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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第四章 それぞれの決意と失踪
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第91話 ポンコツ過保護神、質疑応答

「『勇教国家レジェンディア』ねぇ…とりあえずキナ臭いのは間違いないし、黒に近いことは確かだがさすがに証拠がなさすぎるな。『魔物使い』…そんな生易しいレベルの存在じゃないと思うんだよな俺」



『王からぶんどった』屋敷の自室のベッドの上に寝そべり、不機嫌そうに独り言ちるナナシ。言わずもがな、王城の会議を盗聴して情報収集していたのだ。

 マリアが消えた、というより感知できなくなったことで焦りと少ない後悔を感じていたのだが…今は誰から見ても落ち着いていた。



「となると厄介なのは…やっぱり『こっち』だよなぁ…なぁ、そこで勝手にお茶飲んでくつろいでるポンコツ神さんよ」


「キミが進化したからわざわざ祝福しに来てあげたのに、ひどい言い様じゃないかナナシ君。せめて気づいてるなら体を起こしてこっちに向けて発言してくれてもいいじゃないか」



 ナナシが不機嫌な理由はそう、なんの前触れもなく気づいたら部屋の中で寛いでいたミコトがニコニコしながらお茶を飲んでいたからである。

 ナナシによる侵入防止結界、クラウの調整ミスによる高濃度の傍聴防止結界の両方が屋敷に掛かっているにも関わらず、一切の抵抗もなくナナシの自室に転移してきたのだ。

 亜神程度のステータスでどうにかなるとはさすがに思ってはいないものの、こうまで簡単に自室で優雅にお茶されているのは嫌がらせとしか思えなかったのだ。

 仕方なくベッドに座り直し、ミコトに向けて話しかけることにした。



「うるせーな、ポンコツ過保護神が…色々聞きたいこともあるんだが、今日は時間とれるのか?割と自由にしてそうとはいえさすがに忙しいんだろう?」


「ポンコツ過保護神って…まぁそうだねー、この世界の時間軸で言うと大体30分が限度かな?あまりこの世界に干渉しすぎるとこっちの神に怒られちゃうからね。『誰か』が『時空をいじる』ことができれば伸ばせるよ?」


「ちっ、それしかねぇか…『亜空間結界』…これでいいか?とりあえず100倍程度にしておいた」


「うんうん、だいぶ神力を使いこなせているね。でもまだ甘いかな?20分以上この結界に2人も神がいるとさすがにバレるから気を付けて使ってね。それで聞きたいことって何かな?」


「まぁ最初から順番に…まずあの装備だが、さすがにどうかしてると思ったわ。

『伝説級』やら『神話級』やらポンポン出しすぎだろ!パワーバランス崩壊すんぞ!?」


「あら、気に入ってくれなかったのかな?その割にはムラマサは使ってくれたんだね、嬉しいよ」


「いやそうじゃなくてだな…『俺が売りに出す』とか『特上級ぶっぱなす』とか思いつかなかったのか?そんなことになってたら軽くこの国は崩壊してるぞ」


「あっはっは、その程度じゃさすがに価値がありすぎて売れないのと、特上級魔法に必要な魔力がとてつもなく多いから連発はできない。何も問題はないさ!」


「……わかった、俺が悪かった。製作者がとてつもなくアホだということが分かっただけで良しとする」



 ナナシがこの世界に降り立ったときに、ミコトからいくつかの武器とナナシが愛用しているコートなどが送り付けられていた。

 それらは全て『ミコト作』であり、神視点からすれば失敗作のオモチャ同然の武器でしかない。だが、それらほとんどがこの世界では失われたとされる武器であり、切れ味・耐久性・付与されている魔法それら全てが戦争時において戦局を覆すレベルの物だった。



「まぁとりあえず、俺に渡された武器はミコトにとってはゴミで、処理に困ったから俺に押し付けた、ってことで不本意だが無理やり納得したことにする。

 次に聞きたいことだが…ミコト、『俺のスキルはこれで全部』なのか?お前のことだからとっくに俺に対して『鑑定』以上のものを使って調べたんだろうと予想はしている。その予想に至ったのはあの時突然かけてきた電話がタイミング的におかしいと思ったからだ」


「ふふっ、さすがナナシ君だね。実は君が『この世界に来てからずっと』見続けていたんだよ。だからあの危険なスキルを強引に送り付けたんだ。…まぁさすがのボクでも、『君の魂にもう一つの魂が存在する』なんて思わなかったけどね」


「…は?ちょっと待て、意味が分からない。俺の魂を拾い上げたのはミコト、お前自身って言っていただろう?その時点で普通なら気づくんじゃないのか?」


「うーん…それなんだけどね。魂って言うのは卵みたいなもので、殻に覆われて中身が溢れないようになっている。ただし、中身と殻は全く同じ物。それが一般論、というか普通の魂なんだよ」


「…それはつまり、『外的要因』以外では異常は起こらない…いや、起こるはずがない、ということだろう?つまり、俺の魂には何かしらの異常事態があったというわけか」


「それなんだけどね…君が生み出したホムンクルス。相馬沙羅、って名付けた子かな?その子の魂が『殻』だったんだよ。まるで君自身をひたすら隠すように、何かから守るように」



 その瞬間、ナナシは頭を何かに殴られたような強烈な衝撃が襲ったような錯覚に陥った。

 そして失われていた記憶の一部が濁流のように流れ込んでくる。

 そしてナナシは思い出す…『相馬沙羅』との記憶を。



「そうだ…思い出した。あいつは、サラは…『俺の許嫁』だったんだ」

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