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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第二章 王都を乱す男
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第32話 名付け、ユキ

「で、これからのことなんだが…先に進もうと思うんだが、あいつをどうするかなんだよな」


「そう…ですね。先ほどまでの威圧感があるどころかまるであれは子供ですよね…

 ナナシさんはどう考えてらっしゃるのですか?一応召喚されたナナシさんに権限があるのですが…」


「だが旦那様はまだ『契約』をしていないのではないですか?戦闘行為が『契約』なら済んでるのかもしれませんが…」


「ああ、そのことなんだがどうやらスキルで召喚した場合は既に契約されてるらしいんだ…

 俺が言いたいのは連れていくか封印するかってことだ」



『あいつ』とナナシが言うのは、ナナシ自ら『教育』という名の制裁を受けた白龍である。

 結界から解放されて人型へと姿を変えているのだが、子供のように泣きじゃくっていた。

 圧倒的恐怖を与えてしまい、白龍はナナシの姿を見て絶望の表情をし続けていたのだ。

 今の状態のままじゃ戦力になれないと考えているナナシはもう一度スキルキューブに戻すのも手だと考えているのだ。

 だがそれを許さない人物がいた。


「封印なんてダメよナナシ!こんな泣きべそかいてるかわいい子なら連れて行くのが当然よ!」


 そう言ったのはエレンだった。元の姿が『龍神』と呼ばれた白龍なのだが、泣きじゃくる姿を見て放っておけなくなってしまったようだ。

 ナナシの漏れ出した殺気を受けて漏らしてしまったことも忘れるほど強い口調だった。

 これには親友のシルビィも驚いたようで、『正気?漏らしたショックでおかしくなった?』と言い出す始末。

 さすがにその発言は嫌だったようで『違うわよ、バカシルビィ!』と反論をしていたが。



「エレン、忘れてるかもしれないから一応言っておくがそいつ何千年も生きてるんだぞ?

 そしてもう一つ付け加えるが、俺たちに殺意を持っていたんだぞ。それが再発しないとも限らない」


「それはわかってるわよ。だけどちゃんとした理由もある。

 ここは10階層のボス部屋の奥、ここまで到達する冒険者も少なくない。

 でもボスを討伐してここにたどり着いた時にこんな化け物がいたら冒険者たちは皆殺しよ?

 いつでも倒せるアンタはともかく、他の人たちが死んでもいいって言うの?

 それにナナシが近くにいればあの子は隙に暴れられないんじゃないのかな。

 いつでも殺せるぞっていう意思表示にもなるだろうし」


「エ、エレンがまともなこと言ってる…やっぱりショックでおかしくなった?」


「また煽ってるシルビィは置いといて…エレンの言うことはかなり正しいだろう。

 物理的にも精神的にもストッパーになれるのは俺だけだろうな。だが…あいつが大人しくついて来るかどうかというのも『ナナシの命令には逆らえないでしょ』…それもそうか。

 俺としてはかなり不本意だが…俺が連れていくしかなさそうだな。

 んじゃあの白龍はパーティメンバーとして連れていく。そしてダンジョンは継続だ、いいな?」


「「「「了解」」」」



 エル、エレン、シルビィ、リスティルの4人が返事をする。アスモとサラには元から反対の意思は無いようだ。

 と、ここでナナシがとある事実に気づく。『あいつの名前って聞いたっけ…』

 そう、白龍は名乗っていなかった。『龍神』、『天空龍』『我』という自称しかなかったのだ。

 ようやく泣き止み、しゃがみ込んで明らかに落ち込んでいる白龍の元へ渋々向かうナナシ。



「よう、えーと…いきなりで悪いがお前の名前を聞きたい。名前はあるか?」


「ヒィッ!?あ、我の名前か…固有名は『天空龍』、種族名は『飛龍』、称号は『龍神』だが…

 我に、というか魔物と言われる存在全てに共通して言えることだが、個体に名前は無いぞ」


「そんなに怯えなくてもいいぞ、俺や俺の仲間…いや、俺の家族に危害を加えようとしないなら何もしない。

 さっきは家族を俺の配下だの殺気をぶつけたりしたから切れただけだ。

 っと、少し話が逸れたな。名前が無いと俺らが不便なんだ。だからお前に名前を付けようと思うんだが…名前を付けて問題は無いか?」


「わ、わかった。お主には全く勝ち目が見えないから逆らう訳がない…あれを何度も味わうのは我でもさすがに嫌じゃ。

 名付けに関してだが…名前を付けてもらえることに異議は無い、だが魔物に名付けを行うと少し厄介なことになる。その説明も必要か?」


「ん、何かあるのか?面倒ごとはなるべく避けたいんだが…まぁ無知は罪と言うしな、教えてくれ」


「あ、ああ…人族は我が子に名前を付けるであろう?魔物にはその文化は無い。

 種族によっては氏族名があるが…その長にのみ名前が付けられる。というより新しい長に引き継がれる、という方が正しいな。

 名前を付ける度に、名付け親は多量の魔力をその身から消費される。魔力所持量によっては名付けにより絶命する者もいるのだ。

 長が代わる度に前の長だった者はその場で命を絶つ。故に名付けはされないのだ」


「そんなデメリットがあったのか。まぁ…俺の魔力なら何一つ問題は無いだろうな」


「まだ続きがあるのだ…名付けを行う対象の強さにもよって消費する魔力量が増大するのだ。

 弱ければ少なく済むが強ければ強いほど際限なく増えていく。我のような者なら想像もつかぬ。

 だが悪いことばかりでもない。名付けされた者の強さも増える。ただしその者の潜在能力によるが」


「あー、取り合えず名前付けたら俺の魔力がごっそり持ってかれてお前が強くなるってことだな?

 俺自身、魔力の量の底を知らないんだ、だから大丈夫だ『ユキ』」



 様々なデメリットを聞いておきながらさらっと名前を付けるナナシ。

 白龍に与えた名前、それは『ユキ』。龍の姿の時の色が雪のように綺麗な白であり、性別不詳でも通用する名前だからである。

 名付けにより多大な魔力を消費したはずのナナシだが…特に何も違和感を感じていなかった。


「我の話を聞いていたのか!?だ、だが…何故平気なのだお主は…?

『ユキ』か…ふむ、女に付ける名前でもあるが男の我でも問題ない…うむ、気に入った」


「白龍だからな、白と言えば雪をイメージしたんだ。というかお前男だったんだな…

 黄色いパジャマとかぬいぐるみとか持ってたし女かと思ってたわ」


「ぬっ!?我はこういうのが好きなのだ!趣味嗜好なぞどうでもよいではないか!…ぐっ!?」


「ん、ユキどうした…ってちょっと待ってろ!『鑑定』」



 名前:ユキ(龍神)

 種族:飛龍(天空龍)

 状態:人化、通常(主従:ナナシ)

 特殊スキル:『龍化(人化)』『竜眼』

 常用スキル:『万能感知』『言語把握(人語・龍語)』『魔法知識(風・光・闇)』『戦闘知識(素手)』

 ステータス

 腕力:S→SS

 魔力:A→S

 敏捷:S→SS

 抵抗:A→S

 幸運:C→B



「ああ、名付けによる成長か…ってお前全ての能力値が1段階上昇したみたいだぞ。

 それに…名前のほかに『主従関係』も追加されたみたいだな。どうやら俺が主みたいだ」


「そ、そうか…ナナシ、と申したな。お主に手も足も出せず、それどころか我の行いを許した上でその我に『ユキ』という良き名を与えてくれたことに感謝する。

 ナナシ殿を我が主と認め、ここに主従の誓いを示そう。同行を許可願いたい」


「ああ、ちょうどその話もしに来たんだ。どうしても連れていくと言って聞かない奴もいてな…

 それにここは『ラビリンス』、つまりダンジョンなんだ。他の冒険者もやってくる。

 ユキが好き好んで人殺しをするとは思えないが…襲われた反動でやりかねない可能性もある。

 それにユキが何かしようと試みたところで俺がいれば何もさせずに済むしな?」



 そういうとナナシは邪悪な笑顔で同意を求めた。

 その笑顔が『何か』を示していることはユキには酷く伝わったようで、顔を青ざめながらコクコクと頷いた。


 最強の飛龍の座を数千年にも渡り守り続け、いつしか『龍神』と呼ばれるようになった天空龍。

 召喚され圧倒的な実力差を見せつけられ、主従関係を結ぶ。与えられた名は『ユキ』。

 彼の『虹の輝き』への加入が決定する瞬間であった。

10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。

読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。

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