愛情こめて
言葉でのコミュニケーションに限界を感じていたL星人は、新たな伝達方法を模索していた。そこで編み出されたのが、『電力発伝』である。脳に直接電気信号を送り込み、内容を伝えるのである。この方法なら、姿形の違う異星人同士でも、テレパシーのような感覚でコミュニケートできるのだった。
一同が集った宇宙有識者会議で、L星人が自慢げに胸を張った。
「言葉なんか、国や地域によってもそれぞれ差異がある。細かいニュアンスや、方言、ご当地ジョークを理解するのに、その土地の歴史的背景から一々解説するつもりかね。何万光年かけて、さらに広大な宇宙言語を翻訳していてはさらに効率が悪い。我々が開発した『電力発伝』なら、生物のなずきに直接言いたいことが伝えられるのだ」
「いや、電力なんか環境に悪い」
これに反論したのがM星人だった。
「所詮は火を燃やして動かす旧世代のエネルギーだ。それより利用するなら『太陽光発伝』だろう。太陽の熱で直接生物を……」
「あら、『火力発伝』も馬鹿にしたものじゃありませんよ」
D星人が手を挙げた。
「今から新しい『発伝所』を用意できる星が、果たしていくつあるでしょうか? 昔ながらの『火力』であれば、貧乏な星や危険地帯でも伝達可能。全ての人に平等に開かれてこそ、真の優れた『コミュニケーション方法』と言えるんじゃないですか?」
「ダメダメ、火なんか。今まで、マッチ一本擦っただけで、超新星爆発を起こした星がどれだけあったって話よ。危険過ぎる。ここは絶対安心・安全な『原子力発伝』で……」
「安全というなら『風力』や『水力』でも……」
「やれやれ。キリがないな」
会議は踊り、L星人は宇宙を見上げた。宇宙の端には、青々と輝く地球が浮かんで見えた。
「そうだ。地球人に決めてもらおう」
L星人は立ち上がった。
「地球?」
「アレなんか、まだ会議にすら参加できない辺境の星じゃないか」
「コミュニケート・レヴェルは足りているの?」
「だからだよ」
L星人は会議室を見渡してニヤリと笑った。
「一体どの伝達方法が優れているのか。一度全部の方法を地球で試してみて、それで良好な返答があった伝達方法を採用すると言うのはどうだろうか?」
「なるほど。それは面白そうな実験ね」
その後各星から喧々囂々あったが、最終的には、一度地球で試してみることに決定した。
こうして後日、地球に、宇宙連邦と名乗る団体から『友好的なメッセージ』が届いたのである。
『地球の皆さん、初めまして。我々は宇宙人です。驚いたでしょうが、決して攻撃の意図はありません。ありったけの好意と愛情をこめて、このメッセージを送ります。どうか地球に、幸あらんことを』
最初は『電力発伝』だった。
メッセージが直接脳内に送られ、地球の人々が何事かと驚き空を見上げると、雲の向こうから雷が降り注ぎ、次に真っ赤な火柱、『火力発伝』が、それから『太陽光』、『原子力』、『風力』、『水力』、『核融合』と……。




