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第7話

 11月9日ぶん

 一回投稿時間を修正しなければ。

 家族が入院すこととなり、早朝に活動することが増えそうだ。このままでは早起きすることが出来そうにない。まず、書き始める時間から早くしていこう。

 俺が二人に渡したのは俺が直々に手縫いで作ったメイド服。

 フリフリのレースは控えめに、しかし一目見て可愛らしいと頷かせることが出来る視界のアクセントとなるように。基本に忠実な形を保ち、スカートは短めのものを一着、長めのものを一着。

 彼らは確実に長めのスカートを履きたいと考えるだろう。普通の兄弟であれば殴り合いの喧嘩になる可能性もあり得る選択肢だ。だが、彼らはしない。それは昨日彼らの姉であるリスタッタから散々聞かされた話の内容から判断した。


 彼女は家族のためならなんだって出来るような性格にするため、彼らを、そのまた下の弟や妹達を育ててきたのだ。俺と同等の狂気を孕んだ彼女が子供の育成程度で間違いを犯すはずがない。



「さて、お前たちはその制服でこれから俺の手伝いをしてもらう。もう一度言うが、やることはそちらの制服を着て下町に降りて買い物をしてくるか、そちらの制服を着て子供たちの面倒を……出来れば庭の掃除もしてもらおうか。この二つだけだ。さあ、選んでもらおうか」

「あ、あの。本当にこの服を着なければならないのですか?」

「俺たちは今着ている服のままでもいいのですが……」

「だめだ。それでは我が家が従者も着飾ることが出来ない貧乏な家だと思われてしまう。お前たちは我が家を貶めたいと?」



 目を細めながら座ったまま若干前のめりになってそう言うと、二人は同時に首を横に振った。

 ちなみに下町に行くために着て行けと言った方が短いスカートの方であり、子供の相手と庭の掃除をしろと言った方が長いスカートの方だ。

 キョロキョロと互いを見つめ合う二人。短いスカートが付属したメイド服を持つリグーラタタは何か決意したようにゴクリと唾を飲みこみ、対してリアーデタタはそんな彼の様子を見て僅かに狼狽えたように見えた。


 やはり彼らはリスタッタの賢明な育成の成果か、互いに押し付け合うようなことはしない。覚悟を決め、その覚悟を邪魔したくないと思いながら自分も同等の傷を負いたいと考えている。



「ああ、そうか。買い物は移動距離も買う量も合わせれば重労働になるしな。働き過ぎで潰れられても困る。であれば、ローテーションとしようか。期間を決めて着るものを変えるんだ。一日ごとに変えては仕事も覚えられないだろうし、そうだな、最初は一週間毎にしようか」



 2人はそろって「違う、そうじゃない」という視線をこちらに向けてきた。変に逆らって家族が酷い目に合うことを避けているのだろうか。大丈夫だ、安心したまえ。俺もお前らの姉も全てわかったうえでやっている。



「あ、あの……。私が……」

「それでお願いします……。なんだったら今まで弟や妹の相手をしてきたから体力もあるし、俺がずっと買い物当番でも……」

「いや、僕なら体も鍛えてるし、本を沢山よんでいたからモノを覚えるのも得意です! 僕がずっと買い物係を」

「いや、俺が……」

「僕が!」



 話が進まないと判断したのか、リスタッタが口を開くと二人が割って入ってきた。メイド服で何を想像したのやら。必死に声を互いに被せながら主張してくる。善意の押し付け合いで喧嘩になりそうなところなんて初めて見た。


 こうして、俺は二人のメイド少年を雇うことに成功したのだった。


 今日の筋トレ日記

 腕立て伏せ30回

 腹筋30回

 背筋30回

 これを二セット

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