第52話 不老の伝説、最初の森へ
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「…ということでクラウもせっかく執事として呼んだのにすまないな。
テスタたちもメイドとしてやる気を出していたのにな…悪かった」
「いえいえ、ナナシ様が謝るようなことではございませぬぞ!
我らは主であるナナシ様に忠誠を誓うことを決意したからこそ今この場、この世界にいるのです。
執事やメイドの仕事ができずとも、皆様の為に動くことができるのであれば場所や環境など問題ありません」
ナナシはせっかく屋敷で仕事してもらおうとしたのにすぐに移動してしまうことに申し訳なさを感じていた。
だがそれは杞憂だったようで、クラウディウスやテスタロッサたちは笑顔でその決意を示したのだ。
使用人に謝罪する雇用主は珍しく、その姿を見ていたザイラスやリスティルは不思議そうな顔をしていたのだ。
テスタロッサは『ようやくナナシ様のおそばにいられる』と少しだけ涙ぐんでいた。
呼び出して早々にダンジョンへと向かって行ったため、かなり寂しかったようだ。
「主は不思議な人族よな。我やアスモデウスのような強大な力を従えておきながら尊大な態度も取らず、自身も力を振りかざすこともない。
昔出会ったあの『勇者』とか名乗った輩とは真逆のような存在よの」
「そういえばユキは封印される前は『勇者』と戦っていたんだったよな。
その勇者が俺と正反対ということは…今も昔も変わらず暴虐武人で好き放題していたってことか」
「ほう、この時代にもいるのか…我とは違い人族は寿命が短いから同一人物ではあるまいが、それでも昔の借りを返すには丁度良いかもしれぬな」
「…?寿命が短い?待ってください、ユキさん、ナナシさん。
『勇者』と呼ばれている人たちは『転生者』なため、不老だという話を聞いたことがあります」
ナナシとユキの会話に割り込んできたのはエルだった。
ファスターの町で『勇者』の話をしたのはエルだったが、寿命云々については語っていなかった。
だがそれでも召喚の儀式は行われている、そこに疑問が浮かんだ。
「エル、それは本当か?だとしたら少しおかしくなるぞ。
もし『勇者』が不老であるならば今の世界は『勇者』で溢れていることになる。
そこには一体どういうカラクリがあるんだ?」
「ナナシさんの言う通り、本来ならこの世界は壊れているでしょう。
ですが数十年ほど存在したあと、忽然と姿を消すそうです。中には毒殺された方もいるとか」
「そうか、不老ではあっても不死ではないということか。それなら納得がいく…っと、ようやく屋敷に着いたな。
みんなそれぞれ休んでくれ、俺はちょっと調べたいことができた…サラ、アスモ、ユキはついてきてくれ。
クラウは屋敷に、それとテスタ。お前だけついてきてくれ、残りはクラウと一緒に屋敷で世話を頼む」
「かしこまりましたナナシ様、ご婦人方と屋敷はお任せください」
「は、はい!テスタ、ナナシ様の指示に従いついてゆきます!」
ナナシは実力者の3人と寂しさのあまり涙ぐんでいたテスタロッサを引き連れて屋敷を後にした。
残された仲間たちはさすがに心的疲労が溜まっていたようで、それぞれ自室へ戻り各々で休息をとることにしたようだ。
クラウディウスやメイドたちはナナシ達を見送った後、クラウディウスの指揮のもと使用人としての仕事を始めたようだ。
ナナシ達は町はずれの森、あのキマイラの群れに襲われた地点に向かっていた。
もちろんナナシの魔法で一瞬で着いたのだが。
そこにはキマイラのものと思われる骨片と、何か大きな存在の足跡が残されていた。
ナナシはこの森の異変を調べ湯尾と思っていたのだ。そしてその異変の正体とは…
「サラ以外は知らないから軽く説明だけするが、ここは俺がこの世界に現れた地点のそばなんだ。
そこでこの骨の主…キマイラ3頭に襲撃されたが返り討ちにしたんだ。だがその後妙な大きい気配を感じてな。
…で、何か感じるものや知ってるものはあるか?」
「旦那様、これはおそらく…」「主よ、主の思った通りのヤツで間違いないぞ」「私もそう思います」
「やはりそうか。あの時避けて正解だったな…今は近辺にはいないが、森の奥から殺気にも似た威圧感を感じるな。
ということは…俺たちに来るなと言っているのか、それとも潰してくれって言ってるのかどっちだろうな?」
「主よ、その笑顔が少し恐ろしいぞ…まぁ、気持ちはわからんでもない。
さすがにここまで実力差がわからぬほど落ちぶれておったとは嘆かわしいな、『地龍』は」
ユキが答えを言う。森で起こっている異変の犯人は『地龍』と呼ばれる空を飛ばない龍の一族である。
ユキの話によると元々は温厚で戦闘を嫌う種族だったらしいが、それも封印される前の話だという。
だがその地龍の中には暴れるような奴もいたようで、おそらくその一派だろう、と付け加えていた。
強さ的にはAランク上位の存在のようだ。だがまだ若い龍らしく人語を理解するほどの知性が無いようだ。
「要するにこいつはまだガキで『勇者』みたくただ力を振るっているだけなんだな。
なら…少しばかりきついお灸を据えてやらないとな!」
そう高らかに宣言するナナシは黒いオーラを纏っていそうな笑みを浮かべていたのだった。
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