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シスターズアルカディア~転生姉妹とハーレム冒険奇譚~  作者: 藤本零二
第5章~ワールドカシミウラ~
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第1話「国立戦乙女養成学院」

*


 “ワールドブラディ”で10人目の姉妹である【吸血姫】セイラと再会し、いよいよ残る姉妹はあと一人となった。

 最後の姉妹は、俺の前世の双子の姉である“アカネ・ラングレー”(現世での名前はツキヒというらしい)だ。

 彼女は前世において【水皇石アクアブルー戦乙女ヴァルキリー】と呼ばれており、“侵略宇宙機械生命体ヴァイスターエクストライフ”という宇宙生命体と、地球軍の戦士として戦いを繰り広げていた。



「ちなみに、“戦乙女ヴァルキリー”ってのは何なの、()()()()()?」



 カズヒが俺に質問してきた。

 ちなみに、カズヒが俺のことを“()()()()()”と呼んだのは決して誤植なんかではない。

 今の俺は、呪術『女体化』により、女性の身体になっているからだ。

 何も好き好んで『女体化』しているわけではなく、理由わけあって『女体化』しているのである。

 その理由わけは後程説明するとして、



「“戦乙女ヴァルキリー”ってのは、“乙女石ヴァルキリーアイ”と呼ばれる特殊な石をピアスのように耳たぶに装着することで、

 そこから血液を通してナノマシンが全身に行き渡り、各“乙女石ヴァルキリーアイ”に対応した特殊信号を受信して、戦闘用の特殊外装を纏った姿に変身、『武装化ヴァルキライズ』出来る少女達のことだ。

 そして、各“乙女石ヴァルキリーアイ”に対応した特殊信号を送信することが出来る石を“主人石マスターズアイ”と呼び、それを指輪のようにして指に装着した者を“主人マスター”と呼ぶんだ。

 基本、“戦乙女ヴァルキリー”と“主人マスター”はセットで、“主人マスター”の指示無しには“戦乙女ヴァルキリー”に『武装化ヴァルキライズ』して戦うことは出来ないようになっている」


「………つまり、どういうことだってばよ?」


「カズヒさんに分かりやすく言うなら、カズヒさんの世界のアニメ作品『舞-乙HiME(マイオトメ)』のようなもの、という感じでしょうか?」



 そう言ったのはイツキだ。

 イツキも俺やカズヒに負けず劣らずのアニメ好きだが、いつの間にやら自分の世界以外のアニメにまで手を付け始めて、この一ヶ月程度の期間に相当な数のアニメ作品に詳しくなっていた。

 一体、そんなにアニメを見る時間が何処にあったのか謎である。



「なるほど、『舞-乙HiME(マイオトメ)』か、理解したよ!」


「イメージ的にはまさにそんな感じだな。

 ただ少し違うのは、“戦乙女ヴァルキリー”は単独でも戦えるが、

 『武具化アーミライズ』することで“主人マスター”が武器として装備して戦うこともある、という点だ」


「その辺りは『エレメンタルジェレイド』っぽいですわね」


「イツキ、お前歳いくつだよ…」


「さすがにその作品はマニアック過ぎるよ、イツキちゃん…」



 イツキが口にした各作品に関して気になった人は是非グーグル先生にでも聞いてみて欲しい。



「でも、“戦乙女ヴァルキリー”として単独で戦えるなら、わざわざ『武具化アーミライズ』する必要はないんじゃなおの?」



 とサクヤ姉ちゃんが尋ねてきた。



「その辺りは状況次第ってところだね。

 例えば“戦乙女ヴァルキリー”としての能力が遠距離ロングレンジ特化なら、『武具化アーミライズ』すると近距離ショートレンジ特化になる、という感じに『武装化ヴァルキライズ』と『武具化アーミライズ』で能力が変わる場合がある」


「ふむふむ、なるほど」


「後は、小隊を組んだ場合に、一人が『武装化ヴァルキライズ』して戦い、もう一人が『武具化アーミライズ』して戦う、というようなパターンもあるかな?」


「でも~、『武具化アーミライズ』した場合~、それを装備する“主人マスター”は~、生身の人間なんだよね~?

 だとすると~、やっぱり戦力的には劣るんじゃ~?」



 と次はモトカが質問をしてきた。



「ま、確かにね。

 だからこそ、その弱点を補って余りあるほどのメリットがある場合にしか『武具化アーミライズ』は使わないのが普通かな?

 中には、“戦乙女ヴァルキリー”同士がパートナーになる場合もあって、その場合は『武装化ヴァルキライズ』した“戦乙女ヴァルキリー”が『武具化アーミライズ』した“戦乙女ヴァルキリー”を装備するわけだから、かなりの戦力となるな。

 まぁ、俺が知る限りで、そんなことが出来たのは歴史上にたった二組しかいなかったらしいが…」


「なるほどね~、理解したよ~」


「ところで兄さん、そもそも“乙女石ヴァルキリーアイ”ってのは何なんですか?」



 今度はマコトが質問をしてきた。

 マコトは『女体化』している俺に体して、ちゃんと“兄さん”と呼んでくれるようだ。



「そうだな、“乙女石ヴァルキリーアイ”の説明をする前に、“侵略宇宙機械生命体ヴァイスターエクストライフ”の説明をさせてくれ」



「彼らは、遠い宇宙の彼方から飛来した“機械星ヴァイスター”と呼ばれる星に住んでいた、というよりは寄生していた機械生命体なんだが、

 奴らが“機械星ヴァイスター”に寄生して星のエネルギーを吸い付くした結果、“機械星ヴァイスター”が滅びの時を迎えたらしい」



「そこで彼らは、“機械星ヴァイスター”を捨てて新たな星、つまりは俺達の住むこの地球に寄生しようとすべく、“機械星ヴァイスター”ごとこの地球に近付いてきた」



「一方、地球人類は突如軌道上に現れた“機械星ヴァイスター”を危険と見なし、地球に衝突する前に破壊することにした」



「結果、“機械星ヴァイスター”のほとんどは破壊できたが、残った一部が月と衝突し、融合してしまった」



「そして新たに月に寄生した“侵略宇宙機械生命体ヴァイスターエクストライフ”だったが、

 当然月程度のエネルギーでは満足出来ず、そこから侵略兵を生み出して、地球へと送り込んで来たんだ」



「当初はなんとか抵抗出来ていた人類だったが、次第に“侵略宇宙機械生命体ヴァイスターエクストライフ”に押され始め、最早絶体絶命かと思われたある時、

 たまたま地面に落ちていた光り輝く石を手にした少女が、突然全身に戦装束のようなものを身に纏い、その力でもって“侵略宇宙機械生命体ヴァイスターエクストライフ”達を圧倒してしまった」



「それが世界で最初の“戦乙女ヴァルキリー”、【原初の(オリジナル)戦乙女ヴァルキリー】と呼ばれる少女だったんだ」


「じゃあ、その少女が拾った石と言うのが“乙女石ヴァルキリーアイ”だったと?」


「結論から言うとその通りだ」


「なんだか説明になっているようでなってない感じじゃの?

 結局、その石というのは何処から来たものなんじゃ?」



 そう質問したのはセイラだ。



「ああ、その後の研究などから、“乙女石ヴァルキリーアイ”とは、どうやら破壊された“機械星ヴァイスター”の欠片が、地球の大気圏に突入した際の摩擦熱などで化学反応を起こして変化した高エネルギー物質、ということらしい」


「“機械星ヴァイスター”の欠片が地球の大気圏で…

 あれ?何か最近似たような話を何処かで聞いたような…?」



 カズヒが何かを思い出そうとする顔をしていた。



「あ!そうだよ、あの時だよ!

 ボク達が戸ノ上山で“黒い岩”を取ってきて、そこから“バイオヴァリアブルメタル”と“タキオン粒子”に分離した時!」


「そうか!その時だ!」


「確か、今からだいたい1400年くらい前に地球に大量の小隕石が降り注いだことがあって、その小隕石の中に“タキオン粒子”が含まれていて、ほとんどの小隕石は大気圏で燃え尽きたりして“タキオン粒子”ごと蒸発してしまったけど、一部の小隕石が“バイオヴァリアブルメタル”と結合し、化学反応を起こして“黒い岩”になった、って…

 あ、まさかその小隕石の正体って…!?」


「お、マコト、鋭いな。

 恐らく、“ワールドシルヴァネア”の地球に降り注いだ小隕石も元は“機械星ヴァイスター”だったんだろう。

 ただ、“ワールドシルヴァネア”では何らかの事情で地球の大気圏に近付く前に“機械星ヴァイスター”が崩壊した上に、地球上には“バイオヴァリアブルメタル”というこれまた未知の化学物質があったために、それらが結合して“黒い岩”となった。

 しかし、ここ“ワールドカシミウラ”では“バイオヴァリアブルメタル”が存在しなかったために、“機械星ヴァイスター”の欠片が単独で形となり“乙女石ヴァルキリーアイ”となったんだろう。

 事実、“戦乙女ヴァルキリー”達も“加速装置”に似た効果である『クロックアクセル』という加速化が使える。

 恐らくは“乙女石ヴァルキリーアイ”にも“タキオン粒子”が含まれていたんだろう」


「なるほどのぅ」


「ちなみに、【原初の(オリジナル)戦乙女ヴァルキリー】は、“乙女石ヴァルキリーアイ”のみで変身出来たが、

 その後“戦乙女ヴァルキリー”達を適正に管理する、などの名目から“乙女石ヴァルキリーアイ”に手が加えられて、“乙女石ヴァルキリーアイ”を制御するための“主人石マスターズアイ”が作られ、それら二つの石がセットでないと使用出来ないように改造されていったんだ。

 ま、その辺の詳しい歴史なんかはまたいずれ、な」


「それで?アニぃ達は今からその“戦乙女ヴァルキリー養成学院”ってのに行くんだよね?」



 そう聞いてきたのはハルカだ。

 ハルカもまた『女体化』した俺に対して、ちゃんと“アニぃ”と呼んでくれるようだ。



「ああ、そうだな。

 今日は編入手続きと、入寮手続きをするだけみたいだから、それが終われば一旦帰って来て、明日からは寮生活、ということになるらしい」



 そう、これこそが俺が『女体化』している理由である。

 俺達が今いる世界“ワールドカシミウラ”、この世界にいる我が前世の姉は“王立戦乙女(ヴァルキリー)養成学院”に通っている生徒らしく、その全寮制の学院に通う姉と接触するためには、俺達も学院に編入するしかない、ということなのだ。


 しかし、この世界に戸籍などがない俺達がどうやってその学院に通うのか、という問題点に関しては、俺達を【次元航行者ディメンショントラベラー】にして各世界を行き来させてくれている謎の美少女、ヨミの力で強引に解決してくれたらしい。


 そんなわけで、俺達、俺こと“ハルヒ”(『女体化』時の名前だ)とイツキとカズヒの三人は、ヨミの用意した書類などを持って“王立戦乙女(ヴァルキリー)養成学院”へと向かうのだった。




*


 “王立戦乙女(ヴァルキリー)養成学院”とは、文字通り“戦乙女ヴァルキリー”を養成するための学院で、俺達の世界でいう高等部に準ずる。


 学院は全国にいくつかあるらしく、俺達が通うのは“第九校”で、その場所は何と俺達の家のある場所から徒歩数分の距離にある所だった(ちなみに、俺達の世界でもそこは浄土真宗系列の中高一貫の学校がある)。



 では、具体的に“王立戦乙女(ヴァルキリー)養成学院”ではどのようなカリキュラムが組まれているのかというと、基本的には普通の高校と変わらない。

 三年制で、一般教養に加えて、“戦乙女ヴァルキリー”となるための特別訓練が行われているらしい。

 学生の間は“予科乙女石プレヴァルキリーアイ”と呼ばれる汎用型の“乙女石ヴァルキリーアイ”が使われる。

 “予科乙女石プレヴァルキリーアイ”には、赤、青、黄の三種類があり、学年ごとに色分けされているようだ。

 そして、“予科乙女石プレヴァルキリーアイ”に対する“主人石マスターズアイ”は“汎用主人石オルタマスターズアイ”と呼ばれ、それらは訓練担当教官が所持しており、“汎用主人石オルタマスターズアイ”一つで、一学年の生徒全ての“予科乙女石プレヴァルキリーアイ”を起動させることが出来る仕組みになっているらしい。


 そして、三年間の座学と訓練の成績から、優秀な者が“戦乙女ヴァルキリー”として認められ、各地区の“戦乙女ヴァルキリー隊”に配属され、そこで個人仕様の“乙女石ヴァルキリーアイ”を受けとることになる。

 中には一部貴族や金持ちが個人で所有する“戦乙女ヴァルキリー”となることもあるらしいが、その場合はほぼ“主人マスター”のボディーガード兼婚約者であるパターンがほとんどのようだ(勿論、“主人マスター”と“戦乙女ヴァルキリー”が同性同士だったり、兄妹きょうだい姉弟きょうだいであったりする場合もある)。

 また、ごくまれに伝説級と呼ばれる特殊な“乙女石ヴァルキリーアイ”に適合した者は、国そのものの近衛兵として重用されることもあるらしい。

 その伝説級の“乙女石ヴァルキリーアイ”の一つが、我が姉の使っていた“水皇石アクアブルー”であり、今現在は行方不明となっている、とのこと。



 ここまでの知識を、ヨミから貰った学院のパンフレットから得た俺達は、早速“戦乙女ヴァルキリー養成学院”へと徒歩で向かっていた。

 学院は原町別院地区の別院通りを上った先にあり、“戦乙女ヴァルキリー”の訓練上などもある関係から、かなり広大な土地となっている。


 敷地内は高低差があって、別院通りから真っ直ぐ伸びた坂道をひたすら上った先に校舎があり、校舎を正面にして坂道を挟んだ右側に野外訓練施設が広がり、左側には様々な施設の入った建物があった。


 その野外訓練施設では数人の女子達がランニングなどをしている様子が見られたが、それ以外の生徒の姿を見かけなかった。

 今日は5月21日の火曜日で平日のハズだが。

 その理由は編入手続きの際に知ったのだが、どうも今日は【原初の(オリジナル)戦乙女ヴァルキリー】の生誕記念日ということで、全国の“戦乙女ヴァルキリー養成学院”の休校日となっているらしい。


 そんなここ“戦乙女ヴァルキリー養成学院”は、一学年は一クラス14~5人程度で、成績順に3~4クラス構成の約50人程度なので、全校生徒数は200人に満たないが、校舎そのものはかなり大きくて立派な建物となっている。

 そのほとんどは貴重な資料室だったり、“乙女石ヴァルキリーアイ”の研究や実験が行われる施設となっているらしい。


 坂道を上り終え、校舎に入った俺達はまっすぐ職員室に向かい、編入手続きと赤色の“予科乙女石プレヴァルキリーアイ”(今年度は二年生が赤色のようだ)を受け取ると、そのまま敷地内にある学生寮へと案内された。

 学生寮は坂道を下った、敷地内の一番麓、校舎を正面にして坂道を挟んだ左側の建物のさらに下にあった。



 見た目はごく普通のアパートのような作りの、三階建ての建物が三棟建っていた。

 どうやら各学年ごとに建物が別れていて、俺達の入寮する棟は第2棟になるらしい。


 

「一部屋につき二人、つまりルームメイトと一緒に住んでもらうことになりますが、

 イツキさんとカズヒさんは第2棟の306号室に、そしてハルヒさんは305号室に入ってもらいます」



 寮に案内してくれた先生がそう言うと、イツキに“2-306”と書かれた部屋の鍵を渡した。



「ちなみに305号室にはすでに一人の生徒が住まわれています。

 今日のことは彼女にも伝えていますので、部屋でハルヒさんのことを待ってくれているハズです」



 …まさか、ヨミはそこまでお膳立てをしてくれているというのか?



 俺が305号室の扉の前に立ち、扉をノックすると、懐かしい雰囲気を持つ、三つ編みお下げに眼鏡をかけた少女が扉を開けて俺を出迎えてくれた。



「あ、初めまして!

 ウチがルームメイトのツキヒ・トキハだよ、よろしくね!」



 こうして俺は11人目、最後の姉妹に再会するのだった。

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