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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第四章 それぞれの決意と失踪
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第77話 マリア失踪、謎の巨塔

≪マスター、マリアの姿がありません。私の感知で見つかる範囲にもいないようです≫



 王への謁見を終えたその夜、サラから『念話』による連絡が入る。

 どうやら全員が寝静まってから屋敷から失踪したらしい。

 だがナナシは一切慌てることなく自室の窓から飛び降り、とある方向へ向けて走り出す。



≪ま、予想はしていたが俺とサラの感知をかいくぐる程だとは思わなかったな。

 ま、『聖女』とはいえ誰かと裏で繋がっているのは気づいていたし当然だな…≫


≪随分暢気ですねマスター。私も同行します、よろしいですね?≫


≪ん、サラには屋敷に残ってもらおうと思ったが…まあいい、たまには2人っきりで行くか。

 俺の位置はわかるな?そこで待つ≫



 ナナシはとある裏路地に来ていた。昼夜問わず人気が無いこの路地は危険な薬物や違法武器の取引、ひいては役人への賄賂に使われることが多々ある。

 ナナシが到着した時も怪しい人影があったのだが、ナナシの姿を見て巡回の兵士か何かと勘違いしたのか一目散に逃走していった。

 よって現在はナナシ1人がこの裏路地に佇むことになった。

 やがて数分後、サラが空から降ってくる。どうやら風魔法で空を飛んで来たようだ。

 姿を見られれば何かしら騒ぎが起こる可能性があったのだが、現れたサラの姿は…



「お待たせしましたマスター。…どうかなさいましたか?呆けた顔をしてらっしゃいますが…」


「い、いや…サラだよな?なんだその恰好、くノ一の恰好じゃないか!しかもなぜそんなに露出が激しいんだ…

 ま、まぁ眼福だから俺は構わないが、その姿を選んだ理由を移動しながら聞いてもいいか?」


「夜とはいえ人が空を飛ぶなど目立つので、マスターの記憶を読み取りこの姿ならば見つかりにくいと情報を得ました。

 露出についても同様で、マスターの記憶上の姿がこのようなものでした。それだけじゃなくマスターが喜ぶかと思いまして…」


「お、俺のため?まぁ嬉しいが…サラらしくないな、どういう心境の変化だ?

 それぞれの意思を尊重したいから心を読み取ることはしてないんだが…何があった?」


「はぁ…本当にマスターは女心がわからないのですね。…それはともかくとして、まだ私は足取りが掴めていないのですが…」



 サラの恰好は紛れもないくノ一そのものだった。

 だが身に纏っている布地はギリギリまで少なく、鎖帷子風の網目のインナーがよりそのセクシーさを際立たせていた。

 本人は目立たずナナシが喜ぶ恰好を、と思って着てきたらしいのだが…むしろ露出の激しさで目立っていないか心配になるほどだった。

 丁寧に下着ではなく気持ち程度のサラシを巻き、白いふんどしを巻いているその姿はもはや普段の冷静沈着なサラと同一人物とは思えないほどであった。


 そんなサラと合流し会話しながら向かう先は王都から少し外れた森の中。

 ファスターの町とは正反対の方角にある山の麓の森林地帯、そこにそびえ立つ1つの塔。

 ここまで近づかないとサラの感知が反応しないほど強力な阻害効果のある魔法がかけられているようだ。

 ナナシでさえ内部は詳しくわからないほどであるため、この塔はおそらく神が何かしらの目的として建造し、その存在を秘匿してきたのだろうと憶測が付く。



「俺でも中がわからないとはな…この塔自体が強力な魔道具として扱われているのかもしれないな。

 奴隷契約を結んでいる以上勝手な行動や不利益な行為はできないようになっているはずだが、これはそれを無視できるほどの効力があると見て間違いなさそうだ」


「マスター、鑑定した結果なのですが…どうやらこれはベルゼブブの力が関わっているようです。

 あの時アスモによって倒されたはずですが、さすが不死と言われるだけのことはあるようですね」


「そもそも倒せていたかどうかが怪しいな。肉体が消えはしたものの、実は本体ではなく偽物だった可能性もある。

 まぁそれもこれも調べてみればわかることだろうさ…とりあえず入り口を探さないとだな」



 高さ200m、直径50mはあろう謎の塔だが、ぐるっと一周しても扉や門のような物が一切なく、窓もないため入る方法が見当たらなかった。

 気になって周囲を『魔力感知』のみに特化して調べてみると、少し離れた所にぽっかりと魔力のない範囲があるところを発見する。



「あからさまに怪しいな、あそこ。だが何の変哲もない空間…と呼ぶには狭すぎるな。

 まぁ行ってみればわかるか…サラ?何をしてるんだ?」


「マスター警戒を。魔力を感じられない何者かがこちらへ向かってきております。

 かなりの速度で真っ直ぐに…その空間に向けて走っております。間もなく姿が見えるでしょう」


「…ああ、見えた。確かに魔力を感じるわけがないよな…完全にアレは人形とかそういった類の物だな。

 だが魔法で動かしてるとしても術者の魔力も感じられないし、人形がひとりでに動くなんてあり得ないな…ん?」


「何かにお気づきに…なるほど、あの首にかけてあるネックレスですか。

 魔力の放出を抑え込むような効果があるようですね。あれも魔道具なのでしょうか…」



 ナナシ達の目の前に現れた30㎝程の大きさの人型の人形。その首には藍色の宝石が飾られたネックレスがかけられている。

 その人形はナナシ達に目もくれず、真っ直ぐに魔力の感じられない空間へと走っていく。

 空間へたどり着いたと思った直後…その姿は目の前から消え失せたのだった。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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