第12話「Sister's War①マコトVSドライン」
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「では、改めて、両者バトル開始!」
兄さんから、聞いていた作戦プランB。
それは、クローンサイボーグの誰かと戦うことになった時の作戦の内の一つで、お互いに“加速装置”の使用が出来ない状況を作るというものだった。
もしそれが上手くいかなければ、プランB´に移行する手筈になっていたが、ゼロはその要求を飲んでくれた。
こうなれば、後はボクがドラインをなるべく傷付けないように倒す。
唯一の懸念は、ドラインが負けることで電流を流されるアインス姉さんだけど…、でも、ここでボクが躊躇えば、誰も助けられないし、幸せになれない。
覚悟を決めろ、マコト!
「うおおおおおおおっ!!」
ボクは、足のジェット噴射を起動させて、なるべく最速で最短に、最低限の威力でドラインの意識を刈り取るために、手刀をドラインの首に叩き込もうとした。
ドラインはその場から動かず、右手をボクに向けて、詠唱を始めた。
「雷の精よ、集いて矢となり敵を討て!『サンダーアロー』!!」
ドラインの右手から放たれる無数の雷の矢!
兄さんから聞いていたけど、やはりドラインは雷の精霊術を使える!
ボクは両足を前に出し、ジェット噴射を逆に噴射することで急ブレーキをかけ、両手をクロスさせて雷の矢をガードする。
その間に、ドラインは新たな術を詠唱していた。
「雷の精よ、集いて我が身と一体となれ!『スピリット』!」
次の瞬間、ドラインの全身が金色に光ったかと思うと、その姿を消した。
「まさか!?ドラインは『スピリット』が使えなかったハズだが!?」
兄さんの声が聞こえる。
『スピリット』と言うと、イツキや兄さんが使う精霊と一体化する術だったっけ?
属性によってその特徴は異なるけど、雷の『スピリット』、つまり“雷化”の場合、思考加速と行動加速が可能になる。
つまりは“加速装置”のようなものだ。
「くっ、一体何処に!?」
「後ろよ」
その声に咄嗟に振り向いたボクだったが、ドラインはすでに攻撃の体勢に入っていた。
「しまっ、」
「“加速装置”ではなく、“雷化”なら問題はないよね?」
ドラインはそう言うと両手から先程とは比べ物にならない量と威力の『サンダーアロー』をほぼゼロ距離で放った!
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「雷の精よ、集いて我が身と一体となれ!『スピリット』!」
ボクことドラインは、『スピリット』の詠唱をすると、“雷化”してマコト姉さまの背後へと回った。
クローンとして生まれ変わって、まず精霊術が普通に使えたことにも驚いたが、それ以上に前世で使えなかった術『スピリット』を使えるようになっていたことに一番驚いた。
これは後から知ったことだけど、どうもゼロにテンダーちゃんと無理矢理縛られてお互いを慰めあわされていた時に、テンダーちゃんとキスをしたことがあったのだが、それが原因らしい。
ボク達“家族”には、キスをすることでパワーアップするっていう特殊能力?が備わっているらしい。
ともかく、“雷化”したボクはマコト姉さまの背後に回り込み、無詠唱で『サンダーアロー』を同時に100本、ゼロ距離で放った。
「ごめんね、マコト姉さま…!」
ボク達は負けるわけにはいかない。
負けると、アインス姉さまがまた傷付いてしまう。
一方でボク達が勝てば兄さま達がゼロのモノになってしまう。
だけど、絶対にそうはさせない。
ボク達だけだとどうしようもないけど、兄さまが一緒にいてくれれば、いつか逆転のチャンスが来るはず。
兄さま達を巻き込んでしまって申し訳ないけど、アインス姉さまや、テンダーちゃん、ゼッツ君を助けるためには、兄さまの力が必要だから…!
ゼロ距離からの、死角からによる完全な不意打ちの多重攻撃。
避けることも出来ないその攻撃は、確実にマコト姉さまを気絶させられるハズだったのだが、信じられないことが起きた。
なんと、姉さまは振り向くと同時に、ボクの放った『サンダーアロー』の一部を紙一重でかわし、かわしきれない矢は両手の拳で弾いていたのだ。
「なっ…、そんなバカな!?」
あまりに常識外れなその動きに、一瞬呆けてしまったボクの胸に向かって、マコト姉さまのパンチが放たれた。
「ごめんね、ドライン…!
でも、きっと君達を助けるから…っ!」
「かは…ッ!?」
マコト姉さまのパンチを胸に受けたボクは、そのまま意識を失ってしまった。
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「ごめんね、マコト姉さま…!」
ドラインの放った『サンダーアロー』、これはまともに食らったらマズイし、避けようにも数が多過ぎて全ては避けきれない。
仕方がない、ぶっつけ本番だけど、やるしかない!
「『連続未来視』!」
ボクとモトカの持つ超能力である『未来視』は、兄さん達とのキスでパワーアップしていき、自分の意思で未来を見ることが出来るようになっただけでなく、見たい時間を指定出来るようにもなっていた。
だから、ボクはこの力を利用してコンマ数秒後の未来を連続で『未来視』し、全ての『サンダーアロー』の軌道を読んだ。
そして、避けられる攻撃は避け、避けきれない攻撃は、パンチで弾いていった。
「なっ…、そんなバカな!?」
そうして全ての『サンダーアロー』を捌くと、呆気にとられているドラインの胸に、なるべく痛みは一瞬で終わらせられるように、一撃必倒のパンチを食らわせた。
「ごめんね、ドライン…!
でも、きっと君達を助けるから…っ!」
「かは…ッ!?」
意識を失って前のめりに倒れてきたドラインを受け止めるボク。
とりあえず、ボクのミッションは終わった。
ドラインを気絶させる。
それがボクの作戦プランBにおけるミッション。
あとはモトカ、頼んだよ…!
*
ドラインが『スピリット』を使ったことには驚いたが、マコトは『未来視』の力を使って、『サンダーアロー』のダメージを最小限に押さえてドラインに勝利した。
ドラインは気絶し、マコトの両手は『サンダーアロー』をいくつも弾いたせいで傷付いてしまっていた。
「第一試合終了!マコトの勝ちー!」
ゼロのその言葉に、俺はマコトの元に駆け寄り、労いの言葉をかけると、その傷付いた両手に『ホーリーヒール』をかけて、癒してあげた。
「ありがとうございます、兄さん」
「いや、よくやってくれたよ、マコト。
マコトには辛い役目を負わせて…」
「謝らないで下さい、兄さん。
皆で幸せになって、皆で愛し合うため、なんでしょ?」
「…ああ、そうだな」
マコトの言う通りだ。
今は悔やんでいる場合じゃない。
「やれやれ、ドラインが負けたか、では約束通り、ポチっとな」
そう言うとゼロはリモコンのスイッチを押した。
「ン゛ン゛ッ!?ン゛ンンン゛ンンンン゛ンンン゛ーーーーーーッ!?!?!?」
再びアインス姉ちゃんの全身に電流が流れ、アインス姉ちゃんが叫び声をあげた。
しかしその叫び声はボールギャグのせいでまともな声にならなかった。
「あ、アインス姉や…っ!!」
「さて、次はテンダーの番だが、負けると分かってるよな?
次、お前が負けると、アインスはまた失禁して気絶しちゃうかもな~?」
「くっ…!」
ゼロの言う通り、アインス姉ちゃんの体はもう限界に近い。
…俺は唇を噛んで自分の中の怒りを押さえ込む。
マコトがプランBの作戦通り、ドラインを気絶させてくれた。
ここで、俺が一時の感情に任せて作戦を台無しにするわけにはいかない。
「兄ちゃん、行ってくるよ~?」
「ああ、モトカ、プランBを続行だ。
それと、」
「大丈夫~、テンダーちゃんが相手の必勝法~、バッチシ覚えてるよ~」
そう言ってサムズアップしてみせるモトカ。
そう、テンダー、魔人には魔人にしか分からない弱点がある。
その弱点をつければ、テンダーを無傷で気を失わせることが出来る、ハズ。
モトカが祭壇から降りてきたテンダーと向き合う。
「では、テンダーとモトカの試合開始っ!」




