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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第三章 邂逅
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第59話 新しい結界、妖刀『ムラマサ』

「ほほう!人の子が狐人族であり『妖狐化』を自在に操る我を潰すか、それは面白い。

 ならばその首今すぐにでも『そこから出られたならな』…なんだと?」


「気づいていないようなのでマスターに代わって説明させていただきます。

 マスターと私とで結界を張っていたことはお気づきなのでしょうが、その結界は特殊な物になります。

 結界内に捕らえた対象から魔素・妖気を吸い、半永久的に持続する特性があります。

 今こうして話している間もベリアさんから吸収し維持し続けているのです」



『シルビィを連れ戻す』そう聞いたナナシは少しだけベリアに出会ったことを後悔した。

 自分はほぼ毎日抱き着かれたり夜這いをかけられているため匂いが染みついている。亜人種なら気づいてもおかしくないほど微量な匂いではあるが。

 ユキはまだ出会って日が浅いためそこまで匂いはついていないと思っていたが、それでも特有の匂いにベリアは気づいたらしく、シルビィが身内にいることに確信を持ったのだ。

 だからこそ包み隠さず婚約者であることを伝え、その上で『手を出したら潰す』という脅しをかけたのだ。

 だが自身を圧倒的強者と自惚れ、ナナシをただの人族だと思っているベリアには逆に挑戦的な発言に聞こえたらしいのだ。

 ユキに向けた以上の闘志をナナシに向けていたのだった。


 だがそんなベリアに対し、ナナシとサラはここにきて新しい結界を発動していた。

 ダンジョン内で盗賊団を捕縛した時、数名が暴れだすほど元気があった人物がいた。

 そういった捕縛対象の体力や魔力を吸い取るような結界は作れないだろうか?と相談していた。

 ユキが『魔力供給元を指定してやればよい』と鶴の一声を出し、完成に至ったのだ。

 その強度も折り紙付きだが、常に魔力を結界内の対象から補充し続けているので時間が経てば経つほど内部からの破壊は困難になる。



「なるほど、これで我を捕らえたつもりか。甘いぞ人の子、我を誰と思っておる。

 狐人族の現長その人ぞ。この程度の結界なぞ…ふん!」



 バキャアアアアン。かなりの強度を誇るナナシとサラの2重結界が内部からの圧力により破壊される。

 まるで『この程度か?』と言いたげな笑みを浮かべるベリアだが、その瞳に映ったナナシの姿はあまりにも…自然体すぎた。

 むしろわずかに笑みを浮かべていた、『このくらいしてもらわないとな』と小さく呟きながら。

 隣に立つサラも同じくいつもの無表情のまま、アスモとユキは驚いていた。

 アスモとユキが驚い理由は…ナナシがおもむろに1本の刀を取り出したからだ。

 その刀はミコトから送られた伝説級の一振り、『妖刀ムラマサ』である。

 藍色の鞘に包まれ、抜き放った刀身からは紫色の妖気が可視化するほど色濃く炎のように揺らめいている。

 グリーグとの決闘で一度刃を潰した剣で戦って以来、武器を持ち戦うことは一切なかった。

 武器を使うほどの強敵に出会わなかったからだ。

 ユキは強敵だったが、その時は戦闘ではなくあくまで『躾』だったため徒手空拳で戦意を削いだのだが。



「ふー…さて、めんどくさくなってきたから一応忠告だけしておくぞ。

『五体満足じゃなくなっても文句は言うな』…わかったか?」


「は?何を言って…その刀は、まさか『ムラマサ』…!?なぜそれがお主の元にあるのだ!

 それは『妖気食らい』と言われる亜人種殺しの刀ぞ!?」



 ミコトがナナシに送り付けた数々の武器は、この世界から失われたとされる武器たちだった。

 それぞれの武器に異名が付けられており、ムラマサは『亜人種殺し』と言われている。

 刀身から溢れ出ている妖気が切り付けた対象の魔力と妖気を食らうのだ。

 魔力と妖気を身体に秘めている亜人種の天敵とも言える存在に間違いないだろう。

 ただ魔力を奪うだけでなく、切りつけて傷口から漏れ出させるようにする効果もあるのだ。

 ゆえに『亜人種殺し』である。所持者の命令なく妖気を失わせ続けるのだ。



「へぇ、そんな名前があるのか。これは友人から貰ったもののうちの1つでな…

 今まで使うことを躊躇ってきたが、今回は素手じゃめんどくさいから使うことにした。

 で…お前はいつ『右腕が無いことに気づくんだ』?」


「え?は…ぎゃあああ!?わ、我の右腕がぁ!?がああ…我の妖気が漏れ出て…うぐ…」


「だから忠告しただろ、五体満足じゃなくなっても文句は言うなって。

 そう忠告したあとすぐに切り飛ばしたんだぞ?気づくの遅すぎだろ」


「マスターの速度はこれでも本気ではありませんよ?まだ私でも目で追えたレベルでしたから3割くらいでしょうか?

 その速度に反応できない貴女ならもう勝敗は自ずと見えてらっしゃるでしょうに」


「こ、この強さで3割程度だと…!?お主は…お主は何者なのだ!」


「あー、名乗るのを忘れてたな。俺の名は今はナナシ、本名は記憶喪失で失った。

 この世界で言う『転生者』…つまり『勇者』と同じ異世界人だ。

 ただ…俺をこの世界に送り出したのはこの世界の人物じゃない。俺の友人…もとい、神だ」



 ナナシは自身における事実を隠さずベリアに伝えた。

 この世界における『転生者』は異常な能力、異常な強さを持っている。

 だがそれでも人が呼び出した程度ならば本気のユキはおろかベリアにさえ勝てないだろう。

 だがナナシを送り出したのは神であるミコトなのだ。そもそもの格が違う。

 その話を右腕を抑えながら聞いていたベリアは『まさか…神の使い…?』と言葉を溢すのだった。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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