6の儂はSTRにボーナスポイントを割り振って無い事もあって6しか無い。
つまり純粋にSTRだけで見れば攻撃力は30。
これに武器である鉄扇の攻撃力を加える。
鉄扇の攻撃力は50。
因みに初期装備のナイフが30で一番安い300L程度の片手剣で80程の攻撃力がある。
その事を考えると10000L以上した武器だと言うのにこの攻撃力は低すぎる。
その上、扇の場合はきちんと扱わない限り攻撃力が更に半減する。
それも武器だけの攻撃力では無く、合計の攻撃力が半減するのだ。
逆に完璧に使えるように成ればダメージは2倍。
使い慣れた程度で、違和感無く使える場合は1.5倍。
最低限使いこなせるだけの場合が通常の1倍だ。
儂自身はそれなりに使いこなし、慣れているので実質1.5倍のダメージを与えられるようになる。
このSTRと鉄扇の攻撃力に強化した分の攻撃力100を加えると合計で180程の攻撃力になる。
これに1.5倍を加えると270。
相手が防御力0だとすれば綺麗に当たれば270、普通にヒットしただけの場合は90前後。
良い具合にヒットした場合で130から200程度のダメージを与えられるようになる。
クリティカルの場合は相手の防御力を関係無く総攻撃力の1.5倍のダメージを与えられる。
因みに、強化は1から10までは+1するごとに500Lで行える。
11から20で1000と言った具合に、10刻みで値段が上がる。
これはあくまで低レベルの武器の値段であって、それこそ高レベルの専用鉱石を使わなければいけない場合は1から10までの間で+1の強化をするのに鉱石代の他に10000L掛かる。
これは武器だけでなく防具も同じだ。
防具も基本的に店に売っている低レベル装備や、一部の低レベル装備であれば基本的に1から10まで+1につき500Lで行え、基本的に鉱石で強化できる防具であれば高レベルの物も1から10までの間+1するのに10000Lで行える。
ここで防具の場合鉱石で強化でいない類の物がある。
服や皮系統の防具だ。
これらには専用の素材アイテムが必要であり、その防具のレア度、強さによって値段が変わってくる。
一概に幾らと言えない為、実際持ってきてから確認しなければ解らないのだ。
そんな事を考えている間に強化が終わり、儂の元に+10に強化された鉄扇が戻ってきた。
これでこの辺りのモンスターであればそれこそ巨大蛾やビックフロッグであっても大概一撃で倒す事が出来る。
とりあえず、クエストを受けてもう一度金を稼がないとやばい。
防具が意外と高い為、店売りの防具であっても基本的に一式そろえるのに10000Lは掛かる。
儂が欲しい防具は低レベル冒険者によってあれば死ぬ確率がかなり一気に下がると言われている、体力強化された服だ。
もっとレベルが上がり、金もそれなりに稼げるようになれば着物等の舞専用防具を手に入れたい所だが、先は長すぎる。
とりあえず体力強化された服は特殊効果がついている割に比較的安い。
扇を探した時ついでに探して値段を確認したが500000L程で買える。
特殊効果がついている事を考えると安すぎると思うが、実際低レベルの者が装備できる服にそれを付けてしまうと最初使えてものちのち使わなくなり、需要がだんだん無くなってくる。
それこそ新しいキャラクターを作ったりする時等には役立つが、新しいキャラクターを作る位なら少しでも今のキャラクターを強くする人の方が多い為、なかなかその機会も無い。
その上、この体力強化の特殊効果を付けるアイテムはビックフロッグが落とすレアアイテムであり、比較的手に入れやすい。
それこそ昨日手に入れた角ウサギの角と同程度だ。
実際、儂はビックフロッグ退治のクエストを受けながら金を貯め、運良くレアが出ればそれを使って自分で創ってしまおうとも考えている。
だがまぁ、狙っているときに限って全く出ないと物なので最終的に買った方が早くなりそうでもある。
軽く露店を見ながら歩き、どれくらいで金が貯まるかを考えている内にギルドについた。
そのまま2階に上がりクエスト板のクエストを確認しているとカウンターから気になる話し声が聞こえてきた。
「ねぇ、専用武器クエストを受けられたのは良いんだけど、指定されてる裏の空き地って何処なの?」
「解んないよ。公式サイトにも場所まで書いてなかったし、裏の空き地って言う位だからそれなりに拾い所だよね? もしかしたら教会の裏のあそこじゃないかな?」
「えー違うんじゃない? だってあそこは墓地でしょ。空き地じゃないもの」
「そうだけど、だったら何処だろう。ってあーもしかしてこのギルドの裏かな?」
「それさっき私見てきた。あそこに誰も居なかったよ」
「そうなの? なら本当に何処なんだろう。一番思い当たる場所がやっぱり教会の裏よね?」
「そうだけど、ちょっと待って。今もう一度公式のマップ見てくるから。其処で空き地になってそうな所探してしらみつぶしに探せばきっと見つかると思うから」
「うん、解ったよ。私ももう一度公式でクエストの場所が載って無いか調べてみるね」
そんな一連の会話の後、その二人はその場に立ちつくしたままぼぅっとしていた。
恐らく今ネットの公式サイトで色々調べているところなんだろう。
はぁ。
実際話しを聞いて本当に此処がゲームの中なんだと言う事を実感した。
まさか認めて早々、直ぐに実感させてくれるような現場に遭遇するとは思わなかった。
ゲームの世界の中に入る事が夢だったから良い事なんだけど、少し御都合主義って言うか、イベント起き過ぎで疲れる。
とりあえず戻って来た時まだ解らないようなら少しくらい手伝って上げても良いかな?
折角の機会だし、このゲームで初心者は本当に珍しい。
だからこそ大事にしてあげないといけないのだ。
現実にこうしてゲームの中に入った儂には関係の無い事かも知れないが、それでも長年ゲームをやり続け、根づいてしまっているそう言った考えは変わる事が無い。
そう思い、クエストを受けるのを止め、彼女達が戻ってくるのを待つ。
彼女達、会話の二人は二人とも女の子だ。
と言っても実際がどうかは解らない。
キャラクター自体は男としても女としても自由に作る事が出来、女キャラの半分近くはネカマだ。
この子達も実際はどうなのか解らないが、今の彼女たちの見た目は美少女としか言いようがないほど可愛らしい姿だ。
まぁ、姿かたちを好きにカスタマイズ出来るので、わざわざ不細工に作る奴は滅多にいない。
こういう感じで美少女、美男子等、見目麗しい姿が大半だ。
一人は長い金髪ウェーブで腰下まで伸ばし、切れ長の目で目の色もやはり金色。
出る処は出て、引っ込む所は引っ込む。
身長は恐らく160センチ位だろう。
顔立ちはフランス人形のような感じの可愛らしい顔立ちをしている。
もう一人は肩下位までの藍色の髪で、垂れ目がちの目をしている。
勿論目の色は髪と同じ藍色で、可愛らしくクリっとした感じの目だ。
やはり体つきは出る処は出て、引っ込む所は引っ込んでいる。
この辺りは中身が女性であれば、いや、深くは言うまい。
身長自体はこちらは少し小さく155センチ位に見える。
恐らく二人共専用武器は片手剣だろう。
腰にかけてある剣が二人とも同じで、最初に帰る一番安い片手の剣だからだ。
もしかしたら違うかもしれないが、そうじゃなきゃわざわざ片手剣を買う必要が余り無いからな。
と考えている内に二人は戻ってきた。
「ん~何箇所かあったから今日1日掛ければ何とか回れそうよ」
「私の方は何もやっぱり書かれてませんでした。仕方ないですよね、1ヶ所ずつ回って行きましょう」
そう言って歩き出そうとしていたので、其処で漸く儂が声を掛けた。
「専用クエストなら場所を知ってるから案内するよ」
儂がそう声を掛けると、動きだそうとしてた動きをピタッと止めてこっちに向き直った。
「本当ですか! 場所解らなかったから困ってたんです、お願いします!」
「良いんですか? ありがとうございます」
恐らく是が現実世界であれば警戒もされるのだろうが、ゲームの中、それも初心者であれば余りそう言うのも無いのだろう。
素直に頷いて儂の話しに乗ってくれた。
本当に初心者っぽい。
まぁ是が演技で無ければ何だけどね。
とりあえず案内するとしよう。
「場所自体は直ぐ近く何だよ。このギルドの裏手の空き地がその場所だからね」
歩きながら儂がそう言うと、さっき裏手を見てきたと言っていた金髪の少女が「さっき見てきたけど何も無かったですよ」と言っていた。
儂は「クエストを受けないと現れないんだよ」と答えると「へぇそう言う物なんですかぁ」と素直に感心していた。
あーやばい。
縁起でも良いかもしれない。
こういう反応に何故か癒される。
そんな事を感じている自分に内心苦笑を洩らしながらギルドの裏手に辿り着く。
其処には一人の男が立っていた。
「あれに話しかければ専用クエストを受ける事が出来るよ、話しかけてみな」
儂がそう言うと素直にその男の近くまで行き話しかけ始めた。
とりあえずそのクエストの様子を見てみる事にした。
予想した通り二人ともやっぱり片手剣を専用武器にしている様だった。
片手剣の専用クエストは正直滅茶苦茶簡単だ。
何故なら教えて貰うのが剣の持ち方と振り方、簡単な足運びと身のこなしだけだからだ。
それこそ足運びや身のこなしは舞みたいに慎重にしなければいけないとか言った類のものでは無く、とにかく動きを止めずどんな時でも次に動けるような状態にする為の物。
身のこなしは盾を装備した時として無い時の構えを教えてもらうだけだ。
基本的にその四つを教えてもらい、練習モンスターを倒せと言われる。
出来ていなくても進み、人形を倒せばクエスト達成になる。
だからこそ二人も危なげなく進んで行き、多少人形から攻撃を食らった物のきちんと人形を倒し終えてクエストを終了させていた。
「お疲れ様、早かったね」
そんな二人に儂がそう声を掛けると驚いたように「待っていてくれたんですか」と言われた。
その後軽く二人と話しながらギルドに戻り、二人がクエスト終了をギルドに告げると儂が座っているテーブルの方に来て、目の前に座った。
「本当にありがとうございました。御蔭でかなり時間の短縮になったし助かりました」
「ありがとうございます」
と言ってまた頭を下げる。
珍しく礼儀の正しい子達だと思いながら「良いよ、大した事じゃないからね」と言って笑った。
少し嬉しくなったからだ。
未だこういう子達もいるんだなと。
その後少しの間たわいのない話しをしていると儂の話題になり、儂が未だレベル6だと言うと驚かれた。
「何か落ち着いてるし、色々物を知ってそうだから高レベルの人だと思ってました」
と言う事だ。
普通慣れている人であれば装備を見れば大体高レベルか低レベルかが解る。
中には基本的に街の中にいるときは低レベル用の服等を身につけている高レベルも居たりするがそんなのは稀だ。
儂は少し理由があって1からやり直している最中だと言う事を話した。
それを話して「成程」と納得された。
その後少し少女が二人だけで何かを話すと、金髪の子が「もし良かったら明日私達とPT組んでもらえませんか?」と言ってきた。
突然の申し出に少し驚きながら理由を尋ねると、今現在公式で期間限定クエストがあるらしい。
PT限定のクエストで東門から街をでて少し行った山の麓にある洞窟探索のクエストだと言う。
因みにその洞窟自体は『吸血蝙蝠の洞窟』と呼ばれる洞窟で、基本的にレベル10位の者がソロかペア位で潜れる程度の洞窟だ。
話によるとそのクエストはCランク以下限定でしか受けれず、クリアすると結構多い経験値とスキル経験値、それに片手剣が手に入るらしい。
掲示板とかの話しを見る限りどうしても今のレベルのままで、慣れていない自分達だけでは難しいからPTを募集しようとしていた所に儂が現れ、偶然にも同じくらいのレベルでそれなりに知識があるから頼りになりそうなので声を掛けたらしい。
こまめに期間限定クエストや回数限定クエスト等様々なイベントをゲーム会社は行う為、これもそのうちの一つなんだろう。
何時までなのかを聞いてみるとそれこそ明日一杯で終わりらしい。
今日1日で何とかレベルとギルドのランクを上げるので、明日にと言う事だ。
特に断る理由も無いので儂は「良いよ」と返事をして頷いた。
「ありがとうございます! よろしくお願いします!」
二人が嬉しそうにそう言って喜んでくれた。
素直に喜んでもらえるとやっぱり嬉しい物だね。
儂はそんな事を思いながら「二人とも明日は何時ぐらいから此処に来るのかな」と尋ねた。
「えっと、大体2時位には来れると思います」
儂は其処まで効いてから漸く時間を確認する術が無い事に気がついた。
だから「なら入った時に連絡頂戴、儂は何時でもいるから」とだけ言っておいた。
その後直ぐに戦いに行くと言うので、クエストを受けた方が良いと言ったんだが、少しでも早くレベルを上げる為クエストはとりあえず後回しにするという事だった。
確かに行ったり来たりをするだけでもかなり時間を取られるからそれも一つの手だが、慣れていないのであれば二人だけで戦ってもレベルが上がるまでモンスターを倒せるかと言う考えが頭をよぎった。
考え出すとやはりどうしてもレベルアップまで持っていけそうになさそうなので、儂は「明日PT組むのならどうせなら今からPT組んで一緒にレベル上げでもしないか?」と持ちかけた。
二人は「良いんですか?」と嬉しそうに同意してくれた。
それから儂は二人と只管角ウサギを倒し続け、二人がもうそろそろ落ちないといけないと言いだす時間ぎりぎりで何とか二人のレベルを6に上げる事に成功した。
「うん、解ったよ。それじゃあまた明日ね、PT会話で呼びかけてくれれば直ぐ向かうから連絡待ってるよ」
儂がそう言うと「はい!」と元気良く返事をしながら二人は光の柱が現れてその姿を消した。
成程、ログアウトするとああいう風になるのか。
儂は知らなかった事をまた一つ知り、取り合えず今手に入れ、分配し終えたアイテムを以てギルドへ向かう。
耳が分配しても60個ほどになったからだ。
クエストをそれでこなし、金を受け取って道具屋へ行く。
明日の事を考えると回復アイテムが結構な量必要になりそうだと思ったからだ。
ポーション(赤)は20個持っているが、下手したら足りなくなる。
恐らく青の子達だとそんなに数は持っていないだろうし、揃えるのも難しいだろう。
とりあえず道具屋で買えるだけポーション(赤)を買いこむ。
なるべくなら道具屋で買うのは遠慮したかったんだがそうも言ってられないだろう。
道具屋で買うとポーション(赤)は1個100Lもする。
まぁ、死なせる訳にもいかないからな。
ギリギリまで買うと、持っていた分と合わせて50個程になった。
後は危なくなる前に儂が上手く立ち回れる様に頑張ろう。
そう思いながら昨日と同じ宿屋へ向かう。
足取りは軽い、何だかんだと言ってやはりPTを組んだりして人と共に遊ぶのが好きなのだ。
遊ぶと言っても儂にとってはそれこそ本当に生死の掛かった現実なのだが、あの子達には関係ないだろうし、儂もまだこの程度なら其処まで緊張する事でも無いから気にしない事にしよう。
宿屋の部屋でそんな事を考えていると昨日と同じように桶とタオルを持ってきてくれた。
礼を言って受け取ると昨日と同じように身体を拭き、それらを返し、明日に備えて寝る事にした。
ああ、明日が楽しみだ。