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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第二章 王都を乱す男
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第49話 使用人登場、その実力

「ふーん…黒幕は王じゃなくあの側近だったか。それにしても結構な数を用意してきたんだな…

 戦力的には一国と戦争でも起こすのかってくらいだが、どう見る?」


「そうですね…Bランク程度なら一瞬で決着がつくでしょう。ですがAランクなら半数は犠牲になるかと。

 私たちであれば逆に一瞬で殲滅できそうなほど統率も取れていないですね」


「私なら範囲系の大規模魔法を撃ってここら一体を全て灰燼に帰すことが可能ですわ旦那様。

 ダンジョンで数段強くなったリスティルであれば傷は負うものの勝利することはできますかと」


「主よ、なぜ我々は見てなければならないのだ?我らで殲滅してしまえばよかろうに。

 このような弱弱しい有象無象共なぞ一瞬で消してしまえばよいのだ」


「え、えっと…この人たちは何を言ってるのでしょうか…この人数差でも全く怖がってないみたいですけど…」



 空中から数百人の軍勢を見下ろすナナシ達一行。Sランク以上の4名は冷静に戦力分析をしているが、そもそも戦えるどころか勝てる前提の話をしていることに呆れを見せているエルだった。

 なぜ今回は戦っていないのかと言うと、現状の使用人たちの実力を把握しておくためでもあった。

 今姿を見せているのはクラウディウスだけだが、実は姿を隠してメイド部隊もそばにいる。

 6人の使用人対ガルディア国直属軍の戦闘の幕が切って落とされようとしていた。



「皆様はお気づきになられていないようですのでお教えいたします。

 私は決して1人ではありません。ナナシ様直属のメイド5名も陰に隠れておりますのでお気を付けくださいませ…虎視眈々と皆様の命を狙っておりますので」


「ふふ、あの男ならまだしもたかが使用人6人で何ができるというのだ?この人数相手に勝てるなんて思っておるのか?

 だとしたら笑えん冗談にも程がある…もうよい、貴様らもろとも首を取って王に献上してしまえ!」


「ええ、勝利は可能かと思いますわ。既に1割ほど戦闘不能にしてありますの。もちろん私1人でですわ。

 申し遅れました、私はメイド部隊が1人、赤のテスタロッサと申します。

 ちなみに他4名も私と同程度の実力を持っています…なので全体の半数は戦闘が終了しておりますわ。

 ではクラウ様、残りは指示通りお任せいたします」



 突如クラウディウスの後ろに現れた赤いメイド、テスタロッサがアリウスに向けて言い放つ。

 まさかと思ったアリウスが振り返る。そこにはきっちり半分の人数が地に伏していたのだ。

 だがそれでもメイドたちは一切息を切らさずに綺麗な姿勢で立っていた。

 半分だけで済ませたのはナナシからの指示ではなく、クラウディウスが指示したものらしい。

 残りの兵士は全てクラウディウス1人で仕留めるようだ。



「へぇ、メイドたちもかなりの実力を持ってるんだな。俺が呼び出したとはいえさすがにここまでとは思わなかったぞ」


「そうですわね…私はあのテスタとかいうメイドと一度手合わせをしてみたいですわ、旦那様」


「マスターはクラウディウスの実力をどのように推測されますか?おそらくメイドたちよりも数段上の実力を持っていると思いますが…」


「まぁ『鑑定』すれば能力はわかるとは言え経験だけは数が物を言うからな。少なくともアスモクラス…下手すればサラくらいあるかもしれないな。

 あそこまで鋭く研ぎ澄まされた殺気は並大抵の修羅場じゃ身に付かないだろう」


「ふむ、確かにあの男はなかなかの殺気だったな。隙だらけのようにも見えるが全く隙が無い。

 あの女子たちもそうだが、あの男までも主の配下だと言われれば些か納得がいく」


「…またこの人たちは分析してる。ウチやリスティルはともかく、エレンは殺気を感じて内股になっちゃってるというのに…

 大丈夫、エレン?下着の替え出してってナナシクンに言う?」


「ちょ、ちょっとシルビィやめてよ!?あ、あたしは別に漏らしてなんか…でも一応お願いするわ」


「あ、シルビィさん私の分も一応お願いします…それにしても本当にすごいですね、冒険者でもないのに…」



 ナナシ達が平和な時間を過ごしている中、ここにきてようやくクラウディウスが戦闘を始める。

 だがそれは戦闘というにはあまりにも早く、あまりにも静かに決着がついた。

 クラウディウスが手を後ろで組む体勢から左腕を前に掌底の形で構え、右手は握り拳を作り腰へ。

 そしてグッ、と引いていた右足に力を込めて地面を蹴りつける。するとクラウディウスが10人に分身して集団に走っていくように見えたのだ。

 だがこれは分身ではなく、高速移動で同じ地点で一瞬だけ止まり、また別の地点へ移動するということを繰り返しているだけなのだ。

 だがそんな体術はこの世界には存在しないため、中級闇魔法『影分身』と思われていたようだ。

 だがその姿は国直属の兵士の眼には映ることは無く、ナナシ達やメイドたちにはそう見えるだけなのだ。

 だがただ1人ナナシだけは『まぁ、俺ならあの数倍…いや数十倍の数は出せそうだけどな』と考えていたのだった。



「さて、お付きの兵士たちは全て眠っていただきました。残すは貴方だけでございます、アリウス殿…と申される方。

 私としては素直に降伏していただき、我ら使用人の主の下へお連れしたいところなのですがいかがいたしますかな?」



 戦闘開始前と同じ位置に立ち止まり、依然殺気は放っているもののにこやかな表情でアリウスに話しかけるクラウディウス。

 いつの間にか後ろにはテスタロッサだけでなく残りの4人のメイドたちも並んでいた。

 1国の戦力を投入してもなお揺るがぬ戦力、そして威圧感。それらが平穏を取り戻したダンジョン前の広場を埋め尽くしていたのだった。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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