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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第四章 それぞれの決意と失踪
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第78話 不穏な影、急成長の弊害

「魔力が一切感じない以外はただの空間というより隙間みたいなものだよな…」


「そうですね、では試しに私が行ってみましょうか?何か危険があれば即座に退却しますし、何よりマスター自身に危害が加わらないためにもですが」


「あー…いや、行かなくていいぞ。ひとまず今日は戻る。出国の時にここを全員で調べることにする。

 一応結界は張っておくが…マリアはもしかしたら諦めざるを得ない可能性もある。そのことも全員に伝えなくてはならないな」



 謎の人形が消えていった空間に2人では立ち入ろうとせず、明日の出国時に全員で捜索することにしたナナシ。

 マリアが突如失踪した原因も今のところ不明なまま謎の巨塔を後にして屋敷への帰路へとつく。

 その姿を塔の上部から魔法で監視する謎の影があったのだが、それに気づくことなくその場を立ち去る。

 その影はナナシとサラの去っていく姿を見てニヤリと楽し気な笑みを浮かべるのだった。



「それにしてもサラ…くノ一だなんてよく再現できたな。これも俺の記憶から読み取ったと言ってたが、他にも俺の好みを全て熟知していると見て間違いないのか…?」


「その通りです。マスターの趣味嗜好、性癖までも網羅しております…元はマスターから生まれたスキルですので。

 今回くノ一にしたのはその…マスターに見てもらおうと思って、ですね」


「お、おいそんな言い方されると色々と誤解しかねないだろ!?

 ったく…ダンジョン出てからどうしたんだ?どういう心境の変化なんだ?」



 サラはナナシと2人きり、という状況が今までになることがなかったためこの機会に今の状態を伝えようと思ったのだ。

 生み出された当初は衣服を纏わず、恥ずかしがることさえもしなかったのだ。

 そんなナナシ好みの見た目のサラがもじもじしながらナナシと向き合っている。

 ナナシの身体が驚異的速度で神の身体に近づくにつれてサラも感情を身に付けつつある。

 だがあまりにも早すぎる心の成長のため、感情の制御をしきれないままだったのだ。

 ナナシに対する今回の行動もその制御ができないからである。



「私にもいまいちわからないのです。ただマスターに対する好意的感情が急に大きくなって…この世界で初めてマスターと会話したのは私なのに、という嫉妬なのでしょうか」


「嫉妬?エルやエレン、シルビィにか?ということはまさかとは思うが…」


「マスターに気に入られたい、認められたいと思ってしまったようです。

 申し訳ございません、スキルの分際でこのようなことを言ってしまって…」


「何を言ってるんだ?迷惑だなんて俺は一言も言ってないし、そもそも大切な相棒といつも言ってるだろ。

 だがきっとそれじゃ物足りないんだろうな…すまない、サラ。俺が全ての原因だ」


「マスターは悪くありません!全ては私が制御さえできていればこんなことには…」



 お互いが自身が悪いと言い合いながら夜のガルディアの都を屋敷に向かって歩く。

 屋敷の前でナナシ達を待つ姿があった。クラウとメイドたち、それとアスモだった。

 ナナシとサラが飛び出して行った後にアスモが気づき、その慌てた姿を感じ取ったクラウ達が門前にて待機、となったそうだ。

 ナナシ達が出てからわずか1時間程度しか経過していないのだが、それでも7名の戦闘態勢は整っていた。

 血の気の多い集団となってしまったのである。


 ちなみにユキはというと…アスモが抱き枕にしていたせいもあり、心身ともに疲労困憊となってベッドにぐったりとしているのだった。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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