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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第二章 王都を乱す男
31/97

第28話 ダンジョンの性質、隠し部屋

いつも読んでいただいてる方々、ありがとうございます。

突然ですが、ここ数日ほどより体調が優れないため、1日1話、10時の投稿のみとさせて頂きます。

なるべく早く体調を取り戻し、投稿ペースを1日2話へ戻せるように尽力したいと思います。

「そういえば、魔物の死体とかってどうなるんだ?今まで通ってきた道にも死体が無かったぞ」


「はい、それは元職員の私エルが説明しますね!外の魔物たちは食用になったり他の魔物によって食べられたりするんですが、『ラビリンス』は違います。

 ここでは数分経過すると自動的に素材になったり、『魔核』と呼ばれる球体が残ります。低確率ですが宝石やお金などが入った宝箱が出現します。

 倒した魔物をいちいち剥ぎ取ったりせずに済むので便利なんですよ。そろそろ素材化すると思います」



 エルの説明通り、サラ達が大量に討伐してきたゴブリンやワードッグ達が消滅していく。

 ゴブリンからは紫色の玉が、ワードッグからは牙や毛皮が残された。宝箱は出現しなかったようだ。


『魔核』とは、人々が生活用として作り出した魔法道具の燃料となるアイテムである。

 小、中、大、特大とサイズが分かれ、ゴブリンの核は小に分類される。

 色は赤、青、緑、黄、紫、白となり、それぞれ属性が存在する。赤は火、緑は風といった色に適応する魔法の属性となる。それに合わせて魔法道具に使用する核が決定する。

 今回手に入ったゴブリンの紫の核は一番入手しやすいため、最も価値が低い。


 サラが討伐した分は自分で、アスモが討伐した分はナナシが『収納』にしまうことになった。

 自動的に種類を統一し、数も調べてくれるようにミコトがいつの間にか改造したらしい。

 回収を終えると『魔核』35個、『毛皮』32個、『牙』32個となった。ちなみにリスティルが討伐したゴブリンの『魔核』は、リスティルに渡した『アイテムボックス』付きのポーチに入れてある。

 ナナシはダンジョン突入前、エルに渡した物と同じ要領のポーチをサラとアスモ以外に渡してある。

 渡された瞬間、エレンとシルビィは飛び跳ねて喜んでいた。片や金色の尻尾とそこそこある胸が揺れ、片や揺れるモノがポニーテールだが。

 リスティルに至っては『王に献上すべき程の高価な品ですね…』と青ざめた表情で震えながら受け取っていた。デザインが気に入ったようで、『これは私のものです!』と強く主張していたが。


 ダンジョン内初戦闘から『もう灯り消さないで!』と懇願されたため、常に灯りをつけることとなったが、魔物が出現することがなかった。

 所々で剣戟や悲鳴、雄たけびなどが聞こえてくるので全く魔物がいないというわけではないようだ。

 当然ながらナナシ達が貸し切っているわけでもないので他の冒険者と出会うこともある。

 中には腕を無くした冒険者や、包帯を顔に巻いて苦しそうに出口を目指す集団もある。

 いかにランクが高い熟練者であろうと油断すると命を散らすこともある、それが『ラビリンス』である。


 初戦闘以来各階層で数匹程度の魔物にしか出会わず、下の階層へとどんどん降りていく一行。

 9階層から下に降りようとした一行だが、ナナシとサラには何か別のモノを見つけたようだった。



「エル、ちょっといいか。『ラビリンス』に隠し部屋があるっていう情報はあるか?」


「隠し部屋、ですか?私がギルド職員だった時にもそのような話は聞いたことはありますが、実際に見たことは無いですね。中には金銀財宝や魔法道具が沢山あったという文献が過去にあったとは思います」


「そうか、報告もないのか。んじゃ俺たちが最初に報告できるかもしれないんだな。

 その階段に向かって左側の壁、およそ10mの地点だ。一見ただの壁に見えるがここが隠し部屋だ。

 俺だけじゃなくサラも気づいたようだし、間違いはないだろう」


 ナナシがそう言って指し示した部分は特に何かあるわけでもない壁にしか見えなかった。

 おもむろにナナシが両手を置き、魔力を流し込んでいく。すると壁が動き出し、ドアノブが出現した。

『なんでドアノブなんだよ!』と思わず突っ込んでしまいそうになるナナシだったが、先にシルビィが突っ込んでいたので思いとどまることができたのだ。


「さて、何が出てくるかご対面…って本当にお宝の山じゃねぇか」


 ドアを開け辺りを『ライト』で照らすと、大量の硬貨に武器、装飾品、宝箱まで積まさった山があった。

 隠し部屋の存在そのものが半信半疑だった一行だったが、シルビィは目を金貨の形にして尻尾をぶんぶんと振り、エルは『これは大発見です!』と鼻息を荒くし、リスティルは装飾品を見てうっとりとしていた。ガルディアの血筋なのだろうか。


 さすがに全員に渡してあるポーチには入りきらないので、ナナシとサラで一気に『収納』に飲み込んでいく。

 内訳はこうなった。


 銀貨1000枚 金貨3500枚 白金貨2000枚

 生活魔法道具(ランタン、火おこし、浄水器など)複数 各種属性付与武器(剣、短剣、杖)

 魔法付与装飾品(指輪、ブレスレット、ネックレス)各1種類 無属性武器多数


 これら全ての物品が『過去に死亡した冒険者の持ち物』であるとナナシは思っていた。

 魔法武器は汚れや傷などつきにくいのだが、安物の武器や防具が傷だらけなのだ。

 ナナシはいたたまれない気分になりながらも、それぞれに分配していくことにした。


 剣はリスティルに。柄の部分に火属性を示す赤い鉱石が埋め込まれている。


 武器種:両手剣

 固有名:焔剣イフリート

 希少度:特上級

 属性:火


 短剣はシルビィに。2本で1セットのようで、それぞれ別の属性がついていた。


 武器種:双剣

 固有名:相反剣アクアフレア

 希少度:特上級

 属性:火・水


 杖はエレンに。先端に緑の大きな宝石が付いている。どうやら風属性の魔法の威力を向上させる仕組みのようだ。


 武器種:長杖

 固有名:魔杖グリムニール

 希少度:特上級

 属性:風



 思わぬ収入と新装備を手に入れた3人は早速試したいようで、次の10階層目のボスを3人で討伐させろと意気込んでいる。

 道中も数は出てこなかったとはいえ戦わせていたのだが、満足いく相手がいなかったのだ。

 階層を進むにつれて冒険者の数も減り、確かに魔物も強くなっているのだがそれでもまだDランク程度の魔物しか出現していなかったのだ。

 ナナシに内緒でアスモの修行を受けていたエレンとシルビィは既にBランクほどの実力があった。

 元々の実力がAランクほどあるリスティルも不満気にしていたため、丁度いいと考えたようだ。



「仕方ないな…んじゃボスは3人に任せるが、危なくなったら援護するからな?無理はだめだぞ」


「わかってるって!ナナシクンは心配性だなー、そんなに信用性ない?」


「奴隷となった私にも装備をお譲りいただけるどころか心配までしてくださるなんて…

 ナナシ様はやはり真の英雄に最も近い方なのですね」


「そ、そんなアタシが心配だなんて…ちょっと嬉しいじゃない…」



 三者三様の感謝?を受けつつ、隠し部屋を後にした。階段のすぐそばだったため、ボス部屋まで走って降りていく3人は少女のように笑顔で子供に戻ったようだった。


 ボス部屋の入り口は大きな門のような扉をしており、休憩もできるよう小さなスペースがあった。

 すぐにでも飛び出さんばかりの勢いの3人を落ち着かせ、軽食と水分を補給させる。

 ここまで苦も無く進んできたが、実際は4時間ほど経過していた。一度の休憩も取らずここまで来たため、エルの体力がだいぶ失われていた。ギルド職員として働いていたブランクがここにきて響いているようだった。

『平気ですよ、これくらい』と笑顔を作りナナシに向けるのだが、ナナシは『婚約者を無理させるわけにはいかない』と言って無理やりにでも休ませた。それを聞いたエルは嬉しそうにもじもじしている。


 1時間ほど休憩を取り、ボス部屋に突撃することを決意した一行。

 装備の確認も各自終え、大きな扉を開けて中へと入る。

 そこで待ち構えていたボスはCランクの魔物の中でも上位にあたる懐かしい魔物、3頭のキマイラだった。

10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。

読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。

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