幕間「忍び寄る影」
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「今頃、ヨウ兄ちゃん達は楽しんでるのかな…?」
ヨウイチ達との夕飯を楽しみ、その後は“ワールドフラワレス”のイツキの屋敷の大浴場を借りて、姉妹達とのお風呂パーティーを楽しんだ後、イツキ達はヨウイチとのアフターを楽しむために“ワールドアクア”へと戻ったが、陽子は遠慮して“ワールドフラワレス”に残った。
ヨウイチとの行為を断ったのは、正直少し後悔している。
だけど、ツキヒとの勝負もまだで、正式に“シスターズアルカディア”のハーレムメンバーとして認められていないのに、行為だけを先に済ませるというのは、イツキ達が許しても、陽子自身良しとしなかった。
「…でも、お風呂くらいは、一緒に入っても良かった、かも……?」
ヨウイチだけは、姉妹達が夕飯の準備をしている間に一人で風呂を済ませていた。
料理が苦手な陽子は、材料を切ったり、盛り付けたりくらいしかする仕事が無かったため、イツキ達からは「お兄様と一緒にお風呂に入ってきてもいいんですのよ♪」と親切心から言われていたが、なんとなく抜け駆けをするようで嫌だったので断っていた。
「いやいや、ダメダメ!
まだツキヒちゃんに認められてないんだから…!
お風呂に一緒に入るのだって…!」
その日、陽子は悶々としながら、なかなか寝付けない夜を過ごすのだった…
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そんな陽子を、その日一日、遠くから秘かに見つめる人物がいた。
黒いローブを全身に纏った、いかにも怪しげな人物だったが、その存在感は極端に薄く、不思議と背景に溶け込んでいて誰からも見咎められることはなかった。
今、その人物はイツキの屋敷を少し離れた高台から眺めていた。
月明かりのみが照らす暗闇の中、一際暗く存在するその人物は何処か満足げな表情を浮かべていた。
「…今日一日観察してみたが、彼女には血筋だけでなく、素質もありそうだ」
そう意味深に呟くと、その人物は闇へと消えていった。
「…彼女こそ、新たなる魔王に相応しい……」




