第10話「クローンシスターズ③ナインスとゼブン」
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俺とサクヤ姉ちゃんとイツキは、傷付いたナインスをまず身体リペアマシンにかけた。
そこで、心臓付近の傷や全身の火傷を治しつつ、身体スキャンを行い、生命活動や自己防衛のための兵器以外の有害な機能(例えば遠隔操作機器や盗聴・監視機器、乳首に仕込まれたホログラム再生機能など)を徹底的に見つけ出しては除去する作業を行った。
その間に、ゼブン姉ちゃんの体も運び込まれてくると、ナインスの方はイツキとサクヤ姉ちゃんに任せて、ゼブン姉ちゃんの全身からも同様に遠隔操作機器などの発見と除去を行った(こちらの情報がゼロに漏れないようするため)。
しかし、ゼブン姉ちゃんは元々魂のない存在で、動いていたのもAIチップによって無理矢理動かされていたものだったので、AIチップが破壊された今、最早ゼブン姉ちゃんが動くことはない。
ゼブン姉ちゃんを蘇らせたいという衝動に駆られたが、他人の私利私欲の目的でクローンとして生み出され、魂無き存在となったその後もゼロに利用される存在となった彼女を、これ以上俺達の我儘で振り回すのはさすがに申し訳ないと思い、彼女の体は荼毘に付して弔うことに決めた。
ただ、弔うにしても全身に傷が付いたままではかわいそうだということで、ゼブン姉ちゃんの体も身体リペアマシンにかけることにした。
身体リペアマシンは予備も含めて三台あるので、ナインスの入っているリペアマシンの隣にゼブン姉ちゃんを入れた。
操作はマコトとモトカにやってもらった。
「え~っと、まずは“バイオヴァリアブルメタル”注入量オーケ~、それから~、機体内温度正常値確認~、そして~、機体内酸素濃度設定オーケ~、……」
「えっと…、自己修復機能異常箇所の確認…?
設定パラメーター…?な、なんですかこれ?」
「えっとマコト、それはそこのボタンを押して、数字を、」
「これですか?」
「あっ、バカ!それは違っ、」
マコトが本来押すボタンとは違った操作ボタンを押した瞬間、ゼブン姉ちゃんの入ったリペアマシンが異常動作を起こし、ゼブン姉ちゃんの全身にとんでもない電流が流れてしまった!
「うわわっ!?」
「ゼブン姉ちゃんの体が~っ!!」
「マ、マズイ、早く機械のスイッチを!」
モトカが素早く反応してリペアマシンのスイッチを切った。
幸いというか、機械の方にそれ以上の異常は出なかったが、ゼブン姉ちゃんの体は、超高電流が流れた影響で、酷かった火傷の痕が、より一層酷いことになってしまっていた…
「うぅ…、ご、ごめんなさい、ゼブン姉さん、ボクのせいで…」
「いや、マコトは悪くない…
誰にだって失敗はあるもんさ」
「でも…、」
「それより、もう一度最初からやり直そ~
そして早くゼブン姉ちゃんを治してあげなきゃ~」
「そうだよ、マコト君!
今は後悔している時じゃないよ!」
「う、うん…、そうだよね!
分かった!皆、ありがとう!」
皆に励まされ、マコトは涙を拭いて再びリペアマシンの操作に戻った。
ところが、再びリペアマシンを起動する前に、信じられないことが起こった。
それに最初に気付いたのはカズヒだった。
「…ん?あれ、なんか変な音しない?」
「え?」
カズヒの声に、皆操作を中断して耳をすませてみると、確かに「シューシュー」というごくごく小さな音が聞こえた。
意識を集中させないと聞こえないようなこんな小さな音を、よくカズヒは聞くことが出来たな…
「この音、ボクらの自己修復機能が作動して、体の傷が“バイオヴァリアブルメタル”によって修復されていってる時の音じゃない?」
「そう言えば確かにそうかも~」
「自己修復機能が…?まさか…!?」
マコト達に言われ、リペアマシンの中のゼブン姉ちゃんを見ると、なんとゼブン姉ちゃんの全身の火傷が自動で治っていっていた。
俺の後ろからマコト達も覗きこみ、その信じられない光景に目を疑っていた。
「嘘でしょ~?だって、リペアマシンまだ起動させてないよ~?」
「兄さん、“バイオヴァリアブルメタル”の自己修復機能って、死んでしまったら機能しなくなりますよね?」
「ああ、厳密には脳死状態、になったら、だな。
だから極端な話、心臓が止まってしまっても、脳が生きていれば自己修復機能は発動し、心臓を蘇生させることも可能、なのだが…
ただ、ごく稀に脳死しても何かの拍子に自己修復機能が作動し、脳を修復させた例もあったと噂には聞いたことはあったけど…」
そう、例えば戦場で脳を撃ち抜かれて死んだサイボーグ兵士だったが、死後直後に偶然落雷にあい、その後奇跡的に復活した、などの真実かどうかも分からない噂に近い話をいくつか前世の頃に聞いたことがあったが…
そういや、それらの噂話に共通しているのは、超過電流だな。
全身に超過電流が流れることによって、自己修復機能が一時的に作動し、その結果脳の一部を修復し、修復された脳によって自己修復機能が復活し、蘇生したと考えれば、今回の件も一応は説明がつく。
理由はともかく、ゼブン姉ちゃんの全身はみるみる修復されていき、全身の傷は完全に治っていた。
「な、治っちゃった…」
「こんなことってあるんだな…」
だが、次の瞬間、さらに驚くべきことが起こった。
なんと、ゼブン姉ちゃんの閉じていた目が開いたのだ。
「ええっ!?」
「ぜ、ゼブン姉さん!?」
さらに、ゼブン姉ちゃんはリペアマシンの中で起き上がり、こちらへと視線を向けてきた。
「ここは…、一体何処でしょう…?
それに…、私は誰ですか…?」
*
その後、ゼブン姉ちゃんの体をスキャンチェックしたところ、心臓は動いておらず(元々心臓としての機能を停止させられており、そこには遠隔操作型自爆装置へと改造されていた。これが起動させられていたら今頃どうなっていたことか)、脳に埋め込まれていたAIチップが超過電流によって一時的に作動した自己修復機能によって修復され、その結果脳の機能が復活し、ゼブン姉ちゃんは完全自立型のアンドロイドという形で復活したということが分かった。
その際、ゼロに操られていた頃の“エピソード記憶”に関する記憶データは消えており(元々記憶するための脳の機能が、ゼロへと映像データを送るための送信機に改造されていたため、記憶することが出来なかった)、言語や基礎知識等に関する“意味記憶”は失われていなかった。
それから治療の終わったナインスも含めて、これからのことも含めて話し合いを行うことになったのが夕方過ぎてからのことだった。
俺達は場所をイツキの屋敷の談話室に移して、セイさんお手製のクッキーをおやつに話し合いを始めた。
ちなみに、ナインスとゼブン姉ちゃんの着ていたボンテージ服は首輪の錠前のロックを解除しないと脱げない仕様になっており、現時点では錠前のロック解除方法が分からないため、一旦その上からイツキ達の服を着てもらっている。
「…なるほど、では、私はマコトさんとモトカさんのクローンサイボーグとして作られたが、
魂が宿らなかったため、AIチップによって遠隔操作型アンドロイドとして改造され、皆さん達を襲い、
マコトさんとモトカさんにAIチップを破壊され、そのまま死ぬはずだったが、
偶然の事故により自己修復機能が一時的に作動し、AIチップが修復されたことで脳の機能が復活し、
遠隔操作機能などが除去されていた私は、完全自立型のアンドロイドとして奇跡の復活を遂げた、とこういうわけですね?」
「ああ、どうやらそういうことらしい」
「ゼブン姉ちゃんの、こんな長台詞聞いたことなかったから、なんだか新鮮…」
「ナインスちゃんも、すっかり元気になったようで一安心ですわ」
「え、あ、う、うん…、ありがと、えっと、イツキ姉ちゃん!」
「ナインス、あんたを助けるためとはいえ、乱暴なことしてごめんね?」
「ううん、気にしないで、ハルカ姉ちゃん!
ハルカ姉ちゃんの愛情、ばっちり受け取ったから!
だからむしろ感謝してる!本当にありがと!」
「ナインス…!」
ハルカがナインスをぎゅっと抱き締めた。
ナインスはとても穏やかな表情をしていた。
「さて、ではお二人以外のゼロの元にいる“姉妹”を助ける方法ですが」
「ああ、それに関しては、正面突破が一番だと思う。
ゼロのあの感じからすると、ナインス達の作戦が失敗したからと言って、他の“姉妹”をすぐにどうこうする、ということはないだろう」
「うん、アニ君の言う通りだと思う。
少なくとも、ゼロの元にいる姉ちゃん達の処女は守られてるし、身体に目立つような傷が一切付けられないようにはされてる。
わたし達は、アニ君に対する特効兵器でもあるから、そういう意味でも、下手に姉ちゃん達をどうこうするってことはないと思う…」
「俺への特効兵器、ね。
確かに、あんな姿で攻められたら、俺は何も出来ないな…」
「アニぃは優しすぎるんだよ」
「ちなみに、他の“姉妹”達はあと何人いるの?
ナインスちゃんが9番目ってことは、あと少なくとも七人はいるの?」
「ううん、クローンサイボーグは、アインス姉ちゃんも含めて10人いて、
ツヴァイス兄ちゃんとフォルス姉ちゃんとフィフス姉ちゃんとアハトン兄ちゃんはゼブン姉ちゃんと同じAIチップによって動くアンドロイド型サイボーグ兵器として、シロックっていうゼロのパトロンに納品されたって聞いたから、
ゼロの基地に今残っているのは全員あたしと同じクローンサイボーグで、
アインス姉ちゃんと、ドライン姉ちゃん、ゼッツ兄ちゃん、テンダー姉ちゃんの四人だよ!」
「シロックさんに納品された、って…」
「アスカさんの言ってた通り、だね」
「ん~、だとすると、ボク達が助けにいくべきはあと八人、ってこと~?」
「勿論、最終的には全員助けてあげたいが、優先順位的に、まずはアインス姉ちゃん達、つまりは魂を持って生まれた“家族”達を先に助けよう」
「…そうですわね、シロック氏が関わっているとなると慎重にならざるを得ませんわね。
アスカさんにも迷惑をかけかねませんし。
そちらはアスカさんも含めて後日改めて作戦を考えましょう、とても悔しいことですが…」
魂無き存在とはいえ、これ以上“家族”達を他人に好き勝手利用させるわけにはいかない。
いずれ必ず助け出す。
そのためにも、まずはゼロの基地にいるというアインス姉ちゃん達をしっかりと助け出さないと!
「ちなみに、アインスお姉ちゃんには前世の記憶があるって話だったけど、ナインスちゃん達はどうなの?」
「うん、ゼッツ兄ちゃん以外は前世の記憶があるよ。
それも、全員が恐らくアニ君の関係者だよ」
「ぜ、全員俺の!?」
「うん!ちなみにわたしの前世は分かる?覚えてるかな?」
「すまん、この辺まで来てるんだが…」
「んー、そっか。
じゃあ、正解教えて上げる!
わたしの前世はフィオナ、【炎帝石の戦乙女】として、アニ君達と一緒に戦ってたフィオナだよ!」
「【炎帝石の戦乙女】のフィオナ!」
その言葉を聞いて、脳内にいくつかの映像が再生された。
その世界では、“乙女石”と言われる、特殊な石に選ばれた少女達=“戦乙女”が、地球侵略を企む機械宇宙生命体と戦っていた。
“乙女石”にはいくつもの種類があり、大きく分けて大量生産品である汎用型と、特定の個人にしか扱えない特殊型の二種に分かれ、その特殊型の一つがナインスの“炎帝石”で、俺の双子の姉、アカネ・ラングレーが持っていたのが“水皇石”だった。
という所までを、わずか一秒の間に思い出した俺は、改めてナインスに向き直った。
「そっか、まさかフィオナも転生してきて、しかも俺の“本当の妹”になるなんてな…」
「本当、やっと夢が叶ったよ!
だってアニ君、筋金入りのシスコンでわたしがいくら告白しても聞く耳持たずだったし、
それならわたしも妹になればいいんだ!って思って“アニ君”呼びし始めたけど、本当の妹じゃないからって、結局フラれちゃって…」
「お兄様…」
「お兄ちゃん…」
「アニぃ…」
「イッ君…」
「兄さん…」
「兄ちゃん…」
「………」
「し、仕方ないだろ!?俺のシスコンは最早2000年越しの呪いみたいなもんなんだから!!
というかゼブン姉ちゃんはせめて無言止めて!」
「そう言われましても、私は皆さんのことを何とお呼びすれば良いのでしょうか?」
「普通に呼べばいいと思うよ!だってあたし達家族なんだし!」
「…ですが、私はアンドロイド型サイボーグで、魂も、ヨウイチさんとの前世の記憶も無い存在ですし」
「そんなの関係ありませんわ。
ゼブンお姉様は、遺伝子的にも間違いなくわたくし達の家族ですし、魂の有無などは関係ありませんわ。
お兄様との記憶は、これからたくさん作っていけば良いのです。
そうすれば、きっとゼブンお姉様も、お兄様のことが好きになると思いますわ」
「分かりました、皆さんの家族として、これから宜しくお願いします」
そう言って綺麗なお辞儀をするゼブン姉ちゃん。
うん、新しい姉妹が増えるというのは喜ばしいことだな。
「話を戻すけど、残りの二人、ドラインとテンダー、だっけ?
この二人は兄さんとはどういう関係だったの?」
「うん、えーっとね、ドライン姉ちゃんは、なんか精霊術師?だったみたいで、前世の名前はミラ…、なんとかって言ってたかな?」
「みっ、」
「ミラちゃんですって!?」
ナインスの言葉に、俺とサクヤ姉ちゃんが同時に反応した。
「ミラ、って言うと確かお兄ちゃんと同じ王国騎士団の副団長だったっていう?」
「ああ、ミラ・ターナー、“雷の精霊術師”だった子だ。
まさか、ミラまで転生してるなんて…」
「それであと一人、テンダーちゃん、だったかしら?
その子の前世もイッ君の関係者、というよりイッ君を好きだった女の子なのかしら?」
「うん、そうだよ!」
「え!?皆俺を好きだった女の子だって!?
え、じゃ、じゃあ、ナインスだけじゃなくてアインス姉ちゃんや、ドラインが俺のことを好きだったのか!?」
「ああ、やっぱり兄さんはアインス姉さんの想いに気付いてなかったんだ…」
「兄ちゃん、本当に罪作りな人~」
「気付いてなかったのイッ君だけよ…」
「ま、マジか…」
「お兄様がわたくし達姉妹以外の女性に興味が無いというのは、真の“シスターズアルカディア”を作るという意味ではありがたいことなのですが…」
「ここまで来ると異常過ぎるよ、アニぃ…」
「う、うるせぇ!そ、それよりテンダーの前世の話だよ!」
「えっとね、テンダー姉ちゃんは魔人だったみたいで、名前はモーナ?だったかな?」
「モーナ・ギャランズ…、まさかモーナまで俺のことを…?
いや、確かにモーナは魔人にしては珍しく家族愛に理解を示していて、俺のことも“兄や”って言って懐いてくれてたし…」
「アインスお姉ちゃんも、ドラインちゃんも、ナインスちゃんも、テンダーちゃんも、皆お兄ちゃんへの想いが強すぎて、それが心残りとなって、“姉妹”として転生しちゃったんじゃないの?」
「そ、そうなのかな…?」
「わたし達はきっとそうだろうって話をしてたよ」
俺、“姉妹”以外にはモテない人生をずっと歩んできたと思っていたのだが、意外と罪作りな男だったのか…?
い、いや、今はそんなことはいい!
ゼロの基地にいる残りの“姉妹”が皆、前世で俺なんかを愛してしまったせいでまともな恋愛をすることが出来なかったというのなら、今度こそ俺が責任をもって皆を愛して幸せにしてあげなければならない。
そのためにも、何としてでも助け出す、どんな手を使ってでも…!
「と、とりあえず他の“姉妹”達のことは分かった。
あとは、どう彼女達を助け出すか、だが、
まず基地には明日、俺の義手が完成し次第乗り込もうと思うが、ナインス、基地はどこにあるんだ?」
「えっとね、竜眼島っていう無人島の地下だよ」
「竜眼島、って言うと俺達の世界で言う巌流島か。
まさかあの島の地下にそんな基地が作られてるなんて…」
「それでお兄様、やはりわたくし達全員で乗り込む感じでしょうか?」
「いや、相手の人数次第では全員でとも考えていたが、イツキとサクヤ姉ちゃん、それにナインスとゼブン姉ちゃんはクルセイド研究所で待機していて欲しい」
「…仕方がありませんわね。
この世界ではわたくしは足手まといにしかなりませんし」
「すまない、イツキにとって精霊力の少ないこの世界は不利過ぎるからな…
それで万が一ここが襲われた時のことも考えて、イツキの護衛としてサクヤ姉ちゃん達には残っていて欲しいんだ」
「分かったわ、イッちゃんは私が全身全霊で守るわ!」
「了解です、私も姉としてイツキさんのことお守りさせていただきます!」
「わたしも護衛役なのー?」
「勿論、それもあるがナインスとゼブンが残る理由はもう一つある」
「もう一つの理由?」
と、そのタイミングで、夕食のいい香りが漂ってきた。
「はいはーい、一旦お話はその辺にして、そろそろ夕食出来るから、皆は先にお風呂で汗を流してきたらどうかな?」
セイさんのその言葉に甘えて、俺達は先に風呂に入ることにした。
特にナインスは久し振りのお風呂ということでテンションが上がっていた。
ゼロは皆を風呂にも入れなかったのか?と聞くと、お湯で身体を洗われただけだ、と言う。
ますます許せねぇヤツだ!
ゼロは絶対に俺がこの手で倒す!
*
皆で服を脱ぎ、大浴場へと入る。
その際、やはりどうしてもナインスとゼブンの外せないボンテージ服がどうしても気になってしまう。
「ねぇイッ君、ナインスちゃん達のこのボンテージ服、なんとかしてあげられないのかな?」
皆で体の洗いっこをしながら(俺の体は相変わらずハルカと、今日はマコトが洗ってくれている)、サクヤ姉ちゃんが俺に話しかけてきた(ちなみにサクヤ姉ちゃんはナインスの体を洗ってあげている)。
「ああ、それがナインス達を研究所に残すもう一つの理由なんだ」
「え、どういうこと?」
シャンプーハットを被りながらナインスが尋ねた。
「ナインス達のボンテージ服は、その首の錠前によってロックされてるみたいなんだ。
無理矢理ボンテージ服を脱がすことも考えたんだが、そのボンテージ服は俺達の戦闘服にも使われてる超耐久素材が使われていて、破ることも壊すことも出来ないようになってる。
だから完全にその服を脱がすには錠前のロックを外すしかないんだが、その解除の仕方が分からない。
だから、その解除方法を調べるために、二人には研究所に残っていてもらいたいんだ」
「なるほど、そういうことか」
「勿論、ゼロから聞き出せれば一番いいんだろうが、ヤツが簡単に教えてくれるとは思えないしな」
「錠前のロック解除方法が分かるといいわね」
「うん!」
その後、流れから皆でキスをすることになり、ナインスも含めた家族全員でキスをした。
ナインスは恥ずかしがっていたが、前世の頃からの夢がようやく叶ったと涙を流しながら喜んでいた。
「アインス姉ちゃん達も、きっとアニ君のこと待ってる…
だから、絶対に助けてあげてね、アニ君…!」
「ああ、勿論だ!」
シスコンとして生まれてしまった以上、俺はその責任を果たさねばならない。
“姉妹”全員を絶対に幸せにする!
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その後、食事を終えた俺はナインス達の首の錠前の構造を調べるために研究所へと向かった。
ナインスと一緒にハルカとモトカも手伝いとして付いてきてくれた。
解除出来るなら少しでも早くがいいと考えたからなのだが、やはりそこにはゼロの嫌らしさがあった。
「アニ君、どんな感じ?」
「これは、思ってた以上に厄介だ…」
「まず~、このロックを解除するための機械というか、設備が必要みたいだね~」
「え、じゃあここでは解除出来ないってこと?」
「いや、その機械自体は、今夜一晩使えばここにある機械で新しく作ることは可能だ。
問題は、ロックを解除するためのパスコード入力が恐ろしくめんどくさいということだ」
「パスコード入力?」
「うん、この錠前の下部分に小さな穴があって~、そこからケーブルを入れて~、ロック解除するための機械と繋げて~、解除パスコードを機械で入力すれば~、ロック解除出来るんだけど~…」
「どうもそのパスコードが10桁近くあるっぽくてな…
その辺りはもう少し詳しく解析してみないと分からないが、かなり厄介な、というより解除することを考えてない作りになってるみたいで…」
「じゃ、じゃあこのボンテージ服、一生脱げないってこと?」
「現時点では何とも…」
「だとしたら困るじゃない!
ナインスなんて特にまだまだ成長期だろうし、このまま脱げないなんてことになったら…」
「いや、その辺は問題ないよ。
このボンテージ服の素材は、戦闘服の素材と同じで伸縮性にも優れてるから、成長しても問題なく着れるようにはなってる。
…とは言え、いつまでもこんな物を着させておくわけにはいかないから、なんとかはしてみるが」
「わ、わたしはアニ君にだけ見られるなら、このままでもいいけど…
だって、アニ君もこーいうの好きでしょ?」
「そうなのアニぃ?」
「そうなの~、兄ちゃん?」
「す、好きか嫌いかで言や、そりゃ好きだけども…
でも、それはゼロに無理矢理着せられたものだろ?
そーいうのはやっぱりちょっと違うと言うか…」
「うん、ありがと、アニ君♪」
その後、錠前のロックを解除するための機械を作るために、その設計図をハルカとモトカに手伝ってもらいながら作成し、その設計図を機械を作るための機械(特に名前を付けてなかったが、モトカが不便だということで、“万能機械作成機”と名付けた)に入力し、明日の朝には完成出来るように設定して、研究所を離れた。
明日は、いよいよ俺の義手が完成し、そして新しい“姉妹”達を迎える日となる。
そのためにも、今夜はしっかりと体調を整えて明日に備えよう。
誰も犠牲にせず、家族皆で幸せになるために…!




