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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第二章 王都を乱す男
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第45話 ナナシ帰還、サラの変化

「さて、そろそろ君の身体と魂の繋がりが復活するころだよ。何か感じたりしないかい?」


(ん?実はもう戻れることは知ってたぞ。ミコトから話を聞いたら戻ろうと思ってたところだ。

 ただ…ミコトが大丈夫なのかと思ってな)


「おや、君に心配されるとはね…一応ボク神なんだよ?本当に君は不思議な子だよ」


(はっ、神である前にお前にとって初めての友人なんだろ?自分でそう言ってたじゃねぇか。

 友人が心配することになんの理由があるって言うんだよ、ミコト)



 ナナシはミコトをあくまで『友人』と思っていた。過保護な能力やスキルを付与されてはいるが、それでも神以前に対等な存在だと思っているのだ。

 神に対する態度としては最低だが、ミコトは『友人』だと言ってくれたことがとても嬉しかった。

 そんなナナシだからこそ、ミコトは気に入ったのだ。


 本来の神は人々に崇め奉られる存在であり、地域や国によって信仰する神が違うのが定説である。

 だがミコトを信仰するような人はいない。それはミコト自身が神であることを嫌がっているからだ。

 神であるせいで対等な関係になれる人物はおらず、過去に召喚した『転生者』でさえ平身低頭の姿勢を貫いていたのだ。

 ミコトは堅苦しい関係や言葉遣いが嫌いなだった。『創造神』が神々を作り出した、とミコトが言っていたが、ミコトは生まれた瞬間から神だったわけではなかったのだ。



「ふふ、ありがとうねナナシ君。そろそろ戻るべきだ、君の大切な家族たちが待っているよ。

 ボクの方は心配しなくても大丈夫だからね。何かわかったら君に連絡するよ」


(ああ、そうだな…俺を狙った神が転生させた『勇者』の情報が入ったら教えてくれ。

 それじゃ…『またな』ミコト。次はちゃんと会話しようぜ)



 そう言うとナナシの魂は地面に吸い込まれるように消えていった。身体の方へと移動したようだ。

 ナナシがいなくなった白い世界でただ1人ミコトだけが残される。

 ミコトはポツリと『またな、か…ふふ、きっとすぐ会えるよ』と呟いていた。

 その独り言は誰にも届いていないように思えたが、実はナナシにだけ届いていたのだった。





 はっと目を開ける。そこは見慣れない天井だった。どうやら2段ベッドのような物に寝ているらしい。

 右手、左手、右足、左足と順番に確認していく。感覚はあるしちゃんと動いている。

 ただ、何か異物感があった。というより何かが両腕、そして身体の上に乗っているのだ。

 右腕にエル、左腕にエレン、身体の上にシルビィがいる。3人とも寝息を立てていた。

 腕は枕にされているし、身体は寝ているシルビィがいるため動けない。数時間の辛抱だ、とナナシは動いたり声を出すのを諦めた。どうやら心配をかけたようで、全員の顔にはうっすらと涙の痕が残っていた。


 ミコトは僅か数分のズレと言っていたが、既に2時間ほど経過していた。

 2時間も呼吸をせず心臓も止まっていたのだ、死んだのかと思うのが普通だろう。

 おそらく別れになるのが辛く、一緒に寝ると言って聞かなかったのだろうなとナナシは考えていた。

 ふと視線を感じ、そちらに顔を向けると椅子に座ったサラと目が合った。



「マスターおかえりなさい。少し長かったですね、さすがの私も心配になりました。

 彼女たちはマスターが死んでしまったと思っていたようで、そのような状態になるのを止められませんでした。

 ですが彼女たちを責めないであげてください、マスターが意識を失ったのが悪いんですから」


「お、おう…サラ、いつも迷惑ばかりかけてすまないな。サラがいなかったら今回だってどうなっていたかわからなかった。本当にありがとうな、そして心配をかけてすまなかった」


「…マスター?なんだからしくないですね。そんな優しい表情をするマスターは初めて見ました。

 …あれ、どうしたのでしょう?私の体温が上昇、それに伴い心拍数も増加しているようです」


「んん?風邪か?この感じだと結界は張ってあるだろうから魔物の心配もないだろう、サラも休むといいぞ。

 これは俺の作ったログハウスだと思うから強度や防衛も大丈夫だ。無理せず休んでくれ、大切な相棒」



『大切な相棒』そう言われたサラの顔は真っ赤に染まっていた。

 ナナシはそれに気づいたが、サラ自身が意識していないためあえて言わずにいた。

 常に一緒にいる上に、相談やナナシの右腕として活躍していたほどの人物。

 そんな彼女は人の身体を得て自我が芽生えてから日が経っていないため、その感情がなんなのかわかっていなかったのだ。

『気づき、学ぶのも大事だろう』と考えたナナシはサラの為になると信じてそっとしておいたのだ。



「マスター、ではお言葉に甘えて休ませていただきます。では…失礼しますね」


「うおっ!?これは…膝枕か?だがそれじゃ眠れないだろ、お前が」


「いえ、マスターの顔を見られるのでこらがベストかと思いました。それで十分です」



 そう言ってサラは微笑みを浮かべた。表情に変化がないサラが見せた初めての笑顔。

 ナナシの好みの顔ということもあり、思わず照れてしまうナナシだった。

毎朝10時に投稿しております。1日1話確実に投稿しております、楽しく読んでいただければ幸いです。

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