第3話 能力隠蔽、遭遇
「さて、これからどうしようか。見渡す限りの草原、町はおろか人影も無し、唯一見えるのは森だけ…」
---『携帯電話』にて、現在位置と周辺環境の確認を推奨いたします---
「そうか携帯電話があったな。…どっからどうみても『iP〇one』にしか見えないが…
えーと、地図だから…これか?『MAP』起動っと」
現在位置を白いピンで表示され、黄緑色が画面いっぱいに広がる。
黄緑色は草原を表示しているようだ。やはり近場には町は無いようだ。
「町はどの辺か…ってこれ向いてる方向に合わせて地図も動くのか!いい機能つけてくれたんだな!
んで…肝心の町は…お、あの森の向こう側が最寄っぽいな」
---マスター、能力の制限をして意図的にマスター自身を弱体化させることをおすすめいたします。『隠蔽』スキルでステータス表記、スキルを隠蔽及び見かけ上一般人化状態にできます。私『賢人』にお任せくだされば適当な能力値に変更できますがどうなさいますか---
「そんなことも可能なのか。ということは国ごとに『鑑定』スキル持ちがいる可能性があるってことだよな。確かにこんなぶっ壊れ能力は隠すべきか…よし、『賢人』に任せる。
能力値だが…この世界の上位クラスの人間より弱めくらいで、それに合わせた身体能力に変えてくれ」
---マスターのご命令通りにいたします。『隠蔽』スキル発動、各種ステータス偽造…完了、スキル一部隠蔽…完了、身体能力を偽造ステータスに合わせて弱体化…完了。『鑑定』スキルにてご確認ください---
名前:ナナシ
種族:人族(半人半神)
状態:正常
特殊スキル:『収納』『鑑定』(『吸収』『贈与』『掌握』『隠蔽』『賢人』)
常用スキル:『万能感知』『言語把握』『魔法知識』『戦闘知識』(『経験上昇』)
ステータス
腕力:S
魔力:A
敏捷:S
抵抗:A
幸運:B
※F<E<D<C<B<A<S<SS<Pの順に上昇していく。
現在の最高はPだが、ナナシはこの鑑定結果を覆す能力値の持ち主である。
「えーと、『収納』『鑑定』を出しているんだな。種族も人族…って『半人半神』ってなんだ!?
人以上神未満ってやつか?んで能力値は…結構高い水準なんだな」
---マスターの正確な能力値は『賢人』の私でも測りかねますが、人間の最高クラスがオールS程度でしたので、それより多少弱体化させておきました。もし不満がありましたら何なりと---
「いや不満っていうか…めっちゃ身体重く感じるようになったんだけど、これで腕力Sの能力値ってことは…俺の能力値はSの数十倍以上高いってことになるな。なるほど、これは慣れないとだな」
---それともう一つ報告がございます。『隠蔽』スキルによる改ざん直後より何者かがこちらを警戒しております。南方向大岩の裏より3つの反応です---
(南方向?ということは俺の左後ろ…森を抜けてきた人間ということか。
魔力感知…うん、3つ。うち1つの魔力が少し高い、俺のBランクの魔力程度…か?
『賢人』、一時的に能力設定を元通りにしてくれ。あの岩にいる者たちの後ろに回り次第敏捷をSS、その他をさっきの設定どおりにしてくれ)
---かしこまりました。『隠蔽』スキル発動、能力改ざん…成功、敏捷を解放しました---
その声が聞こえた直後、岩の裏まで駆けだす。この間わずか0.2秒。
岩の裏から覗いていた謎の3人組の視界から瞬時に消えたように映る。
「「「消えた!?あの人間はどこに行ったんだ!?」」」
「よう、何か用かお前ら?」
後ろから聞こえた声に反応し、咄嗟にそれぞれ所持していた武器を構える。
一人は短めのダガーを両手に、一人は先に緑色の宝石がついた装飾付きの杖を、一人は大きな盾と片手斧を。
3人とも顔が見づらいように黒いフード付きコートのフードを深く被っているため顔は見えないが、見えている口元から察するに焦りの表情だとうかがえる。
(盗賊か?それにしては手入れの行き届いた装備だし…そもそも男一人ってのもおかしい)
---盗賊ではなく、冒険者のようです。腰に鉄のプレートが装着されているため、低ランク冒険者だと推測します。盾持ちの男が壁になるようですので、杖持ちの女の魔法にお気を付けください---
(そこまでわかるのか…ん?魔力が杖に集まっている。魔法を撃つために魔力を溜めているのか?)
「この岩から俺のことを見ていたよな、俺を襲って身ぐるみでも剥ぐつもりだったか?」
「! …やはり気づいていたのか。冒険者…ではないようだ。お前こそこんな何もない草原に一人とは…まさか盗賊団の囮か!?」
「いやなんでそうなる。そもそもここには迷って来たんだ。知り合いなんざ一人もいねぇしこれから近くの町まで移動しようかって思ってたところだ」
「そんな戯言を信じられるか!怪しい輩は捕まえて突き出すのがルールだ、大人しく捕まれ!」
「はぁ…めんどくせえ…とりあえず武器を奪わせてもらうな」
その言葉ののち、ダガー2本、杖、片手斧を一瞬で奪い去るナナシ。
まさに神速、神業とも言うべき手際。
3人が武器を奪われたと気づいたのはナナシが奪い終わり、元の位置に戻って地面に落としたことだった。
「えっ?あたしの杖…なんで?いつの間に…」
「お、俺の斧まで!おい、返しやがれ!銀貨8枚もしたんだぞ!」
「ウチの…愛刀…返してよぉ…」
「俺の話を聞いて襲わないと誓ってくれるなら返すさ。こんなショボい武器なんざいらんからな」
(さて…こっそり『鑑定』っと。どれどれ…まずは魔法使いから)
名前:エレン
種族:人族
状態:正常
特殊スキル:無し
常用スキル:『魔法知識(風)』『魔力操作』『魔力感知』
ステータス
腕力:D
魔力:B
敏捷:D
抵抗:C
幸運:B
(『魔力操作』?どういうスキルだ…んじゃ次に盾役の男)
名前:ドルフ
種族:人族
状態:正常
特殊スキル:無し
常用スキル:『戦闘知識(斧)』『挑発』『鼓舞』
ステータス
腕力:B
魔力:E
敏捷:D
抵抗:B
幸運:D
(『挑発』に『鼓舞』か。盾役として素晴らしいスキルだな。抵抗も高い。最後にダガーの女)
名前:シルビィ
種族:亜人族(狐人族)
状態:正常
特殊スキル:『妖狐化』
常用スキル:『超嗅覚』『隠密』『気配感知』『人語把握』『魔法知識(火・幻)』
ステータス
腕力:C
魔力:C
敏捷:A
抵抗:E
幸運:B
(ほほう、敏捷がAランクで暗殺者系のスキル所持か、そして…狐人族?他にも種類があるのか?)
---狐人族の亜人はこの世界では少数です。『妖狐化』持ちとなると狐人族の中では一族を率いる族長と血縁関係の可能性ございます---
(狐人族の長の血縁関係?なんで冒険者なんかに…?まぁいいか)
「えーと、わりぃ。事後報告になるんだが『鑑定』させてもらったわ。
エレン、ドルフ、シルビィ。なんで冒険者がこんな何もない草原にいる?魔物狩りじゃないのか?」
「『鑑定』!?なんでそんなレアなスキルを持った人がこんなとこに一人でいるのよ!ますます怪しい人間じゃない!」
「しかも『冒険者』ってこともバレているのか…何者だお前!?」
「ウチでも反応できない速度と技の持ち主、勘だけどそれでも本気を出してない…トップクラスの冒険者…?でも見たこともない服着てるし…」
「だーかーら!俺の話を聞けっつーの!冒険者にもなってねぇし、そもそもここには来たばっかでわかんねぇって言ってるだろ!『鑑定』だって元々俺が所持していたスキルだし、本気を出していないのは事実だがお前らに危害を加える気だったら一瞬で片付けてるわ!」
---森より少数ですがこちらに向かってくる魔物の群れの反応があります。先ほどのゴブリンはEランク程度ですが、今回の魔物はCランククラス、それが3頭のようです---
(こんなタイミングで魔物の遭遇かよ…めんどくせぇな…ちゃちゃっと片付けちまうか)
10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。
読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。




