第7話「ゼロ」
*
ナインスちゃんに説明を終えた頃、ボクらのいる透明な部屋に近付いてくる二つの足音が聞こえてきた。
その足音を聞いて、一瞬ビクッと身体を震わせた姉さまの様子から、恐らくこの足音の内の一つは…、
「ふむ、さすがにこれだけ美少女の愛玩道具が揃うと壮観だな」
透明な壁の前に立ち、ボクらをじろじろと嫌らしい目で眺める男、ゼロ。
キザったらしくマントを羽織っているのがムカつくが、その顔がイチロー兄さまと瓜二つだったのが余計にムカついた。
イチロー兄さまの顔でそんな嫌らしい顔をするな!!
「ぜ、ゼロ様…!」
ゼロが来るのとほぼ同時に、姉さまだけが立ち上がり、お辞儀をした。
ボク達は、ゼロに身体をこれ以上見られないよう、大事なところを手で隠した。
そして、よく見ると、ゼロの後ろにもう一人いるのが見えた。
足音が二人分聞こえたのだから、もう一人いて当然か…
ゼロの影に隠れててよく見えないが、少し年下の裸の女の子…?いや、身体の線は細いけど、胸はないし、股間には、男の子の象徴がある!!
「さて、それじゃ紹介しておくか。
彼はクローンサイボーグNo.6、ゼッツ、年齢上は君達の弟、ナインスからすれば兄、になるかな」
「ど…どうも、は、初めまして…お姉様方、ゼッツ、です…」
ゼッツ君は前に出て来ると、ボク達の姿を見て一瞬目をそらし、股間を抑えながらお辞儀をした。
顔立ちはやはりイチロー兄さまにそっくりだが、イチロー兄さまを幼くしたら、というよりまんま女の子にしたらこんな感じだろうか。
でも、そうか、ボクらの弟か…
ボクらの裸を見て恥ずかしがってる様子が少しカワイイ。
透明な壁越しじゃなければ、今すぐ抱き締めてからかってあげたい衝動に駆られた。
というか、男の子にまで服を着せないなんて、ゼロにはそっちの趣味でもあるのかしら?
「いや、さすがに俺に男色の趣味はないさ。
ただ、少し暇潰しに面白い余興をしてもらおうと思ってね」
「余興、ですって…?」
*
「んっ……!」
「あんっ……!」
「ううっ…、ドラインお姉様、テンダーお姉様…っ!」
「くくくっ、いいぞ二人共!
どうだゼッツ、なかなか気持ちいいだろ?」
「うっ…くうぅっ…!」
「ほんっと、最低…、んんっ…!?」
「はぁ、はぁ、ボク達に、んっ…、こんな…っ、ああんっ!?
こんなことっ、させてっ…、ただじゃおかないんんんっ…、だからっ!!」
ボクとテンダーちゃんは正面からお互いに抱き締めさせられ、ゼロが用意した鎖で、両手は相手の背中側で、二人の両足は絡ませながら縛られ、お互いの身体を押し付けあって、お互いの身体で自慰をし合うようなことをさせられていた(鎖で縛ったのはゼロに命じられたナインスちゃん)。
何故そんなことをしないといけないのかと文句を言ったら、ゼロがいきなり持っていたスイッチを押し、それによってアインス姉さまの首輪から電流が流れ、アインス姉さまは失禁しながら、その場に気絶してしまった。
アインス姉さまは大切なんじゃなかったのかと言うと、「生きた鑑賞品だからこそ、その垂れ流す液体を楽しむのも一興」とかいう模範的過ぎる変態回答が帰って来た。
ゼロとは、絶対に分かり合えない。
イチロー兄さまにそういう趣味があったとしても受け入れる自信はあるけど(兄さまが姉妹のおしっこを好む変態さんだったとしても、姉妹を傷付けてまでこんなことはさせないハズだから)、ゼロだけは、絶対に受け入れないし、許しもしない。
そんなわけで、これ以上姉さまを傷付けるわけにはいかないので(姉さまは改造されてない生身の肉体だから)、ゼロの言うことに従っているというわけだ。
ボクとテンダーちゃんが正面から抱き締め合うと、お互いの乳首が当たり、そこから軽い電流が走ったような甘い刺激が走る。
それにお股同士もこすれあっちゃうけど、肝心な所には当たらないから非常にもどかしい感覚だけが延々と続く。
絶頂しそうで、絶頂出来ない…!
そして、そんなボクらの恥態を、ゼッツ君は目を閉じず、前も隠さないように命じられてじっと見ている。
両手は背中で組まされている。
彼の股間へ視線を向けると、今一番辛いのは彼なのかもしれない…(耐えてくれ、弟よ、姉ちゃん達も辛いのよ…!)
一方、ボク達を縛ったナインスちゃんも辛そうな視線をこちらに向けていた。
ナインスちゃんだって好きでこんなことをしたわけじゃない。
だから、あなたが気に病むことじゃないのよ?
「くくくっ…、実にいい光景だ。
このままずっと見ていたいが、時間だ。アインス、いい加減起きろ」
そう言うとゼロは透明な壁に手を触れ、壁に空いた穴から部屋に入ってきて、姉さまの隣に立つと、再び手に持っていたスイッチを押し、姉さまの身体に電流を流した。
「ぐっ…!?キャアアアアアアアアアアアアアッ!?」
「ねっ、姉さま…っ!!」
「姉や…!」
「姉ちゃん!!」
「あ、アインスお姉様っ!」
電流で強引に覚醒させられた姉さまを、今度は首輪に繋がれた鎖を引っ張って無理矢理立たせると、そのまま姉さまを引きずるようにして連れて部屋を出た。
「ゼッツ、もういいぞ、おまえもこの部屋に入って待機しておけ。
ただし、いくら愛玩道具が愛しいからといって、愛玩道具共の処女を奪えばどうなるか、分かっているよな?」
「は、はいっ!
そ、そんなことはしませんし、出来るわけありませんっ!!」
「よし。
それからドラインとテンダーは、次の指示があるまでは二人でそのまま愛を深め合っておくといい。
ははははははっ!!」
「はぁ…、はぁ…、くっ…、お、覚えてなさっ、んんっ…!?」
「はぁ…、はぁ…、あっ、んんっ…!!」
結局、ボクとテンダーちゃんはそのまま数日の間、お互いの身体を密着させあったまま、望まぬ快楽地獄を味あわされ続けることになったんだけど、その間に色々お互いのことを話し合うことが出来た。
ボクの過去、テンダーちゃんの過去、そしてナインスちゃんの過去。
同じ魂を持った人を好きになった者同士が生まれ変わって姉妹となった奇跡。
悪いことばかりじゃない。
それに、きっとイチロー兄さまが助けに来てくれる…!
ちなみに、ゼッツ君には前世の記憶はなく、イチロー兄さまとは唯一関係の無いクローンサイボーグということになるようだ。
もうそろそろボクもテンダーちゃんも快感の限界に達しそうになってきた時、とうとうその時が訪れた。
ゼロが、黄色のボンテージ服を着たクローンサイボーグNo.7(魂の無いAIで動くクローンだから、クローンアンドロイドと言うのが正しいが)のゼブンという少女と共に、ボク達のいる透明の部屋へとやって来た。
「ナインス、お前に使命を与える」
そう言ってゼロが透明の壁に手を触れると、透明な壁に穴が空いた。
「今からこのゼブンと共に、クルセイド研究所へ迎え。
そして、そこにいるお前達のオリジナルである双子姉妹と、ヨウ博士の転生体を連れて来い。
色仕掛けでも何でも、どんな手段を使っても構わんぞ?」
「りょ、了解、です…!」
イチロー兄さまが、ついにこの世界に転生してきた…!
その時、不意にボクの脳裏に、あの優しくて強かった兄さまの笑顔が浮かんだ。
『ミラ、よく頑張ったな!』
「にっ、兄さ…、まぁあああああっ!!!!」
「に、兄やぁあああああ…っ!!!!」
その瞬間、今まで達することが出来なかったボクとテンダーちゃんは、ほぼ同時に達してしまい、二人一緒に意識を失ってしまった。
意識を失っている間、ボクは夢の中で、テンダーちゃんと一緒に二人の同じ顔の少女、恐らくはマコちゃんとモカちゃんだろう、とまるで仲良しの四つ子のように笑い合っている夢を見た。
ボクらの真ん中には勿論、兄さまがいた。




