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シスターズアルカディア~転生姉妹とハーレム冒険奇譚~  作者: 藤本零二
第2部第1章~ワールドアクア~
81/103

第2話「姉妹デート大作戦」

*


「ほ、本当にここが異世界、いや、パラレルワールドなの…?」


「ええ、ようこそわたくしの屋敷へ♪」



 ツキヒ姉ちゃんが陽子に対して勉強対決を申し出た後、とりあえず他の姉妹達のことも陽子に紹介して、それでも陽子が“シスターズアルカディア”入りを希望するなら、宣言通り勉強対決をしようということになったので、俺達は陽子を“ワールドフラワレス”へと連れてきた(幸い“異世界転移魔法陣”は陽子のことも俺達の家族と認識してくれたようで、スムースに転移出来た)。


 まぁ、陽子には悪いが、この顔合わせは、遠回しに陽子に俺のことを諦めて貰おうという狙いもあったりする。

 実際に20人を超えるハーレム全員の顔を見れば、さすがにその中の一人に新たに加わろうとは思わないだろう。


 正直、陽子のことは美人でカワイイと思ってるし、家族以上恋人未満くらいには陽子のことを好いてもいる。

 だからこそ、シスコンなんかのハーレムの一人として一生を終えてしまうのは陽子にとっても、そしてこんな美少女でカワイイ女の子を失ってしまう世界にとっても損失だろう。


 それと、ハーレムに入る入らないに関わらず、陽子は俺とカズヒの従妹いとこなのだから、姉妹の皆とはこれからも親戚としては付き合うことになるだろうから、その顔合わせという意味もある。



 “異世界転移魔法陣”の出口はイツキの屋敷の玄関ホールの奥に設定されていて、俺達が転移してきた直後にメイさんが何処からか現れて「お帰りなさいませお嬢様、それと皆様。そろそろお帰りだと思い、居間にお茶を用意してあります」と言うので、俺達は居間へと向かった(でも、なんでそろそろ帰ってくるとメイさんには分かったのだろうか…?)。

 ちなみに、“異世界転移魔法陣”そのものも玄関ホールの隅の方に設置されていた。



「というか、イツキちゃんの屋敷、大き過ぎない…?」


「いえ、これでもまだ“シスターズアルカディア”の皆さんが集うには手狭ですわ。

 もっと上や下に改築しなければ」


「ま、まぁ、メイさん達も含めれば30人くらいいるもんね…」



 カズヒの言う通り、イツキ達オリジナルシスターズだけなら十分今のままで事足りるが、クローンシスターズ達まで含めるとさすがにこの屋敷だけでは部屋数は足りなくなる。



「というか、そのための“異世界転移魔法陣”でしょ?

 夕食とか団らんの時だけ集まって、眠る時とかはそれぞれ別の世界に別れればいいだけだし」


「ハルカちゃんの言う通りね。

 お風呂とかはこの屋敷のお風呂に全員入れても、さすがに27人全員が寝られるベッドは無いのだから」


「12人が寝ても若干の余裕があるベッドはあったけどね…」



 ハルカとサクヤ姉ちゃんの言う通り、何もこの屋敷を無理矢理改築して全員の寝室や、27人全員が寝られるベッドと部屋を作る必要は無い。

 …仮にそんなベッドが作られたとしても、さすがに一晩で26人も相手に出来る程の体力も精力も無い、と思う。



 そんなことを考えながら居間へ向かおうとしていると、もう一つの魔法陣からマイカ姉ちゃん達が現れた。



「あら、ヨウ君達も今帰って来たところ?」


「ああ、ちょうど同じタイミングだったみたいだね」


「お帰りなさいませ、マイカ様、メイコ様、ナナカ様。

 今すぐ皆さんのお茶も準備致しますので、お嬢様方と一緒に居間でお待ち下さい」



 そう言うとメイさんは食堂へと足早に向かっていった。

 その間に、陽子と三人の紹介をしておこう。



「そうだ、マイカ姉ちゃん、ナナカ姉ちゃん、メイコ、この子が陽子、俺とカズヒの従妹いとこだよ」


「初めまして、前世からヨウ君にはお世話になってる姉のマイカよ、よろしくね♪」


「よ、よろしくお願いします」


「私はナナカと申します。

 よろしくお願いします、陽子さん」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


「私はアニ君の妹分のメイコ!

 っと、今はもう本当の妹になったんだった!

 ツキヒちゃんとは昔からのライバルだから、何かあったら私に言ってね!」


「あ、はい、ツキヒちゃんにはもうすでに因縁つけられちゃって困ってます」


「因縁って言い方悪くない?

 ヨウ君をかけて真剣勝負しようっちゅう話やん?」


「あー、やっぱそうなったかー

 本当、ツキヒちゃんは昔っから独占欲強いよね~」


「独占欲っていうか、好きな男の子を一人占めしたいのは普通っちゃろ!?」


「二人とも、とりあえずその辺りで。

 陽子さんが困ってますよ?」


「はーい」


「むぅ…、なんか納得いかんっちゃけど?」


「まぁまぁ、ツキヒちゃん、とりあえず落ち着こ?」



 ナナカ姉ちゃんがメイコとツキヒ姉ちゃんの間に入り、ふてくされたツキヒ姉ちゃんをカズヒがフォローしていた。

 ツキヒ姉ちゃんとメイコは前世において、国を代表する“戦乙女ヴァルキリー”としてライバル同士の関係だったが、その頃からよく口喧嘩をしていた。

 その頃はライバル同士として意識し合ってるからなんだろうなと思っていたが、今思えば、争いの内容はほとんど俺に関することだった気がするな…



 そんなことを考えていると、マイカ姉ちゃんが「そうそう!」と何かを思い出したようにこう続けた。



「一つヨウ君に報告があったのよ!」


「え、何かあった?」


「うん、アハトンちゃんがね、目を覚ましたのよ!」


「本当に!?」



 クローンサイボーグNo.8、アハトン。

 元は男性型のクローンサイボーグだったが、その身体に転生させられた魂の影響で、“バイオヴァリアブルメタル”が変化を起こし、女性型へと変化してしまった。

 そのきっかけとなる事件で、意識を失って眠っていたのだが、つい先程目覚めたらしい。



「ええ、色々あって本人も少し動揺していたけど、ムツキ君達がフォローしてくれてるわ」


「そうか、良かった」



 ムツキ達になら任せても大丈夫だろう。

 とはいえ、一応アハトンが新しく妹になるわけだから、挨拶くらいはしておいた方がいいだろうな。

 勿論、妹とはいえ弟の想い人を奪うつもりはない。



 それから、マイカ姉ちゃん達と一緒に居間へ入ると、この世界に残ったミライ達が出迎えてくれた。



「お帰りなさい、兄さま達!」


「おう、ただいま!こっちは何事も無かったか?」


「うん…、特には…」


「魔獣“ガロメ”が出現したくらいですが、大したことはなかったです」


「え、またガロメが出たのか!?」



 ガロメと言えばカブトムシ型の魔獣で、俺とカズヒが初めてこの世界に来た日にも出現したやつだ。



「でも、ぼく達でやっつけちゃったからね!」


「オイラ達の敵じゃなかったね!」


「ま、まぁ、今の皆なら確かに苦戦するような相手では無いだろうけど、とりあえず無事で良かったよ」



 この世界に残っているのはミライとモモコとユエとユナとヒナの五人。

 残りのレイヤ達は“ワールドアイラン”のカナン姉ちゃんとリンが住んでいた屋敷に魔法陣を置きに行っていて、まだ帰って来ていないようだ。

 俺達は、用意されたお茶(当然、セイさんが淹れたものだ)を飲みながら、イツキの世話をしたがるメイさんに聞いてみた。



「メイさん、レイヤ達がいつ頃帰ってくるかとかは分かります?」


「さぁ…、さすがにそこまでは分かりませんね」



 だよな…

 じゃあ、なんで俺達の帰りは分かったんだろう…?



 レイヤ達のことはとりあえず置いておいて、今いるミライ達に陽子のことを紹介した。



「初めまして、ボクがミライで、」


「ボクが、モモコ…」


「我はユエと言います」


「ぼくはユナ!」


「で、オイラがヒナだよ!よろしくね!」


「こちらこそよろしくね」



 それから、俺達はミライ達に“ワールドアクア”であったことを簡単に説明した。



「なるほど、勉強対決で勝てば“シスターズアルカディア”入りが認められる、と」


「ツキヒ、なかなか厳しい…?」

 

「ウチとしては最低限妥協しとるつもりっちゃけどね?」


「ちなみに、陽子ちゃん的にはどうなの?

 勝負を受けて仮に勝ったとしても、20人以上のハーレムの一人になるわけだけど、それはいいの?」



 そう尋ねたのは、俺達と一緒にお茶を飲んでいたセイさんだ。



「正直な話、あまりにも現実味が無さすぎて実感がわいてないんですけど…、

 でも、ヨウ兄ちゃんのことは、諦めたくないから…っ!」


「ふーん、さすがにこの人数をリアルに見せたら諦めるかと思ったっちゃけど、それなりに覚悟はしとるみたいやね…」



 ツキヒ姉ちゃんが言う通り、陽子は陽子なりに覚悟をしているようだ。



「お兄ちゃんも、覚悟を決めないとね」


「…ああ、カズヒの言う通りだな」



 陽子をハーレムに迎えるとなると、俺は陽子のことを他の姉妹と同じだけ愛して幸せにしてやらないといけない。

 すると、イツキがこんなことを言った。

 


「それでしたら、陽子さんのことをより深く知るという意味でも、デートなんかしてみるのはいかがですか?」


「ヨウ兄ちゃんとデートォオオオオッ!?」


「「その話、オレ(アタイ)達にも聞かせてもらおうかっ!?」」



 と、居間へと文字通り駆け込んできてそんなことを言ったのは“ワールドアイラン”から帰って来たばかりのレイヤとヒカリだった。



「うわっ!?ちょっ、急に何っ!?」


「っと、悪ぃ…、ってアンタは誰だ?」


「ひょっとして、君がヨウイチの従妹いとこだっていう、」


「ああ、俺とカズヒの従妹いとこの陽子だよ。

 陽子、この二人はヒカリとレイヤ、それから…、」


「ヨウ兄ぃいいいいいっ!!!!」


「ふぎゃっ!?」



 ヒカリとレイヤに遅れて居間に入ってきたアキラが、俺を見つけるなり、俺の顔面に柔らかいおっぱいを押し付けるように飛び付くと、両手両足で俺をホールドするよつに抱き付いてきた。



「ヨウ兄!ヨウ兄!ヨウ兄ー!!」


「むぎゅうっ…、お、落ち着けアキラ…!皆が見てるぞ?」


「ふぇ…?あ、しまっ…!」



 俺の言葉に我に帰ったのか、アキラはバッと飛び降りて、何事も無かったかのように振る舞った。



「ヨウ兄達も帰ってたんだね!

 あ、君が従妹いとこの陽子ちゃんだね?

 初めまして、ボクはアキラ、“妖犬ようけん”のアキラだよ、よろしくね♪」


「いやいやいや、今の何、アキラ!?

 アキラってそんなキャラだったっけ!?」



 そうツッコミを入れたのはノゾミだった。



「え?何のこと?」


「いや、とぼけても無駄だから!!さすがに無理があるわよ!?」


「にゃはは、ノゾミねーね達が知らないのも無理はないにゃ」



 そこへリンがやって来て説明し始めた。



「アキラねーねは、普段はカッコよくて頼れるお姉さんを演じてるけど、

 にーにーと二人っきりの時はめちゃくちゃ甘えん坊でデレデレしてるのにゃ♪」


「ちょおっ!?なんでリンちゃんがそのこと知ってるの!?」


「さすがに一緒の家で暮らしてたら分かるのにゃ」



 俺とアキラは前世で“相棒パートナー”だった関係で、妹のリンも含めた三人で暮らしていたことがある。



「うわぁあああああ…、バレてないと思ってたのにぃいいい…っ!!」


「へー、アキラにそんな一面があったとはね~…♪」


「意外だったな…」


「アキラ姉たん、カワイイ、です…!」


「あぁああああああっ!!もう、ボクのことはいいから!!

 それより、皆も陽子ちゃんに自己紹介しなよ!!」



 アキラは顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら、俺の後ろに隠れるように移動した。

 これ以上アキラをからかうのもあれなので、とりあえず俺の方から皆を陽子に紹介した。



「陽子、そっちの狐耳の子がノゾミで、犬耳の子がアカリ、それから、」


「はーい、ウチはショウだニャ、よろしくニャ、陽子ちゃん♪」


「私はアキホよ、ねぇ、ヨウイチなんか諦めて、私達と付き合いましょ?

 男よりも女の子同士の方が絶対いいわよ?」


「はいはい、アキホは落ち着こうな~」


「ああっ、ちょっ、ヒカリ姉さん、私にナニをしてくれるつもりなの!?

 ああ、想像しただけで、もう…っ!!はぁ、はぁ…!」



 ヒカリに首根っこを捕まれて、ズルズルと引きずられながら居間から強制退去させられるアキホ。

 アキホってあんな残念なキャラだったのか…?



「え、えーっと…?」


「ああ、陽子ちゃん、あれは気にしないでいいからね?

 おっと、私の自己紹介がまだだったわね、私は姉妹じゃないけど、ヨウイチ君の性奴隷のレイよ、よろしくね♪」


「せっ、性奴…っ!?」


「ちょっ、レイさん!?何変なこと言ってくれてんの!?

 違うでしょ!?確かにレイさんとは“隷獣”契約は結んでるけど、そういうことはレイさんと一度もしてないでしょ!?」


「私としてはいつでもウェルカムなんだけどね」


「はいはい、レイさんはあっちで私と一緒にお昼の準備しましょうね~」


「ああ~ん、セイちゃんのいけず~」



 そうしてセイさんに引きずられながら居間から強制退去させられたレイさん。


 その二人と入れ替わる形でヒカリが居間へ戻ってきた。



「さて、じゃあ、改めてヨウイチとのデートの話、聞かせてもらおうか?」


「あれ、アキホは?」


「ああ、アイツは縛り上げて空き部屋にぶちこんできた」


「そ、それいいのか…?」


「本人が喜んでたから問題無いだろ」


「アキホちゃん、どうしてあんな風になっちゃったかニャ~…?」



 と、ため息をつくショウ。



「それより、アキホがいない今がチャンスだろ」


「その通りだ、イツキ、詳しい話を頼む」


「分かりましたわ」



 レイヤとヒカリに促され、先程の話の続きを始めるイツキ。



「まず前提として、陽子さんがツキヒさんとの勝負に勝とうが負けようが、お兄様が陽子さんのことを本気で好きになれば“シスターズアルカディア”のメンバーとして認めざるを得ない、そうは思いませんか、ツキヒさん?」


「え…?待って、ならウチらの勝負は最初っから意味なくない?」


「まぁ、勝負はあくまでツキヒさん自身が納得するためのものですから、正々堂々と戦ってもらいます。

 その上でお兄様の判断次第というわけです」


「ぐぬぬ…、ま、まぁ、ウチのワガママでヨウ君の意思を縛るのは本意ではないし…」


「そういう意味で、陽子さんにもチャンスを与えるべきと考えまして。

 従妹いとこの陽子さんと、わたくし達姉妹とでは、お兄様と一緒にいた時間などが違うため、

 まずはお互いのことをよく知るために、お兄様とのデートをしてみては、という話です」


「なるほどな…」


「まぁ、そういうことなら仕方ないけど、オレ達だって、ヨウイチと再会してから、まだあまり話せてないし…」



 レイヤが頬を染めて、視線を少し下に向けながら、そんなことを言う。

 レイヤめちゃくちゃ乙女じゃん!!

 何で俺は前世のレイヤ(ツキヤ)をずっと男だって勘違いしてたんだ!?



「だったら、もういっそ皆とデートしちゃう!?

 復学するまで数日あるんだから、その日を使って皆とデートしちゃおうよ!!」



 カズヒがとんでもない発言をした。



「いや、でもさすがにこの人数とデートするとなると、一ヶ月弱かかるわよ?」



 ハルカがもっともなことを言う。



「あ、だったら何人かのグループに別れてのデートにしようよ!

 ぼく達姉妹同士でも、まだお互いによく知らない子達もいるし、姉妹同士の交流を深めるという意味でもいいんじゃないかな!?」



 ユナのその発言に、皆が同意を示したため、俺は陽子を含めた姉妹全員とのデートを五日に分けて行うこととなったのだった。



「では、明日からのデートに備えて、今日は皆さんでデートの準備をする日としましょう!」


「準備?」


「ええ、当日、お兄様に喜んでいただくための服装選びなど、女の子には色々と準備が必要ですから♪」


「ああ、なるほど、そういう感じか…

 じゃあ、俺は一緒にいない方がいいか?」


「そうですわね…

 非常に恋しいですが、今日だけは…」



 というわけで、俺は一度姉妹達と別れることにした。



 そして、その日は“ワールドシルヴァネア”にいるムツキとそのハーレムメンバー、そしてアハトンと過ごすことにした。


 最初は目覚めたというアハトンに挨拶だけして帰る予定だったが、ムツキが俺とも話をしたいと言ってきたのだ。

 正直俺がいると邪魔にならないかと、最初は遠慮したのだが、ハーレムの子達も俺の前世の話とか聞きたいと言うので、結局一晩彼女達と過ごすことになってしまった。


 俺の前世の話に興味があったのも事実だろうが、一番の目的はアハトン改め“ハヅキ(漢字で書くと葉月)”が家族として皆に馴染めるように色々と気を使ってもいたのだろう。

 実際、俺が中心に話をすることで、皆が感想や突っ込みを入れ、その間聞き役に徹していたハヅキは自然と笑えるようになっていた。

 あえてハヅキを話題の中心から外すことで、ハヅキに変な気遣いをさせなかったのが良かったのかもしれない。


 これからは、ムツキハーレムの一人として、そしてムツキのお姉ちゃんとしても絆を深めていくことになるだろう。

 頑張れムツキ、そしてハヅキ!

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