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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第二章 王都を乱す男
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第51話 リスティルの宣言、出国決意

「さて…王様よ、これはあんたの仕業じゃないと見て間違いないんだな?

 あくまでもそこの…アリウス、だっけ?そいつの独断でいいんだな?」



 開口一番、ナナシは核心に迫る追及をガルディア王に向けて言い放つ。

 だがナナシは確認のためのつもりで聞いただけなのだが、ここでザイラスは口を滑らせてしまう。



「実は元々他にも依頼を…ああいや、なんでもない。今回の件はアリウスの仕業で間違いない」


「ふーん、『今回は』なんだな。ということは他の上位ランクの冒険者にも俺らを手駒にする為に働かせるつもりだったと。

 そこに落ちてる汚い帽子を見ればわかるだろうが、既にアインズは死んだぞ」


「な、なんじゃと!?Sランクに近い実力を持つアインズ殿でもお主らに何もできなかったというのか…

 それならば最早この国にお主らに手を出せるような実力者はおらぬ。それこそ我が娘のリスティルでも…だ」


「お父様…いえ、ガルディア王。私はガルディアという家柄を捨てることに決めました。

 なので金輪際あなたの命は受けることはおろか、届くことさえ叶わぬでしょう。

 家を捨て、ナナシさんと共に旅立つことに決めたのです。あなたの目論見全てはもう無意味なのです」



 リスティルは実の父であるザイラスに向けて真っ直ぐに言い放つ。

 それはザイラスが抱いていた最後の望みが絶たれた瞬間でもあった。

『リスティルならば戻ってくる』そう願っていたが、既に奴隷契約は解かれているためナナシの指示ではなく、リスティル本人の意思なのだ。

 だがザイラスはまだ奴隷契約が続いていると思っており、あくまで言わされているだけだと信じていた。



「リスティル、笑えぬ冗談はよせ。いくら奴隷だからといって家まで捨てるなぞ聞いたことがない。

 そもそも家を捨ててどうするというのだ、戻る場所が無くなるだけであろう?」


「いいえ、私は奴隷契約を解除していただきましたので。今回の騒動が王の指示ではないようですが、これからも同様のことが起こる可能性があり、尚且つまだ私を使おうという意思が感じ取れました。

 この国は私の故郷、それは間違いありません。ですが、公務の場で交わされた約束を違える父など私には必要ありません」


「ということだ、王様。本当ならまだこの国に滞在する予定でもあったがさすがに身内に被害が出る可能性がある危険な国に滞在し続ける理由はない。

 まぁ言うまでもないだろうが無理にでも止めようとしたり追手を出そうものなら…わかってるな?」



 ナナシは再度王に向けて『忠告』として言い放った。

『邪魔するなら滅ぼす』そう伝えたのだ。

 今回の事件が王自らの指示であったなら今すぐにでも王ごと城を消し飛ばしているのだが、あくまで側近の独断行動であったのと、まだリスティルが迷っていると感じていたため踏みとどまったのだ。

 次は無い、そう取ったザイラスは思わず苦笑を浮かべることになる。



「そうだな…ナナシ殿の言う通りだ。すまない、で終わるような話でもあるまい。

 だが出国は少々待っていただけぬか?せめてもの償いがしたいのだ。王として恥ずべき行為をした、それに対する償いと補填をしたい」


「いや、そんなもんいらねぇよ。一刻も早く出たいってのがわからないか?」


「話を聞け。まずそこの少年。彼に冒険者登録をする際に儂直筆の署名が入った書類を使うのだ。

 そうすればSランクとして登録されるだろう。実は既に数枚用意してある」


「ちょっと待て、人族の王よ。我は少年では…『ユキ、黙ってろ』むう…」


「えらく準備がいいんだな。エレン・シルビィ・リスティル・エルの4人分と見たが、もしかしなくてもそれを理由に国に縛り付けるつもりだったんじゃないのか?」


「ぐっ…鋭いな、ナナシ殿。いかにもそのつもりだった。だからこそ時間が欲しいのだ。

 今持ち出している書類は全て我が国でのみ使える申請書であるため、国を出ると決めているのであれば無意味になる。

 新しく用意する申請書ならば世界中どこの国でも通用するはずだ。それをまず渡したいのだ」


「はぁ…まず、ってことはまだあるんだろ?とっとと言ってくれ」


「次に資金として王金貨100枚、それと宝物庫にある代々伝わる魔力の込められた武器をいくつか進呈する。

 これだけでも国庫をかなり揺るがす大出費だ…そして最後に先日譲ったあの屋敷。

 あそこの所有権を全てナナシ殿に渡し、清掃や警備などを任せてほしいのだ。

 いつこの国に寄ったとしてもあの屋敷は使えるようにしておこうと思ってな」


「旦那様、かなり良い条件ではないですか?2、3日程度なら出発を見送らせて私たちも準備の期間に充てるのも悪くはないかと思いますわ」


「マスター、私もアスモの意見に同意です。ダンジョンでの修行の疲れもありますので慰労としても丁度良い期間かと」


「アスモにサラまでか。…ならそうするしかなさそうだな、俺たち4人はともかく残りの4人はきつそうだしな。

 使用人たちも一緒に行動することになるから確かに食料とか衣類なんかも足りない。

 仕方ねぇ、王様よ。3日だけ時間をやる。それまでに俺たちの屋敷まで届けに来い。

 もちろん代理じゃなく王様自身で、な。それでいいな?」



 王都ガルディアに3日間だけ滞在することにしたナナシ達。

 食料が心許ないのは確かだが、衣類に関してはダンジョン出発前に大量に購入させられたため実は余分なほどある。

 だがそれでも心労を癒すために全員で新しい服を購入することにしたのだ。

 その結果、王から資金を貰うまでかなり厳しいお財布事情になるのだがナナシはまだ知らない。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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