第7話「鎌鼬島殺人事件3」
登場人物
・カナミバディーズ(A棟301号室)
カナミ・タケシタ(属性:炎、戦武器:弓)
ノリエ・ビューイング(属性:風、戦武器:刀)
ナギサ・ツキミヤ(属性:水、戦武器:鞭)
・アミナバディーズ(A棟203号室)
アミナ・タチバナ(属性:炎、戦武器:レイピア)
キリコ・ナカジマ(属性:風、戦武器:弓)
ソフィア・リー(属性:水、戦武器:銃)
・ランカバディーズ(A棟305号室)
ランカ・カンザキ(属性:水、戦武器:ライフル)
シノブ・サイファー(属性:風、戦武器:片手剣)
リオ・ウィスキー(属性:炎、戦武器:斧)
*
深夜に誰かの悲鳴のような叫び声を聞き、飛び起きたわたくし達は部屋を飛び出し、宿舎の三階へとやって来ました。
そこで、叫び声はカナミさんとノリエさん、ナギサさんの部屋である301号室から聞こえてきたらしいことが分かりました。
そこで、このことを先生達に知らせるために、わたくしとカズヒさんは上ってきた1号室側の階段とは反対側の、宿舎出入口に近い方の5号室側の階段を降りて先生達のいる校舎へと向かうことになりました。
宿舎の廊下には火災発生時などに使用する消火器具や、避難梯子などの避難用具が置かれており、今は深夜で明かりもないため、そういった用具にぶつからないように慎重に廊下を進み、階段へと辿り着きました。
階段を降りる際も細心の注意を払いつつ、周囲への警戒も怠らずに進み、宿舎の出入口へと着きました。
わたくしが宿舎出入口の側に立て掛けてあった共用の傘を手にとっている間に、カズヒさんが出入口の扉のドアノブの鍵を開けようとドアノブに近付いた時、足下からピシャッという水音がしました。
「冷たっ!?え、雨漏り?」
どうやら扉の前に水溜まりが出来ており、その水溜まりにカズヒさんが足を踏み入れてしまったようです。
さらに、
「あれ?鍵が開いてる?」
確かに施錠したハズの宿舎出入口の扉の鍵が開けられていたのです。
「外からはミチコ先生の持っている鍵でしか開けられないハズですし、誰かが内側から鍵を開けたのでしょうか?
その際に雨が吹き込んで扉の前に水溜まりを?」
よくよく見てみれば、扉の内側も濡れており、ここの扉が開けられたことは間違いがないようです。
「でも、一体誰が何のために…?
…ま、いいや、今はそのことを考えるより先生を呼びに行こう!」
「ええ、ですわね」
わたくしはカズヒさんに傘を渡し、二人で雨の中を傘をさしながら校舎へと向かっていきました。
地面はぬかるんでいましたが、この雨のせいで足跡はすぐに流され、校舎に入って先生を呼んで宿舎へ戻るまでには、すでにわたくし達が校舎へ向かう際につけた足跡は流されていました。
これでは、仮に誰かが宿舎から出ていったとしても、足跡は残されていないでしょう。
ミチコ先生と共に宿舎へと戻ってきたちょうどその時、上の階から叫び声が聞こえました。
「きっ、キャアアアアアアッ!?!?」
「今の悲鳴は…!?」
「とにかく301号室へ急ぎましょう!!」
ミチコ先生が壁にあるスイッチ(わたくし達はスイッチがあるのを知りませんでした)を押して階段の明かりを点け(どうやら各階にスイッチがあって、その内のどれかを一回押すと各階の階段を照らす明かりが点き、もう一度どれかのスイッチを押すことで消える仕組みになっているようです。例えば一階のスイッチを押して階段の明かりを点けた後、三階のスイッチを押せば階段の明かりは消えるという感じです)、わたくし達は階段をかけ上がりました。
三階へ着くと、301号室の前には泣き崩れているランカさんを支えるシノブさんとリオさん、それから顔に恐怖の表情を浮かべて体を震わせているキリコさんとソフィアさんを抱き締めて励ましているアミナさんの姿がありました。
「み、皆さん、一体何があったのですか…!?」
「イツキ君にカズヒ君か。
先生を呼んできてくれたんだね。
二人は出来れば中には入らない方がいいかもしれない。
…かなり、ショッキングな状況になっているからね……」
「それは一体、」
と、その時、部屋の中から血の匂いが漂ってくるのに気がつきました。
「これは、血の匂い、ですか?」
「あ、イツキちゃん、カズヒちゃん、お帰り」
すると、301号室からツキヒさんが出てきましたが、その様子はただ事ではなく、かなり疲労困憊といった様子でした。
「ツキヒちゃん!!部屋の中で何があったの!?」
「それは……、」
言い淀むツキヒさん。
と、そこへお兄様、いえ今はお姉様としておくべきでしょうか、ハルヒお姉様が部屋から出てきました。
「とりあえずナギサさんだけは助けられた…、けど……、
…と、イツキとカズヒか、先生を連れてきてくれたんだな」
「ハルヒさん、中で何があったんですか?
ナギサさんだけは助けられた、というのはどういうことですか?」
ミチコ先生がお姉様に質問しました。
「…はい、中で、カナミさんが亡くなっています」
「ええっ!?」
驚くミチコ先生。
わたくしとカズヒさんも半ば予想はしていましたが、それでもショックは隠せませんでした。
「亡くなっているというのはどういうことなんです!?」
「詳しくは見てもらえれば分かるんですが…、その、かなりショッキングな殺され方をされているので、覚悟が必要かと…」
「ショッキングな、殺され方…!?
カナミさんは殺されたんですか!?」
「はい、間違いなく」
「それは、何かの間違いとかではなく!?確かに殺されたという証拠があるのですか!?」
「カナミさんは、首を切り落とされていました。
これが自殺なら、かなり特殊なケースでしょうね…」
「く、首を…!?」
それは、確かにショッキングな殺され方ですわね…
なるほど、そんな状況を目の当たりにしてしまってはハルヒさん達が憔悴しきってしまっているのも無理はないでしょう…
「それと、ナギサさんは右腕の肘から先を切断された状態で気絶していましたが、
『ホーリーヒ』…、あ、いや、えっと、」
「ああっと、その、これは他の人には内緒にしといて欲しいっちゃけど!
ハルヒちゃんには、先天的に傷を直せるっていう特殊能力というか、超能力的な力があって、
それで腕を繋いでナギサちゃんの一命だけはとりとめたって感じで!!」
お姉様をフォローする形でツキヒさんが(精霊術を知らない)先生に説明してくれましたが、要はお姉様が光の精霊術である『ホーリーヒール』を使って、ナギサさんの切られた腕をくっつけて治療したということなのでしょう。
「そ、そんな力がハルヒさんにあったんですか!?」
「え、ええ、まぁ…
と、とりあえずそんな感じでナギサさんは今部屋のベッドに寝かせていますが、
この部屋は現場として保存をしておいた方がいいと思いますので、何人かに手伝ってもらってナギサさんを他の部屋に移したいのですが」
「それならボク達に任せて欲しい。
キリコ君、ソフィア君、動けるかい?」
「あ、は、はい!」
「な、なんとか…!」
「では、ナギサ君のことはボクら三人に任せてくれたまえ。
ハルヒ君達には申し訳ないが、先生と共に現場の方を任せてもいいかな?」
「ええ、元よりそのつもりです」
「すまない、君達にばかり辛い役目を負わせてしまって。
それから、ランカ君達の方は、」
「いえ、私達のことはお気になさらず…」
ランカさんが涙をぬぐいながら立ち上がりました。
「お、お嬢様…!」
「ありがとう、シノブさん、リオさん。
ですが、ここにいても私達には何も出来ないと思いますので、部屋で休ませてもらおうと思うのですが、大丈夫でしょうか?」
「いえ、問題ないですよ。ゆっくり休んでいてください。
…ですが、その、後程話を聞くことがあるかもしれませんが、」
「はい、その時には協力致します。
…すいません、何から何まで役立たずで……」
「いえ、こういう場面では仕方ありません。
あ、でしたら、ナギサさんを一旦ランカさん達の部屋に運んでも大丈夫ですか?
ランカさん達の部屋はこの階ですし」
「ええ、それくらいでしたら構いませんわ。
ふふふ、それにしても、ハルヒさんは可愛らしいだけではなく、格好よい方でもあるのですね、惚れ直しそうですわ」
「と!ところで!!もう一人、ノリエさんはどうしてるの!?」
話の流れが怪しくなりかけたところへ、カズヒさんが話をそらすと同時に、わたくしも気になっていたもう一人の安否に関しての質問をしました。
「ノリエさんは、少なくともこの部屋にはいない…」
「「え!?」」
「ノリエちゃんだけ行方不明なんよ…」
予想外な答えに、わたくし達はただ驚くばかりなのでした。
*
イツキとカズヒがミチコ先生を呼んできてくれた後、まずアミナさん達が未だ意識が戻らないナギサさんを一旦ランカさん達の部屋、305号室へと運んでもらった。
それから、現場を保存するため、先生達の協力のもと、出来る限り事件発覚時のまま、現場の様子を写真に収めた。
現場は完全な密室で、ドアの鍵も三つある窓の鍵も全てが施錠されていた。
しかし、部屋の鍵は部屋の中からは見つかっておらず、何者か、恐らくは行方不明となっているノリエさんが持って部屋を出たのではないかと考えられる。
イツキ達が先生を呼びに行く際に、宿舎出入口の鍵が開いており、床や扉の内側が濡れていたとうことからも、ノリエさんが301号室を密室にしてから宿舎を出ていったという可能性が高い。
ちなみに、ドアや窓には僅かな隙間があるが、それはせいぜい釣糸やテグスといったごく細いヒモ状のものくらいしか通らないようになっている。
ちなみに、三つある窓の内、真ん中の窓際にカナミさんの遺体、向かって右側の窓際に右腕の肘から先を切断されたナギサさん、そして向かって左側の窓枠や周囲の壁には何故か一部が水で濡れており、それを拭き取ったとみられる痕跡もあり、一部濡れているのは拭き取りもれだろうと思われる。
カナミさんの遺体は、首から上が切断された状態で窓際の壁に背中を預け、足を部屋の中心に向けて伸ばした状態で座っていた。
首の切断面には、細いヒモ状のもので締め付けられたような跡、所謂索条痕が見られた。
絞殺された後、その索条痕に沿って首が切断されたようだ。
また、カナミさんの真後ろの窓には切断された首から噴き出したと思われる大量の血液が付いていた。
カナミさんのもたれていた窓下の壁には血液が僅かにしか付着していなかったことから、カナミさんは、窓際に座らされた状態で首を切断された、ということになる。
ナギサさんは頭と右腕を窓の方に向けた状態で床に倒れていた。
切断された肘から先の右腕は窓際に放置されており、そこから出血したと思われる大量の血痕が窓の下側からその下の壁にかけて飛び散っていた。
彼女の腕にも細いヒモ状のもので締め付けられたような跡があり、その線に沿って腕が切断されたようだった。
発見した時点でまだ息があったため、俺は『ホーリーヒール』を使って切断された腕をくっ付け(失われた腕を戻すことは出来ないが、切断されてから比較的早い段階で、切断面が綺麗であればくっ付け治すことは出来る)、彼女の一命をとりとめることは出来た。
しかし、腕を切られたショックなどから未だ意識は戻っていない。
それから、部屋の中を少し調べてみると、テーブルの上にはぬるくなったコーヒーが入ったカップが一つと、空になったコーヒーカップが二つあった。
その空のカップの底にはコーヒーの跡が残っていたことから、三人の内、二人がコーヒーを飲みほし、一人はコーヒーを飲まなかった(少なくとも少ししか飲んでいない)のだろうと思われる。
そして、化粧台の上にはパソコンで書かれたと思しきメモが残されていた。
そのメモの内容は、二年前にこの島で亡くなったミスズさんに対する懺悔であり、ノリエさんの犯行声明であると共に、彼女の遺書のようなものであるようだった。
ちなみに、メモの内容は以下の通りだ。
『ミスズさんを死なせてしまった罪は自分達にある。故に、私達は死んで罪を償う必要がある。
ナギサちゃんを巻き込むつもりはなかったが、私達が死ぬなら自分も一緒に、と言ってくれた。
でも、出来ることならナギサちゃんには生きていて欲しい。
だから、運が良ければ助かるようなやり方でナギサちゃんを傷付ける方法を考えた。
そこで、ミスズさんの遺体が首と腕が切断されていたことから思い付いた方法を試す。
結果、ナギサちゃんが助かるなら、それはそういう運命だったということ。
そして、カナミさんの首を切断し、私はミスズさんのように巌風島周囲の荒波に流されて死のうと思う。
ノリエ・ビューイング』
色々と違和感の残る内容だが、実際にノリエさんの行方が分からなくなっている以上、現時点ではノリエさんが犯人で、カナミさんを殺害し、ナギサさんの腕を切断した後に部屋に鍵をかけて廊下に出ると、叫び声を聞いて305号室から出てきたランカさん達に見つからないよう、廊下に置かれている避難梯子などの物陰に隠れてやり過ごし、ランカさん達が301号室の部屋の前に来たところで305号室側の階段から降りて、そのまま宿舎を出ていき、メモの通りなら関門海峡に身を投げた、というのが濃厚だろうと思われた。
一通りの現場写真を撮り終えた時にはすでに深夜の3時(死体を発見したのが大体1時頃だったから、2時間近く経ったことになる)を過ぎており、ミチコ先生の指示もあって、俺達は一旦部屋に戻り、休むことになった。
ちなみに、今日以降の合宿は中止で、島周囲の天候にもよるが、午前中には警察が島にやって来て本格的な捜査が始まるだろう、とのこと。
そんなこんなで俺達は部屋に戻り、朝まで眠ることになったのだが、この時の俺達は、まさかノリエさんの遺体があんな所から発見されることになるとは思いもしていないのだった……
*
ドンドンドン!!
「は、ハルヒさん!!お、起きて下さい!!大変ですっ!!の、ノリエさんが…っ!!」
その日の朝、俺達は扉を激しくノックする音と、かなり焦った様子のミチコ先生の声によって目を覚ました。
「先生ですか?ノリエさんがどうしたんですか?」
俺は寝ぼけ眼でベッドから起き上がった。
同じように隣で寝ていたツキヒ姉ちゃんと、隣のベッドに寝ていたイツキとカズヒも起き上がった。
「そ、それが…っ!ノリエさんの遺体が……、かっ、鎌鼬像に、突き刺さっているんですっ!!」
「「「「ええっ!?」」」」
告げられた衝撃の事実に、俺達ほ眠気は一気に飛んでいった。
*
小雨が降る中、傘をさしながら、俺達は鎌鼬像を見上げていた。
全長10メートルはあるだろう鎌鼬像、その天に向けて突き出された右手の鎌に、ノリエさんの遺体が仰向きに突き刺さっていた。
「あ、あんな所にどうやって…?」
「分からん…、さすがにあの高さの場所に人を運んで、しかも突き刺すなんて……、」
人間業ではない、不可能殺人…。
「鎌鼬さんの仕業…」
その時、俺達の背後にいたランカさんがポツリとそう呟いた。
「もう、そうとしか考えられませんわ!だって、あんな酷いこと…!」
「お嬢様、落ち着いてください!」
「とりあえず宿舎に戻りましょう。
昨夜ほどではないですが、まだ小雨も降ってますし、風も冷たい、お体にさわりますから…!」
予報とは違って、昨夜の雨は日が昇ってからもやむことはなく、風も昨日の昼に比べてかなり強く吹いている。
そのせいで警察の到着は少なくとも午後、昼過ぎ以降になりそう、とのことだ。
「お姉ちゃん、あのままだとさすがにノリエさんが可哀想だよ…
あたしの“力”なら、ノリエさんを下ろせるから…」
「そうですわね…
カズヒさんの“力”であれば可能でしょうが……」
「だが、そうなると……、」
真っ先にカズヒが疑われることになるだろう。
現状、ノリエさんの遺体を鎌鼬像の鎌に突き刺すことが出来る人間は、超能力『物質転移』を使えるカズヒくらいだろう。
“戦乙女”としての飛行能力は、皆が『武装化』出来ないため使うことが出来ない。
…とは言え、それも先生が共犯者でないなら、という前提での話にはなるが。
そんなことを考えていると、アミナさんが口を開いた。
「先生、ボクに一時的に『武装化』の許可をいただけないでしょうか?」
「アミナさん、それは何故ですか?」
「彼女をあのままにはしておけないからです」
「…そうですね、分かりました。
ですが、その前に現場の保存のために写真を出来る限り撮っておきたいので、そのお手伝いもしてもらえますか?」
「了解しました」
アミナさんの返事を受け、ミチコ先生は、左手の薬指の“汎用主人石”に口付けし、「“予科乙女石”起動承認」と呟き、アミナさんの右耳の“予科乙女石”に“汎用主人石”を接触させた。
“予科乙女石”が深紅に輝き始めたのを確認すると、アミナさんは「『武装化』」と静かにそのコードを口にすると、アミナさんの身体に一瞬で戦装束が装着された。
「では、このカメラに遺体とその周囲の状況を、出来るだけ色んな角度から撮ってきてもらえますか?」
「分かりました」
アミナさんはミチコ先生からカメラを受け取り、“戦乙女”の能力で浮き上がると、現場写真を撮り始めた。
「先、越されてしまいましたわね」
「うん…、でもアミナさん、一瞬あたしの方を見て何かを察したみたいだったから、ひょっとしたらあたしのこと庇ってくれたのかも…?」
その可能性は、あるかもな。
アミナさんは周囲の人達のことをよく見ている。
普段は女の子好きのナンパ師のような道化役を演じているが、いざという時には率先して誰かを守るように動いている。
今回も、俺に“人を癒すことが出来る”特殊能力があることを知っていて、それならカズヒにも何かそういった特殊能力があるが、それを使うとカズヒの立場が危うくなるというのを、俺達の少しの会話から察して、自ら遺体を下ろすという立場に立候補してくれたのかもしれない。
アミナさんがノリエさんの遺体を含めた周囲の撮影をしている間、俺は鎌鼬像の土台周辺の地面を調べていた。
仮に足跡などの証拠があったとしても、昨夜の雨で流されているだろうとは思いながらも、何か僅かな痕跡でも残っていないかと地面に顔が付きそうな距離で調べていると、土台と地面の境目辺りに、長さが30センチメートル程度の釣糸のような細いヒモの切れ端を発見した。
「これは…?」
「釣糸でしょうか?」
「でも何でこんな所に?」
釣糸、と言えば昨日、この像の少し先で釣りをしていたアミナさんのことが思い浮かんだ。
と、そのタイミングでアミナさんのバディメイトであるソフィアさんが俺の持った釣糸を見てこう言った。
「あ、それって、最新式の水溶性の釣糸じゃないですか?」
「水溶性の釣糸?」
「はい、ハルヒさん達もニュースなんかで見たことないですか、釣糸が絡まった海鳥とか海亀とか」
「え、ええ、そう言ったニュースはよく聞きますけど」
「本来は釣り人一人一人がきちんと釣糸を持ち帰るなどすればいいんですけど、残念ながらマナーの悪い釣り人は一定数います。
それに、意図せずとも根掛かりなどで釣糸を海中に残してしまう場合もあります。
そういった問題を解決するために開発されたのが水溶性の釣糸なんです」
「え、でも水溶性だと釣りなんて出来なくない?
水に溶けるんでしょ?」
カズヒが当たり前の質問をする。
「それは大丈夫です。
水溶性と言ってもすぐに溶けるわけじゃなくて、ゆっくりと時間をかけて溶けるんです。
普通は数年とかですけど、最新式のだと一週間くらいで完全に溶けちゃうとか」
「へー、そんな釣糸があるんだ」
水溶性の釣糸なら、俺達の世界にも存在しているそうだが、さすがに一週間程度で完全に溶けきる釣糸というのは聞いたことがないから、この世界独自の技術みたいなのが使われているのだろう。
「私もアミナ様から聞いただけなんですけどね。
ただ、さすがに最新式のものは値段的に買えないからと、アミナさんが使用しているのは数年かけて分解されるタイプの釣糸ですけどね」
言われて糸の両端をよく見ると、切り口が均一ではなく、無理矢理引きちぎったような切り口となっていた。
これが水に溶けた跡かどうかまでは確認しようがないが、少なくとも刃物などで切ったものではないのは確かだろう。
さらによくよくその糸を見てみると、所々がほつれたようになっており、少し力を入れて左右に引っ張れば、そのほつれた所から簡単に切れそうだった。
水に溶けかけた跡、ということだろうか?
しかし、問題は何故この釣糸がこんな所にあったのか、ということだが…
「先生、ノリエ君はどちらに連れていけばいいかな?」
すると、像に突き刺さっていたノリエさんの遺体を持ってアミナさんが降りてきた。
その時、ポトリ、とノリエさんの着ていたジャージのポケットから、鍵が落ちてきた。
鍵に付いていたタグには“A-301”と書かれていた。
「これは、現場の部屋から無くなっていた部屋の鍵か…」
「ノリエさんが持って部屋を出た、というのは間違いないということかしら?」
俺が拾った鍵を見ながらイツキがそう言う。
「それはまだ分からない。
とりあえず、後でこれが本当に301号室の鍵かどうか確認する必要があるな。
それに本物だとして、ノリエさんは明らかに他殺だろうが、いつ誰がどうやって彼女を鎌鼬像に突き刺したのか、それが問題だな…」
昨晩(厳密には日付が変わって今日の深夜だが)の時点では、ノリエさんが犯人で自殺するために部屋を出ていった、しかし何故部屋を密室にしたのかという謎や、カナミさんの首とナギサさんの腕をどうやってあれほど綺麗に切断したのかという謎こそ残るが、それほど無理のない、やや大袈裟な“心中自殺”という形でこの事件は幕を閉じていたかもしれない。
しかし、自殺のために部屋を出ていったと思われたノリエさんの死体が、10メートル以上はある像のてっぺんに突き刺さっていたとなると話は変わってくる。
まず、彼女の遺書の内容と矛盾する。
彼女は殺人の後に、海に飛び込んで死ぬつもりだったハズだ。
そもそも、像のてっぺんに自らの体を突き刺して死ぬなんていう自殺は聞いたこともないし、そんな方法で自殺する理由も方法も思い付かない。
であれば、ノリエさんもまた誰かに殺された、ということになるのだが、昨晩俺達がカナミさん達の遺体を発見したのは、誰かのうめき声のような叫びを聞いたことがきっかけだ。
叫びを聞いて俺達が1号室側からの階段を上り、二階でアミナさんとキリコさんに合流し、三階に着くと、301号室にはすでにランカさんとシノブさんとリオさんがいた。
それからカズヒとイツキに5号室側の階段を使って下まで降りてもらった際には誰とも遭遇せず出入口まで辿り着き、その時にはすでに出入口の扉や床が濡れていて、鍵も開いた状態だったという。
二人が階段を下り始めるのとほぼ同時に1号室側の階段から、二階の共用トイレにいたというソフィアさんが301号室の前にやって来た。
うめき声が聞こえてきてから最後のソフィアさんと合流するまで、どれだけ長く見積もっても10分はかかっていない。
この間にノリエさんを外に連れ出して、走っても片道5分はかかる鎌鼬像まで行って、像の先端にノリエさんを突き刺して戻ってくるなんて芸当は不可能だろう。
となると、考えられるのはカナミさんを殺害し、ナギサさんの腕を切断した犯人はやはりノリエさんで、自殺しようと外に出て行ったノリエさんを、別の人物が呼び出し、俺達が再び眠りについてから夜が明けるまでの間に鎌鼬像に突き刺した?
いや、それでも矛盾はある。
まず、何故ノリエさんは外に出てからすぐ海に飛び込んで自殺しなかったのか?
それから、真犯人は何故ノリエさんを鎌鼬像に突き刺したのか?
ノリエさんの遺書がある以上、後はノリエさんの遺体さえ見つからなければ、この事件の犯人は多少不可解な点が残ったとしても、ノリエさんの“心中自殺”で終わっていたハズだ。
何故わざわざそうなる利点を捨ててまでノリエさんの遺体を像に突き刺したのか…?
*
ノリエさんの遺体は、とりあえずカナミさんの遺体と同様にA棟の301号室に運ばれた。
そのついでにノリエさんのジャージから回収した鍵が間違いなく301号室の鍵であったことも確認した。
天候は少しずつ回復していっているようで、この調子なら昼過ぎには警察も到着出来そうだ、ということらしい。
当然、合宿は一時中断となり、生徒達は自分達の部屋で待機ということになった。
一方、俺達、俺とカズヒとイツキは編入したばかりでカナミさん達との関わりが一番低く、犯人としての可能性は限りなく低いという理由と、俺の『ホーリーヒール』が未だ眠り続けるナギサさんの回復に必要だということで、念のためミチコ先生の監視のもとナギサさんの眠る303号室(朝になって305号室から移動された)にいることになった。
ついでにツキヒ姉ちゃんも俺達とずっと一緒だったというアリバイがあるので、俺達と同じ部屋にいる。
「…でも、まさかこんなことになるなんて思わんかったよね」
カズヒがポツリと言った。
「ええ、そうですわね…
わたくしは立場上、色んな人の生き死にを見てきましたが、このようなケースはさすがに初めてですわね…」
お互いに生きるか死ぬかという争いを何度も経験してきたイツキだが、今回のような殺人事件という場面に出くわすのは初めてで、精神的に参っているようだ。
「そうよね…
ウチだって小説とか漫画でしか見たことないし」
ツキヒ姉ちゃんもやはりかなり精神的にきているようだ。
「だよね~
しかもただの殺人事件ならともかく、不可能殺人だなんて、そんなこと実際やる奴がいるんだってのが衝撃だよ」
「確かに、カズヒちゃんの言う通りね。
そもそも、今回の件に関しちゃ犯人にメリットがあるどころか、デメリットでしかない状況を作り上げてて、ますます意味が分からんっちゃん」
「そうですわよね。
ノリエさんの遺体が見つからなければ、ノリエさんの心中自殺という形になっていたかもしれないところを、何故わざわざあのような不可能状況を作り上げてしまったのか…」
「ただ単に思い付いたトリックを披露したかった、ってだけじゃ、メリットを捨ててまでやる理由にはならんっちゃろうし…」
「それこそ、鎌鼬の仕業にしたかった、とか?」
「さすがに、このご時世に警察はそんな理由で納得せんよ?
それに、心中自殺に見せかけるメリットを捨てる理由としてはやっぱり薄すぎるんよ」
「だよね~」
三人は犯人が何故鎌鼬像にノリエさんの遺体を突き刺したのか、という議論を続けているが、そもそも問題は他にもある。
「不可能状況を作り上げた理由も不可解だが、そもそも今回の事件で使われた手口も謎が多すぎるんだよな」
「確かに。あたしみたいな超能力者でもなけりゃ、遺体を像のてっぺんに突き刺すなんて芸当は出来ないだろうし」
「…まさか、本当に超能力者が他にもいるなんてことありませんわよね?」
「カズヒちゃんの存在がミステリを根本的に破壊しとるんよ…!
超能力なんち言い出したらどんな方法だってありやし、誰もが犯人たりうるし、もうなんでもありやん!」
「あー…、なんかゴメン…」
「さすがに、今回の事件に超能力者は関わっていないと思うぞ?
仮に犯人が超能力者だったとしても、さっき皆が言ってたようにノリエさんの遺体を像に突き刺すメリットがないからな。
逆説的に言えば、犯人は超能力では無い、と言えると思う」
「でも、だったらどうやってあんな芸当をしたのか、って話になるよね?」
「まぁ、そのトリックはおいおい考えるとして、
そもそも、カナミさんの首を切断した方法や、ナギサさんの腕を切断した方法すら分からないんだ」
「ん?…あ、そういえば確かに」
「二人の切断面、かなり綺麗やったよね、それこそ日本刀みたいな切れ味のいい刃物で一刀両断にしたみたいな」
「そんなに綺麗でしたの?」
「ああ、イツキとカズヒは見ていないから分からないだろうが、本当に見事なものだった。
迷いなく、一気に切断されたようだった。
それと問題はその方法だけじゃなく、斬られた場所も問題なんだ」
「斬られた場所?」
「ああ。
二人はどちらも窓際にいて、その血飛沫は窓とその周囲の壁に飛び散っていたことから、二人は間違いなくその場で首や腕を切断されたと思われるんだ」
「つまり、何処か別の場所で斬られて窓際に移動させられたものではない、ということですわね?」
「ああ、その通り。
しかも、カナミさんは窓枠下の壁に背中をもたせかけた状態で首を斬られていた。
それは、カナミさんの背中と密着していた壁には血飛沫がほとんどなく、血が窓枠から垂れたような痕しかなかったから間違いない。
その状態で首を切断するなんて不自然極まりないだろ?」
「んー…、確かに後ろに壁、というか窓か、窓があっちゃ刀を振り下ろすにしても邪魔でしかないよね?」
「そもそも、この合宿所にそんな刀なんて物がありますの?」
「いやー、さすがに無いっちゃなかと?
誰かが持ち込むにしても、日本刀みたいな細長い物、カバンに入らんやろうし…」
「それから気になる点は、二人の切断された部位には、事前に細い釣糸のようなもので縛られた跡が見られたことと、
三つある窓の内、向かって左側の窓枠や周囲の壁が何故か一部水で濡れていて、それを拭き取ったとみられるような痕跡があったこと、かな?」
「その左側の窓というのは、カナミさんとナギサさんのいた窓とは違う窓のことですわよね?」
「犯人がそこから侵入した際に雨が降りこんだ?」
「確かに、窓を開ければ人は通れるだろうけど、どうやって三階の窓から侵入するんだ?
外壁にはでっぱりとかもなく、とても登れるようなものじゃないぞ?」
「それもそうか」
「二人を縛ったと思われる釣糸ですが、ひょっとして鎌鼬像の下で発見された水溶性の釣糸と同じものではないでしょうか?」
「それはまだ分からないが…」
そんな話をしていると、ナギサさんが寝ているベッドの方で変化があった。
「…ん、んん……?ここ、は…?」
ナギサさんが目を覚ましたのだ。
「あ、ナギサさん!目が覚めたんですね!?
自分のことが分かりますか!?」
ナギサさんのベッド脇でずっとその様子を見守っていたミチコ先生が真っ先に声をかけた。
「…ミチコ、先生……?えっと、私……、どうして、ここに…?
私、右腕を……、」
「大丈夫です、あなたの右腕はハルヒさんが治してくれました。
午後になれば警察と救急も来ますし、もう大丈夫ですよ」
「え?治した…?」
そこでナギサさんは布団の中から自身の右腕を出し、そこに間違いなく自身の右腕があることを確認して驚きの声をあげた。
「う、嘘…っ!?だって、たしかに私の右腕……っ!?」
「驚くのも無理はありませんが、ハルヒさんにはそういう特殊な力があるそうです。
私にも信じ難いことなのですが…」
「ま、まぁ、その話は置いておいて!
ナギサさん、無理じゃなければでいいんですが、何があったのかを話していただけますか?」
それ以上俺の精霊術のことを聞かれても困るので、俺は強引に話をそらした。
「…えっと、」
「無理はしなくていいです、ただ、状況が分からず不安に思っている生徒達もいますので、
ナギサさんの口から詳しくお話を聞けたらいいな、というくらいですので」
「分かりました、お話します。
と、その前にノリエお姉様は……?」
「…遺体で発見されました。
それも、鎌鼬像の鎌の尖端に突き刺さっている状態で」
「かっ、鎌鼬像の鎌に…!?
そっ、そんなバカな!?そんなことあるわけ……っ!?」
「お、落ち着いてください。
信じられないのは分かりますが、事実なんです」
「そ、そんな…、なんでそんなことに……、まさか…、ね、」
「何か、心当たりでも?」
「あ、いえ、その、か、鎌鼬様の呪いなのかな、とか思っただけで…
お姉様達がこの島で犯した罪を許さなかった鎌鼬様が、ノリエお姉様に罰を与えたのかな、って…
あ、あはは、すいません、そんなわけないですよね、呪いなんてそんなわけ……」
そこで口をつぐんだナギサさんは、ベッド脇に置かれた水の入ったピッチャーを掴むと、コップに水を注ぎ、それを一息で飲み干すと、静かに語り始めた。
「そうですね…、私も詳しくは分かりませんが、二年前、当時まだ一年生だったカナミお姉様とノリエお姉様、そしてもう一人のバディメイトであったというミスズさん。
三人の間に何があったのか、詳しくお姉様達は話してくれませんでしたが、二年前の合宿の際にミスズさんを死なせてしまったのは自分達の責任だと、かなり悔やんでいるようでした」
「その責任を感じ、停学と留年を申し出て、何とか一からやり直そうとこの二年励んできたそうなのですが、結局その罪の意識に耐えられないと…」
「私はなんとかお二人を励まそうと言葉をかけ続けたのですが、お二人の意思は固く、ミスズさんの元へ行きたい、と…」
「それならば、私も共に参ります、と。
お二人の側に、私もずっといさせてください、とお願いしたんです」
「それから、ノリエお姉様の淹れてくれたコーヒーを飲みながら、お姉さま方と最後の会話を楽しんでいると、急に眠けが襲ってきて…
そして、右腕が切断される痛みに一瞬目が覚めましたが、あまりの痛みに、再び意識を失ってしまいました…
これが、私の知る限りの昨夜の出来事です」
ナギサさんはそこまで話すと、再びコップに水を注いで、それを口に含んだ。
「一つだけ聞いても大丈夫ですか?」
「…ええ、私に分かることなら」
「ノリエさんは、どのような手段で犯行に及んだか分かりますか?」
「それは、私の腕を斬った方法、ということでしょうか?」
「ええ、そうです」
「…ごめんなさい、私も詳しいことは分かりません。
ただ、ノリエさんの“戦乙女”としての能力が風、そして戦武器が刀でしたから、何らかの方法でその力をお使いになった、とか…?」
「…ふむ、なるほど。
分かりました、ありがとうございます。
救急の方々が来られるまで、まだ時間がありますので、それまでゆっくり休んでいて下さい」
「はい、お気遣いありがとうございます」
ナギサさんの容態は見たところ問題なさそうで、これ以上『ホーリーヒール』をかける必要はなさそうだった。
なのでこの場はミチコ先生とイツキ、カズヒに任せて、俺とツキヒ姉ちゃんは今一度鎌鼬像を調べるために宿舎を出た。
雨はまだ少し降っていて、風もそれなりに吹いてはいたが、外を出歩く分には問題ない感じだった。
俺とツキヒ姉ちゃんはそれぞれ傘をさして鎌鼬像の場所へとやって来た。
「ねぇ、ヨウ君?
もう一度鎌鼬像を調べるって話やけど、まさか本気でこの事件の謎を解くつもりなん?」
「ああ、犯人の目星はついてるから、後はこの“不可能殺人”のトリックと、カナミさんの首とナギサさんの腕を切断した方法が分かれば解決なんだよな~」
「へー、そうなんや……って、犯人が誰なんかもう分かっとるん!?」
「ああ、状況的に見ても彼女以外に犯人はありえないと思う。
とはいえ、はっきりとした証拠があるわけでもないしな…」
「いやいや、それでも犯人が誰か分かったってのは凄いと思うっちゃけど」
「“When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable,
must be the truth.”
不可能なものを消去していって、最後に残ったものが如何に信じられないことであっても、それが真実である」
「シャーロック・ホームズの名言ね。
…でも、そうなると犯人は、」
とその時、急な風が吹いた。
「キャッ!?」
思わずツキヒ姉ちゃんは持っていた傘から手を離してしまい、その手から離れた傘は風に吹かれて空高く飛んで行ってしまった。
「ああっ、宿舎の傘が!!どうしよ、やっぱ弁償せんといかんとかな!?」
空高く飛んでいく傘を見上げていた時、俺の中に天啓とも言うべきある考えがよぎった。
「…そうか!このやり方なら…っ!!」
「え、ヨウ君、なんか思いついたと?…って、何処行くん!?」
俺は思いついた考えを確認するために、俺たちの宿舎へと駆け戻った。
そして、現場となった301号室に入り、目当てのものを見つけた。
「ちょっ、ヨウ君!?現場保存のために、この部屋は立入禁止だって言ってなかった!?」
「そうなんだけど、どうしても確認しておきたいことがあって!」
俺は指紋をつけないよう、両手でハンカチを掴んだ状態で、そのものの中身を確認し始めた。
「それって、ナギサちゃんの持ってきたやたらと大きな旅行カバン?」
「ああ、三人分の着替えなんかが入ってるって言ってたカバンだ」
中には確かに三人分の下着や着替えなどが入っていたが、
「え?なんか、思ってたよりも少なくない?
このくらいなら少し大きめのカバンに詰めて入れちゃえば全部入りそうだけど…」
「どうやら、これが証拠になりそうだな」
俺は半分くらいの容量しか使われていないナギサさんの大きな旅行カバンを一旦その場に置いて確信した。
「え、それって犯人が残した証拠を隠滅した、とかそういうこと?」
「いや、無くなっていることそのものが証拠なんだ。
これで、鎌鼬像にノリエさんの遺体が刺さっていたことも、そしてカナミさんの首とナギサさんの腕を切断したトリックの謎も解けた!」
「は!?もう!?」
「ああ、謎は全てまるっとお見通しだ!、ってね」




