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はじめまして、時屋です。
今回初の投稿ですので暖かい目で見ていただければなっと思います。
「ぶっちゃけどうなん?まき的にさ。小田にコクられたりしたら」
ある講義室の中で男女が話している。その中心にいる女性が正に話の中心のようだ。
「あ、それはきになるかもぉ。小田って絶対まきの子と好きだもんね。どうすんのよ、付き合うん?」
ニヤニヤと感じのあ悪い笑みを浮かべたまま、周りが便乗して問いかける。
「うーん、どうだろうね?」
問われた本人はすこし困った顔をしながら答えを濁した。それを見た周りの学生は、その困り顔を告白されたら嫌だと感じているのだと思いいっそう嗤った。
それを廊下で聞いていた者がいることには誰も気がつかないだろう。
ポツポツ…。
目が覚めるとそとでは、雨が降っているようで湿った空気と屋根から落ちる雫の音が聞こえた。カーテンは閉めきって耳さえ塞いでしまえば、外の様子などなにもわからない。
「6時か」
ケータイの光が刺さるように目に飛び込んでくる。買ったときのまま変えていないロック画面にはいつもと同じ時間が表示されている。習慣とは残酷で、どんなに拒もうとも同じ時間に起きてしまうんだなっと少し他人事のように思う。もぞもぞと布団から這い出る。カーテンを開けると薄明かるい空の光が射し込む。ササっと陰が引くように動いたように見えた。それでも、部屋はどうにも暗さが強調され、暗がりの闇が心地よく感じる。ずるずると体を引きずるように歩いて台所に向かう。ひんやりとした空気が頬を撫で、やっと目が覚めてきた。
「食べ物はなにかあったっけな」
少々枯れた声が出た。喉乾いてるのかもな…。どうにも感覚が鈍い。何もかもが他人事のように感じられる。ふわふわした感じだ。でも、それでも、眠気はもうなくなっている。
1人暮し用の小さめの冷蔵庫にはなにも入っていなかった。5日も家を出ていないのだからまともに食べるものはほとんど家にはない。元々は買いだめをしないタイプであったのだから当然食べ物はすぐになくなってしまう。そもそも、外に出ない日が2日以上続くこと自体これまでの彼にとっては以上であった。もっとも今の彼にはそれさえも他人の記録のように感じてしまう。
「外出ないと、だよな…」
久しぶりに外へ出なくてはいけない事実に向き合わなければならない。また、ずるずると移動してスマホをとる。雨が激しくなる時間を調べようと電源をいれると。
〈新着のメッセージがあります〉
・・・どこかが痛んだ。どこかはわからないがたしかに脳は痛みを主張してくる。手先がピリピリとしびれる感覚に襲われる。5日前にアプリの設定で通知音、メッセージ表示をオフにして極力それの存在を無視していた。それでも、この5日間ずっと送られてくるメッセージにどうしようもなく責め立てられる。まるで自身の罪を忘れさせないように。
「まきさん……。」
かすれた呟きは部屋の冷たい暗がりに溶けるように消えた。