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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第四章 それぞれの決意と失踪
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第68話 ガルディア王家の宝、エルの新武器

 ナナシ達がまだ眠っている日が昇り始めた早朝、ガルディア王は宝物庫の中に1人でいた。

 ナナシに譲るための魔法道具や王金貨をこっそり持ちだすためである。

 王城の宝物庫はかなり広く、テニスコート6面分の面積に高さが5mほど。そこに並べられた棚には魔法道具や何かの地図、防具や武器と色々置かれている。

 だが王は並べられた棚ではなく、真っ直ぐに奥にある装飾のない扉へと向かった。

 その扉に向けて左手をかざすと、人差し指にある指輪から一本の光の線が扉に向かって放たれる。

『カチャリ』という音が鳴る。その指輪も魔法道具であり、宝物庫の奥にある扉の鍵の役目を果たしている。


 ガルディア王がその扉を押し開く。その中にあるのは大きな宝箱だった。

 扉の高さは3m程ある。だがこの宝箱は天井の高さぎりぎり、即ち5m近い高さの箱である。

 実はこの箱は魔法道具ではなく元々この宝物庫を作る時に最初に入れた物で、この扉はその後に増設されたものである。

 宝箱に鍵はかかっていない。だがこの扉の存在で中身は守られているのだ。

 宝箱の横に併設された階段を上り箱を開ける。その中には2本の剣、それと鎖で巻かれた一冊の本が入っている。

 王はそれら3つを持ち、鍵を掛けなおし宝物庫を去っていった。



「よう王様、言った通り1人で来たんだな。んで…その積んである荷物が俺たちに渡す物なのか?」


「ナナシ殿に何を譲れば儂の本気具合も伝わるか悩んでおったがな。今回渡すことにしたのは王家に伝わる剣2本、それと…この一冊の本だ」


「なっ!?まさかあの封印された本ですかお父様!?あの本は…」


「よい、よいのだリスティル。あれは我ら力なき人が持っても何も意味はない。

 ナナシ殿やアスモデウス殿であれば使いこなしてくれるだろう」


「旦那様、お気づきでしょうが…その本から魔力の流れが感じ取れます。

 私の予想ではありますが、何者かの意思を封じられた書物の可能性があります。

 十分に気を付けなければ『お前にやる』…私に、ですか?」


「そもそもそのつもりだったからな。俺に次ぐ魔力量の持ち主のアスモなら心配してないさ。

 俺だけじゃなくサラもそう言ってる。この場にはいないが『念話』でな」


「ナナシ殿、本に関しては儂やリスティルも中身までは知らぬ。ただ代々『封印を解いてはならぬ。解くべきは力ある者のみ』と言い伝えられているのだ。

 儂ら王族の者は特別な力は無い。良くも悪くも一般人同然なのだ」


「まぁ本に関してはこっちで何とかするさ。んで俺が気になるのは2本の剣とやらだ。

 見せてもらってもいいか?どうせならエルに1本譲るつもりなんだ」


「わ、私に?でも私は弓と魔法の後方支援が主なんですが…」


「ま、理由は受け取ってからわかる。それと王様、あとで1人紹介したい人物がいる。まずは剣から頼む」



 そういわれてガルディア王が取り出した2本の剣。1本はリスティルが使うような大剣程ではないがかなりの刃渡りの長さの片刃の剣。

 もう1本は剣…というよりも短剣だった。ナナシはエルに唐突な近接戦闘に対応可能な武器を持たせようと考えていた。

 役割分担で9割9分近寄られないとはいえ、それでも用心しておくことに越したことはない。



「まずこの長剣だ。これは属性や魔法は一切込められておらぬ。だが魔力を流し込むことで刀身を自在に操り形を変えることができるのだ。

 名前は『モデリング・ソード』、特上級の一品となっている」


「へえ、自由に形を変えれる剣か。なかなか面白い物だな」


「次にこの短剣だが…これは闇魔法を付与されている。『インビジブル』という魔法だ。短時間だが透明化及び気配・魔力の遮断をする膜を自身に張ることができる。暗殺者が好んで覚えようとする魔法だ」


「あ、暗殺者!?ナナシさん、私に暗殺者になれと『落ち着けエル』はうう…」


「重要なのはそこじゃない、誰が暗殺者になれと言ったんだ。透明化に気配遮断、つまり近寄られても即座に姿を隠すことができるってことだ。

 いくら後方支援がメインとはいえ、近寄られない可能性はゼロじゃない。持ってて損はないだろ?」


「な、なるほど…確かに弓と魔法だと構えてる間に詰められたりされれば何もできなくなりますね。

 王様、その短剣はどういう希少度なのですか?」


「この短剣は『アサシンダガー』という。希少度は伝説級なのだ。魔法が付与されている武具そのものが希少でな、魔法が付与されているだけで伝説級とされるのだ。

 この短剣は伝説級の中ではそれほど希少ではないらしいが」


「で、ででで伝説級!?そんな恐れ多い…ナナシさんが持ってくださいよ!私には荷が重すぎます!」


「あー…実は俺は何本か伝説級やそれ以上の物を持ってるんだ。おそらく伝説級でも上の方の、な。

 それにさっきも言ったがこれはエルに持たせるって決めてるんだ…大人しく受け取っておけ」



 ナナシにそう言われ、恐る恐るガルディア王から短剣を受け取るエル。だが受け取った直後、短剣が光りだし宙に浮いたのだ。

 黒い刀身と同じ黒い光が短剣の柄に埋め込まれた宝石から放たれる。

 その光は段々と大きくなっていき、やがて4本足の獣の形となって地面に降り立った。

 黒く光に反射する毛並み、2本の鋭い牙、鋭い目つきをした…黒ヒョウとなった。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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