一夜明けて……
私はトボトボと城内を歩いていた。
「あれ?今気づいたけどこのままだと私、やばいんじゃ?」
今の私はちょっとボロボロだけどドレスで着飾っており何処からどう見ても貴族令嬢だ。
さっきはなんとかやり過ごしたけどこのまま外に出るのは危険だ。
私は慌ててメイド達が普段使っている支度室へと入りドレスを脱いだ。
そしてメイド服、をちょっとアレンジさせて平民に見られる様な格好になった。
「こういう時、スタイルが良くなくてよかったわ」
私は金髪にウェーブがかかった長い髪で青い目というこの国の貴族令嬢としてはごく平凡的な顔立ちだ。
まぁ胸が小さいのはコンプレックスだけどメイド服には合っていたので今は感謝する事にしよう。
……そういえばあの令嬢は胸が大きかったな。
王太子も『お前がもう少し胸が大きかったら完璧だったなぁ』とか言ってため息を吐いていたな。
うん、慈悲は無くなった。
何も未練が無いので中庭は通らずにそのまま出口へ向かった。
悲鳴とか絶叫とか聞こえるけど無視して外に出た。
街中は大騒ぎになっている。
御用達だったお店は窓ガラスが割られグチャグチャになっている。
「王都でこんな感じだからもしかして地方でもクーデターが起こっているのかしら……」
一応王都にはタウンハウスがあるけど近づくのは危険かもしれない。
幸いお金は持っていたので宿に泊まった。
一夜が過ぎ改めて惨状が明らかになった。
混乱は落ち着いているが建物は放火されたのか焼け崩れていたり破壊されていた物もあった。
よく私歩いてこれたなぁ、と昨日の私の行動に我ながら拍手を送りたい。
「さて、これからどうしましょうか、家の方に連絡を取りたいけど……」
私は宿を出て外に出ると兵士達が忙しそうに働いていた。
だがよく見ると我が国の紋章をつけていない。
そういえば、平民達があれだけ武器を持っていたのはよく考えてみたらおかしい。
クーデターが起こるのであれば何らかの異変があるはずなんだけど急にこんな事が起こるなんて言うのは異常だ。
誰かが手筈していたのかもしれない。
「という事は敵対している隣国? それとも帝国?」
まぁ私が考えても仕方がない、とりあえず暫くは王都を動かない方がいい。