第2話 覚醒、相棒誕生
「ふあ…あふ…よく寝た…ん?」
周りを見渡すと見慣れない草原。少し先には森のようなものも見える。
ミコトと別れる直前まで白一色の世界だったため、違和感しかない。
青い空、まばらに流れる白い雲。鮮やかな明るい緑の広い草原。所々にある灰色の岩。
「異世界…というか普通に地球にしか見えない…よな、やっぱ。
というか町とかも近くにないし、人影も見えない。
だだっ広い草原かー、なんもな『ギャッギャッギャー!ニンゲンダ!』…ん?」
声?のする方を振り向くと、緑色の肌、尖った耳、1mもない身長、脚よりも少し長い腕、その手には棍棒?のような木の枝を持った人型のナニかがいた。
「アイツ!ブキ!ナイ!ヨワソウ!クウ!」
「…俺のこと?武器は持ってないし確かに人だし…とりあえず『鑑定』」
種族:ゴブリン
状態:興奮
特殊スキル:なし
常用スキル:『超嗅覚』
「ゴブリンか!なるほど、確かに魔物だ。でも…俺と同じ言葉を喋ってる?」
---いいえ、これは『言語把握』による理解です---
急に脳内に声が響いた。自分でもない、ミコトでもない聞きなれない澄んだ女性の声。
「誰だ!人か!?どこにいる!」
---あなたのスキルです---
「コイツ、ヒトリデ、シャベッテル!コロス!ソシテ、クウ!」
「チッ…武器はねえけど戦うしかねえな…殴ったら倒せるか?」
---マスターの能力値であれば造作もございません---
自身の疑問に即座に反応し、脳内に声が響くようだ。ナナシはその類稀なる思考速度で即座に結論を出した。
(脳内で思えば伝わるか?どう戦えばいい!教えろ!)
---ゴブリンは右手で棍棒を上から下へ叩きつけるだけの攻撃を行います。
なので右手側へ回避し攻撃を行うのが最適でしょう---
(脳内で会話ができるのもすげぇな!よっしゃ、それを信じてやってみるか!)
この脳内での謎の声との会話、わずか1万分の1秒。ナナシの思考速度による圧倒的演算速度だった。
「イクゾ!ニンゲン!クッテヤル!」
その掛け声をすると同時にゴブリンが突っ込んでくる。
ナナシもそれに対して自然と構えを取る。自然体で、力みがない構えである。
脳内で聞こえた『声』の通りに右手に持った棍棒を上から下へ叩きつけてくるゴブリン。
しかしナナシにとって、それはとても遅く見え、ゴブリンの視線、棍棒の形、攻撃予測位置を確認する余裕があるほどだった。
『声』の通りにゴブリンの右手側へ半身で回避。そして思いっきり右足でゴブリンを蹴り飛ばした。
…蹴り飛ばした、はずだった。
まだ蹴り飛ばしていない!そう思い構えを取ると、そこには…
ゴブリンの上半身と下半身、二つに綺麗に分かれた死体が落ちているだけだった。
「え?思いっきり蹴った…よな、あれ?でもなんで…」
---マスターの蹴りにより生じた真空破がゴブリンへ直撃、切断しました---
「へー、真空破、へーなるほど…ってなるか!どんだけの速度で蹴ったんだ俺は!
…っと、そうだ。俺に話しかけてくる『スキル』を調べなきゃな。『鑑定』」
名前:ナナシ
種族:半人半神
状態:正常
特殊スキル:『収納』『鑑定』『吸収』『贈与『掌握』『隠蔽』『賢人』
常用スキル:『万能感知』『経験上昇』『言語把握』『魔法知識』『戦闘知識』
ステータス:測定不能
(…『賢人』?それが脳内に響く『声』の正体?)
---マスターの為に生まれ、存在し、最適行動及び最適解を生み出す存在、
それが私、『賢人』でございます---
(ふむ、なるほど。だが何故『ミコト』の前では発動しなかったんだ?)
---マスターが『隠蔽』スキルを確認した際『ミコト』なる天使が解析を発動。『隠蔽』を使用、私こと『賢人』を隠す、という行動をさせていただきました。存在が知られた場合、私ごと利用されていた可能性があります。マスターの為の私なので、それを防ぐために隠させていただきました---
(なるほど…やはりミコトはあくまで俺を利用しようとしていたのか。なぁ、『賢人』、お前の能力を知りたいんだが…)
---『賢人』、スキル所持者の疑問に対し迅速かつ最適解を生み出すスキル。特殊スキルながら成長、進化する可能性があるスキル。類似スキル及び同名スキルの存在は無く唯一無二のスキル。スキル所持者の許可があれば自在に所持者のスキルを発動可能---
(すごいな、『賢人』。要するに俺の完全サポートということだろう?
ミコトなんかよりもずっと頼れる相棒だな、これからよろしく頼むぜ!)
---マスターの御心のままに---




