表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シスターズアルカディア~転生姉妹とハーレム冒険奇譚~  作者: 藤本零二
第3章~ワールドアイラン~
28/103

第1話「妖獣と霊能力者」

*


 マイカ姉ちゃん達と別れ、“ワールドシルヴァネア”を後にした俺達は、次の世界へと来ていた。



「今度の世界はとても自然豊かな世界のようですわね」


「アタシ達のいた世界よりもさらに大自然!って感じね」



 ショートヘアーに白いワンピース姿の妹・イツキと、イツキよりさらに短い髪で少しつり目のボーイッシュな見た目の妹・ハルカの言う通り、屋敷の周りには大自然が広がっていた。

 時刻は今深夜で、街頭の全くない月明かりしか明かりのない世界で、ただ分かったのはそれだけだった。



「さ、さすがに今からここがどんな世界かを確認するのはやめた方がいいよね?」



 こちらもショートヘアーに伊達メガネをかけた妹・カズヒの言う通りだが、仮に街頭があったとしても、深夜にあまり出歩くものではないだろう。



「ああ、だけど、こんだけ大自然の広がる世界となると、ここがどんな世界か予想がつくけどな」


「ということは、この世界の“姉妹”がどんな子かも分かっているの?」



 ロングヘアーに和服のよく似合う姉・サクヤ姉ちゃんが俺に尋ねる。



「ああ。この世界には、少なくとも二回転生していて、二人の“妹”がいるハズだ」


「お~、妹ちゃん~!」


「どんな妹なんですか、兄さん!?」



 肩にかかるくらいの長さの髪とたれ目のボーイッシュ妹・モトカとショートボブに少しつり目な爽やかイケメン系妹・マコトが興味津々という感じで聞いてくる。



「そうだな、今日はもう遅いからその辺の話は明日の朝、だな」


「ひ、ヒントだけでも、お兄ちゃんっ!」


「いや、ヒントって…」


「わたくしも、特徴とか年齢だけでいいですから聞いておきたいですわ」


「そうだな、一人は15歳でとにかく明るい太陽みたいな“妹”で、

 もう一人は13歳で人懐っこい、甘えん坊な“妹”、だったな」


「太陽みたいな元気っ娘な“妹”と、」


「人懐っこい甘えん坊な“妹”…!」


「あらあら、早くその子達に会いたいわね~」


「兄さん!その二人の他の特徴とかは!?」


「他の特徴?」


「例えば~、ボクらみたくサイボーグだとか~、イツキちゃんたちみたいな精霊術師だとか~」


「ああ、そういう特徴ね。

 そうだな、ん~、その辺りの説明は少し長くなるから明日にしたいんだが、

 そうだな、一つだけ教えておくなら、二人ともケモ耳少女だ、ってことだ」


「「「「「「ケモ耳少女!?」」」」」」




*


 翌日、朝のキスを終えた俺達は、セイさんとサクヤ姉ちゃんが作ってくれた朝食を食べながら、この世界のことを話し合った。



「まず、この世界は魔人達風に言うなら“ワールドアイラン”と呼ばれる世界で、

 人間と妖獣が共存している世界となる」


「妖獣、ですか?」


「それって、魔獣みたいなのとは違うの?」


「ああ、妖獣とは言っているが、その普段の見た目は普通の人型で、ただケモ耳やケモ尻尾が生えているというくらいの違いしかなく、人間や魔人や亜人なんかとも生殖が可能な、大きな枠で言えば同じ人間だよ」


「今、しれっと亜人という単語も出てきたけど、ちなみにその亜人ってのは何なの?」


「亜人ってのは、こことはまた別の世界に住む人間で、“吸血鬼ヴァンパイア”とか“鬼人デーモン”とか“夢魔鬼人サキュバス”みたいな人種のことだな」


「“吸血鬼ヴァンパイア”や“夢魔鬼人サキュバス”って、お伽噺だけの存在じゃないんですね」


「まぁ~、精霊術なんてのもボク達からするとお伽噺みたいな力だしね~」


「わたくし達からすると、サイボーグというのがSFのような話でしたわね」


「それを言うなら、そもそも転生だとか、異世界転移だとかがもう現実離れした話なんだけどね…」


「っと、話を戻そうか。

 んで、妖獣ってのは普段は人型なんだけど、戦闘時には手足を獣の爪に変化させたり、姿そのものを獣に変えることが出来るんだ。

 姿そのものを変えることを『妖獣化』と呼ぶんだが、あまり多用はされないかな」


「それって、身体に負担がかかるから、とか?」


「いや、服が破れるから、元の人型に戻った時に裸なのが問題なんだ」


「ああ、そういう…」



 ちょうどそのタイミングで、皆の食事が大方済んだので、セイさんとメイさんが食後のコーヒーを淹れてくるために席を立った。


 俺達はその間食器の片付けを終わらせ、再び席について、セイさん達の淹れてくれたコーヒーを飲みながら話の続きを始めた。



「それで、妖獣には妖力という力が備わっていて、妖術という術を使う。

 これは魔人で言うところの魔力と魔術の関係に似ているんだが、違うのは妖術には明確な属性があり、種族によって扱う術の属性が異なるんだ」


「種族、ですか?」


「ああ、妖獣には四つの種族が存在していて、

 “炎雷の妖術使い”である“妖狐(ようこ)”、

 “風水の妖術使い”である“妖猫(ようびょう)”、

 “風雷の妖術使い”である“妖犬(ようけん)”、

 “水炎の妖術使い”である“妖狸(ようり)”の四種族だ」


「“炎雷の妖術使い”、と言うのはつまり炎と雷の妖術を扱う、と言うこと?」


「そういうことだ。

 さらに、“妖狐(ようこ)”、“妖猫(ようびょう)”、“妖犬(ようけん)”の三種族には上位種が存在し、

 それぞれ“九尾”、“猫又”、“犬神”と呼ばれている」


「ちなみに、アニぃの“妹”だった二人の種族は何だったの?」


「ギン、太陽みたいな元気っ娘の方は“九尾”、

 スズネ、人懐っこい甘えん坊の方は“猫又”だったな」


「二人とも上位種じゃないですか!?」


「ん?と、いうことは兄ちゃんも~、その“九尾”だったり、“猫又”だったりしたの~?」


「いや、それがそういうわけでもなくてな。

 ギンの兄だった時は、たしかに“妖狐(ようこ)”だったが、“九尾”ではなかった。

 スズネの兄だった時は、俺は普通の人間、いや霊能力者で、スズネは腹違いの妹だったんだ。

 だからスズネは人間と“妖猫ようびょう”のハーフにもかかわらず、先祖返りの影響で上位種の“猫又”の力が使えたという超希少種だったわけだ」


「待って待って、お兄ちゃん、また何か新しい情報や単語が出てきたんだけど?」


「えーっと、一つずつ確認しましょうか?

 まず、お兄様が前世で“妖狐(ようこ)”だった、ということはお兄様も妖術を扱えるのでしょうか?」


「んー、多分使えるとは思う。

 だけど、この身体で魔術を使うと身体に負担がかかるように、恐らく妖術を使った場合も同じだと思う。

 ただ、皆とのキスを重ねることで少しずつ魔術による反動が無くなってきてることから、妖術の場合もそうなるんじゃないかな?」


「なるほど。

 それじゃイッ君、次の質問なんだけど、霊能力者、ってのは何?」



 そうか、霊能力の説明もまだしてなかったな。



「えーっと、一部の人間に宿る霊力を使って、霊能力を扱える人間のことを霊能力者って言うんだけど、これはどう説明したら分かりやすいかな…?」


「精霊術や超能力、とは違うの?」


「ああ。

 精霊術は、自然界に存在する精霊力を使って扱う術で、

 超能力は、特殊な力を必要とせずに現象のみを起こす力で、

 霊能力は、自身の中に宿る霊力を使って放つ個人特有の技のことだ。

 …そうだな、例えば俺の霊能力は『メダルシュート』と呼んでいて…、」



 説明しながら、俺は財布の中から10円玉を取り出して、右手の親指の爪と人指し指の腹の間で挟むように持つと、指の先に霊力を集中させ、親指で10円玉を思いっきり弾いた。

 すると、霊力を纏った10円玉が勢いよく飛んでいき、カズヒの背後の壁に突き刺さった。



「うひゃああああっ!?」


「と、まぁこんな感じで、」


「ちょっとお兄ちゃん、危ないじゃない!?」


「いやー、ごめんごめん、でも当てるつもりはなかったから」


「当たってたら死んでたよ!!」


「でぇじょうぶだ、力は絞ったから当たっても死ぬことはなかったぞ」


「そーいう問題じゃないよ!?」


「まぁ、ともかく、俺の霊能力はこんな感じだ。

 他には、霊力を足に集中させて瞬間的な加速力を得る『縮地』が使える。

 ちなみに、『縮地』は霊能力者なら誰にでも使える基本能力だけど、必殺技となる『メダルシュート』は俺以外には基本使えない能力だな」


「なるほど、つまりは霊能力と言うのは、精霊術で言う固有術のようなもので、霊力を持った人間にしか使えない能力、ということですのね?」


「ああ、さすがイツキだ、例えが分かりやすいな」


「いえ、それほどでもありませんわ、お兄様♪」


「ねぇねぇ、お兄ちゃん!

 あたしにも霊能力って使えるかな!?」


「ボクにも使えますか!?」



 カズヒとマコトが身を乗り出して目をキラキラさせながら聞いてくる。



「ん~、こればかりは正直分からないとしか言えないな」


「どういうこと?」


「霊力を持ってるかどうかの判別方法が無いからな~

 一番確実なのは、妖獣と契約して“相棒(パートナー)”となることなんだが…」


「“相棒(パートナー)”?」


「そう、お互いに強く惹かれあった妖獣と霊能力者同士が契約を結ぶことで“相棒(パートナー)”となるんだが、

 この“相棒(パートナー)”契約を結んだ時に初めて自身が霊能力者だってことを知る者がほとんどだったりするんだよ」


「ええっ、そうなの!?」


「ああ、勿論、勘のいいヤツは自身の霊能力に自分で気付けるんだが、

 ほとんどは妖獣と運命的な出会いをして“相棒(パートナー)”契約をして、自身の霊能力を知る、という感じかな」



 自分が霊能力者かどうかというのは、自分では分かりにくい。

 というのも、扱える霊能力が個人個人で違うから、他人の霊能力の真似をして感覚を掴む、という方法が使えないのだ。

 かといって、精霊力のように、意識を集中させて、精霊からの声を聞く、というような方法も使えない。

 霊力を感じるには、霊力を一度自覚しなければ感じられない、という矛盾。


 その点、妖獣は自分の“相棒(パートナー)”となる人間の霊力を感じることが出来るらしい。

 妖獣と“相棒(パートナー)”契約を結ぶことで、霊能力者は自身の霊力を自覚することが出来るようになる、というわけだ。



「妖獣との運命的な出会いって、何だか素敵ね♪」


「確かに、なんだかロマンチックだな~♪」



 サクヤ姉ちゃんとマコトが乙女な顔をしている。

 その一方で、カズヒは先程俺が飛ばした10円玉を壁から抜き取って俺がしたみたいに右手の親指の爪と人指し指の腹の間で挟むように持つと、右目を閉じて格好をつけながら言った。



「あたしもお兄ちゃんみたいに、こんな風にコイン飛ばせたら気持ちいいだろうな~!

 オンリーマイレールガン!なんつって、」



 そう言って親指を弾くと、霊力を纏った10円玉が勢いよく飛んでいき、俺の背後の壁を貫いてさらに先まで飛んでいった!



「「「「「「「………え?」」」」」」」


「きゃああああっ!?何かが壁を突き抜けて飛んで来た!?」


「セイ、落ち着きなさい!とにかくお嬢様達に知らせないと!」



 呆然とする俺達の元へ、廊下の向こう側から慌てた様子でメイさんとセイさんがやって来た。



「お嬢様!ご無事ですか!?」


「何か銃弾みたいなものが飛んで来たけど何があったの!?」


「あー、えっと、実は~…、」



 メイさんとセイさんには事情を説明して、落ち着いてもらい、改めて当のカズヒに向き直った。



「カズヒ、お前…」


「あたし、霊能力者だったみたい…」



 「てへぺろ♪」な顔をするカズヒだった。

 カズヒのやつ、俺みたいにいくつもの前世がある転生者でもないくせに、精霊術師だったり超能力者だったり霊能力者だったり、って何気にチート過ぎない…?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ