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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第二章 王都を乱す男
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第46話 残された者たちの状況、探索中断

 サラに膝枕されつつ、両腕と腹に婚約者を抱えた状態のナナシは寝るに寝られずただ時が経つのを待っていた。

 実は既にナナシの腹の上にいるシルビィは起きていたのだが、何も言われないためこのまま過ごしていたのだ。

 もちろんナナシも気づいてはいたものの、心配かけたお詫びとしてそのままにさせておくのだった。



 2時間ほど経過したころ、先にエレンが、そして数分後にエルが起きる。2人が起きてもシルビィは寝たふりを続けていたため、さすがにナナシは強引に起き上がりベッドから落とすのだった。

 寝たふりとはいえ、亜人族であるシルビィは咄嗟に着地してしまい、『しまった』という顔をするのだった。



「よし、全員起きたな…まずはそうだな、みんなごめん。俺とあろうものが自分の力を過信しすぎたようだ。

 まさか不意打ちを受けて死にかけるとは思わなかった…というか死んでたんだったな」


「あ、あんたねぇ!あたしたちを置いて勝手に死ぬなんて許さないんだからね!どれだけ心配したかわかってないでしょバカナナシ…」


「ナナシクンは意外とあっさりしてるんだねぇ…ウチらは本当に死んだと思ってたんだけどなー」


「ナナシさん、死ぬときは一緒じゃないと嫌ですよ?置いていくのなんて絶対許しません。

 残された者の悲しみは計り知れないんですからね?」


「マスターは3人の婚約者なのですよ?結婚も果たさず死にゆくなど甲斐性なさすぎです。

 もっと自分の身を案じてください。彼女たちにとっても、私にとっても大切な存在なのですから」



 全員が揃ったところで謝罪するも、4人から非難を受けるナナシ。この場にいないのはユキ、アスモ、リスティル、そしてマリアだった。

 マリアはともかく、ユキとアスモはかなり狼狽えていたらしい。特にアスモは、フロアにいた魔物全てを狩り尽くす勢いで魔法を連発していたそうだ。


 リスティルは目に見えて元気をなくしていたが、ナナシが一度『死』に至ったため、奴隷契約が解除されている。

 本人はまだ気づいていないが、ナナシが繋がりを確認できないため発覚したようだ。

 そもそも奴隷という扱いは一切しておらず、口止めの契約の為に強引気味に奴隷になったのだが。


 ユキはナナシが生死不明と聞かされた時、『こんな簡単にくたばる主なら我は負けておらぬ…』と言っていたが、その表情に一切の余裕を感じられなかった。目は慌ただしく動き、口はパクパクしていたそうだ。

 数千年生きてきた龍というのが怪しく思える少年のようだったらしい。


 それぞれの状況と今はもう落ち着いたという話を聞いたナナシが本題を切り出した。



「実はダンジョン探索は中断して地上に出ようと思う。理由は1つだけあるが…それは帰り道で全員に伝えようと思ってる。

 サラもわかってはいると思うが、俺が話すまで他言無用で頼む。いいか?」


「ナナシさんにしては意外な選択ですね…わかりました、では帰り支度をするようにみんなに伝えます。

 アスモさんなんかは絶望にも近い表情でしたので、ケアを忘れずにしてくださいねナナシさん」


「ああ、ユキやリスティルもな…っと、それよりも急いだほうがよさそうだ。

 ここはアジトじゃないだろ?置いてきたギルドの職員たちもいるはずだ、そっちとも合流を『そちらは大丈夫です』」


「マスターならそう言うと思って、既にこちらに呼びつけてあります。

 捕縛した盗賊団も結界にて隔離してありますのでそちらも問題はございません。

 他に何か気にするべきことはございますか?」


「お、おう…さすがサラだな。いや、それ以外は何もないな…物資もまだまだ大量にあるし問題ないだろう。

 それじゃ準備できたら外に出て待っててくれとみんなに伝えてくれ」



 2時間ほど膝枕をしてもらい、好みの顔立ちをしているサラの顔を直視できなかったナナシ。

 未だに少し照れているようで、そんな照れているナナシが珍しいのかニヤニヤしながら見ているシルビィとエレンがいた。

 エルはさっさと片付け及びギルドの職員たちを呼びに行ったのでこの場にはいないが、いたらきっとニヤニヤしているのだろう。


 当のサラはというと…照れているナナシを見て、こちらも珍しく微笑んでいた。表情の変化に乏しいサラだったのだが、ダンジョンに潜りだして数日の間に何かしらの変化が生まれてきたようだ。

 本来は実力的に劣っているエレン・シルビィ・エルの3人の強化が目的だったのだが、一番の変化を見せたのは他でもないサラだったようだ。


 ナナシ以外の全員の準備ができ、それぞれがログハウス前に集まる。そして数分後にナナシが出てきて、『収納』にログハウスをしまい込む。

 起きてから話をしていなかったアスモ達には既に『大丈夫だ、心配かけた』と声をかけているため大きな騒動は起こらなかったが…アスモがナナシの腕にしがみつき離れなくなってしまった。

 うっすら涙が滲んでいるようにも見えるので、『今日くらいは我慢するか…』と甘い考えをしてしまう。

 右腕にアスモがしがみつき、負けじと左腕にエル、背中にシルビィが張り付く。唯一で遅れたエレンは服のすそをちょん、とつまんでいた。

 一般の冒険者なら動けなくなりそうなほど密着されているが、ナナシは言うなれば『人外』の存在であるため何も問題は無かった。



「それじゃ地上へ帰るとするぞ…それと全員、一種の覚悟をしておいてくれ。この国を敵に回す覚悟だ」

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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