第0話「鎌鼬島の悲劇」
一人の少女が、とある新聞から切り抜かれたとある記事を読んでいた。
日付はちょうど二年前の今頃、5月末となっている。
その記事の内容はこうだ。
―――【鎌鼬島の悲劇】
―――関門海峡に浮かぶ小さな島、巌風島にて行方不明となっていた国立戦乙女養成学院高等部の女生徒が遺体で見つかった。
―――遺体となって見つかった少女の名はミスズ・ハナガキ(15)、同校一年の生徒で、同島にて合宿中に行方不明となっていた模様。
(中略)
―――また、遺体の身体の一部が損壊した状態で発見されており、巌風島周辺の荒い海流の中できりもみ状態にあったか、海峡を渡る大型船のスクリューに巻き込まれた可能性があるとして、警察が調べている模様。
―――少女は深夜の自主訓練中に、巌風島上空に吹く強風に煽られ、コントロールが利かなくなり、沖合いの方へと飛ばされていき、そのまま行方不明となっていた。
―――死因は現在調査中だが、胃袋に海水などが残されていなかったことから、強風に煽られた際に、島の岸壁などに頭部をぶつけたことによるショック死ではないかと考えられる。
(中略)
―――また、巌風島は、深夜に吹き荒れる強風や、島に伝わる伝承などから、地域の住民からは“鎌鼬島”とも呼ばれており、少女の死体の状況などから、島の守護獣“鎌鼬”による祟りではないか、として地域の住民から不安の声も上がっている。
そこまで記事を読んだ少女は、その切り抜き記事を左手の人差し指と親指で持つと、右手に持ったライターで火を付けて燃やしてしまった。
「“鎌鼬”の祟り、ね…
そんなハズないのに…
お姉ちゃんは、アイツらに殺されたのに…!」
少女は指の爪が掌に食い込みそうな程に拳を握りしめた。
「人を殺しておいて、のうのうと生きているアイツらに、この私が祟りを下す…!」
「そう、“鎌鼬”の祟りを、ね………」
少女の瞳には殺意が満ちていた。




