第4話 魔獣、能力解放
「おい、お前ら!もうすぐ森の中から数は少ないがCランク程度の魔物の群れが来る」
「Cランクの魔物が森から、ですって!?そんな訳ないじゃない!
この辺はゴブリンかオーク程度の生息地よ!シルビィ、貴女の『超嗅覚』で感じ取れる!?」
「認めたくないけど…確かに森の中からゴブリンやオークじゃない臭いがする。
こいつの言う通り数は少ない…3体かな、結構早い速度でやってくる」
「ちょ、おい!お前!俺たちの武器を返せ!戦闘態勢取らなきゃならねんだ!」
「たかがCランクの魔物程度に慌てすぎだろ…ま、見とけよ。降りかかる火の粉は払う…ってな!」
ナナシのその言葉を終えた直後、3頭の魔物が森から現れた。
獅子の頭と前脚、山羊の後脚と頭、そして尻尾には蛇。『キマイラ』と呼ばれる魔物だった。
「キ、キマイラ!しかも3頭だなんて…終わりだわ…」
「ウチだけなら逃げ切れるかもだけど…町はあいつらの方角だし厳しいや…」
「チッ…盾だけあっても何にもならねぇじゃねぇか…こりゃ詰んだか?」
「ギャーギャーうるせーなー。よーく『見とけ』よ?」
キマイラが飛び出してきた位置にナナシが駆けだす。
武器はない、ならば己の身体で…
1頭目の獅子の頭部に拳骨を撃つ。そのまま2頭目のキマイラの腹を蹴り上げる。3頭目の鳩尾に向かって右ストレート。
頭蓋骨ごと砕けちり、脳髄が飛び散る死体。
腹を蹴られ内臓破裂し獅子と山羊の口から溢れる内臓の欠片と血液。
そして鳩尾を殴られ腹部に凹みができ、ビクビクと痙攣を繰り返す1頭。
圧巻、そして瞬殺だった。
「Cランクってこんなもん?武器いらねぇじゃん…っていうかグロいな!返り血浴びなくてよかったわ!」
「あり得ない…素手で、しかも3頭同時に相手して、被弾はおろか何もさせなかったなんて…」
「ウ、ウチの目にも見えなかったよ…あの人の動き早すぎるよ…」
「な、なぁ…あいつやっぱ人じゃねぇんじゃね…」
「なーんかすっげぇ失礼な言葉が聞こえた気がするんだが…まぁいいや。
とりあえずこれを見て、まだ俺を襲う気でいるか?それとも俺の話を聞く気が出たか?」
---3人とも戦意を喪失した模様。マスターに対し戦闘の意志は無いと思われます---
(まぁ、こんな一方的な虐殺を見せちゃったらな。というかこれでもかなり手加減してたんだが…俺の能力値の高さに驚くしかねぇぞこれ)
「んじゃ改めて。俺はナナシ、実を言うと記憶がない。思い出すつもりもなければ探す気もない。
気づいたらこのだだっ広い何もない草原で寝てたってわけ」
「記憶喪失…そう。あたしはエレン、風魔法使いのDランク冒険者。って言ってもまだ成りたてだけどね」
「ウチはシルビィ、狐人族の里から旅してきたの。空腹で倒れてたところをエレンに助けてもらってから一緒に冒険者始めたってところ。ちゃんと狐の耳も尻尾もあるんだよ?」
そう言って黄金色の尻尾と耳を出し、フリフリと動かす。
(やべぇ、めっちゃ触りてぇ。モフモフしたら気持ちよさそう…)
「…なんかいやらしい視線と気配を感じるんだけど。まぁいいけど」
「んで俺がドルフ、Cランクの冒険者だ。こいつらとは今回パーティを組んだだけでな。
壁役を探してるって聞いてちょうど暇だったからここにいるってわけだ」
(パーティ?臨時で組んだりするのはよくあることなのか?)
---気が合う者同士で組む以上、役割が偏ったり足りなかったりするので、冒険者ではたまに臨時で組むことがあるようです---
「ほーん、冒険者ねー。俺はこれから森の向こうにある町を目指して進むつもりなんだがお前らの行先はどうなってる?そもそも冒険者ってことは依頼を受けてきたんだろ?」
「そうね、冒険者ギルドから依頼を受けて今回ここまで来ているわ。
でもさっきの『キマイラ』の群れを見てしまったからには一旦引き返して報告した方がいいかもしれないわね…」
「うーん、ウチもそう思う。途中帰還は失敗扱いになるかもしれないけど、それよりも重大な事件になりかねない事態が起こっているもんね」
「俺も退却に同意だな。ただし森は迂回して行くべきだろう。また『キマイラ』の群れに襲われでもしたら俺たちじゃエサになるだけだ。
野営しなきゃならないが安全をとって移動するべきだろう」
(ランクの差ってかなり変わるのか?俺からしたら同じに思えるんだが)
---はい、ランクごとに適正試験が行われます。試験そのものの難易度がそれなりに高く、各ランクごとの最大値に応じた魔物のソロ討伐が対象になります。
先ほどマスターが討伐した『キマイラ』のソロ討伐がBランクの試験対象です---
10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。
読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。




