幼馴染
午前の授業が終わり、隣のクラスにいる潤也と昼食をとろうと思い自分の鞄から薄茶の弁当箱と銀色の水痘を取り出し、椅子から立とうとした。
廊下の方から潤也が呼ぶ声がしてそちらの方を見る。
「てっちゃん、一緒にお昼食べよう」
俺は潤也の方へ向かう
「潤、今誘いに行こうとしてたよ」
そう言った俺に、潤也は嬉しそうに微笑んでいた。
廊下を出て、おしゃべりをしながら中庭へ移動していた。
「そういえば、どうしてこの学校に転校して来たの?」
潤也は俺の前に出て振り向いた。
「地元に戻って来たくてね、戻ってきたんだよ」
あと、てっちゃんに会いに来たんだよ。と言った。
それを聞いて哲夫は少し嬉しくなった。また幼き頃のように一緒に居ることが出来るのだと。
1歳だった幼き頃の2人は5歳まで毎日のように遊んでいた。
出会ったのはデパートの子どもの遊び場のような所で、哲夫は遊んでいたが潤也はその遊び場の少し離れた所におり遊びたそうにこちらを見ていた。
それに気づいた哲夫は初対面だったが潤也を誘った。
「ねぇ、一緒に遊ばない?僕は、堂本哲夫っていうんだよろしく」
そう言って右手を前に出す哲夫を、潤也はポカンとした顔をした。
遊びに誘ってくれた人が初めてで、どうしたらいいか少し戸惑ったが哲夫の手を取り一緒に遊んだ。
それから、デパートだけでなく公園や家でも遊ぶくらい仲良くなった。
だが5歳の時、潤也の家族は引っ越しをすることになり離れ離れに。
「潤と同じ小学校に行けると思ってたけど、、、」
シュンとする哲夫の両手を握りはっきりと言う潤也。
「また会いに来るから!!手紙も送るから!!」
哲夫はにっこり笑うと、潤也は哲夫を抱きしめる。
「僕待ってる」
車に乗って遠くへ行ってしまう潤也を見ながら、大きく手を振る。
見えなくなったところで、僕は我慢していた涙を沢山流していた。
幼馴染である二人。
今も変わらず仲が良いのが微笑ましい。
いつかは二人が離れてからのお話も書けたらと思ってます。
ここまで読んでくださって有難うございました。
次回も是非読んでくださいな。