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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第一章 目覚めと出会い
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第19話 再会、『賢人』解放

明日は10時、12時、14時の3回に分けて合計3話投稿します。

 ナナシ達が寝泊まりしている部屋にはベッドが2つしかなく、3人で使用すると足りないことになる。

 エルは顔を赤くしながら『ナナシさんさえよければ一緒に…』と提案してきたのだが、さすがにまだ一緒に寝るという考えには至らず、女性2人に使ってもらうことにした。自分は椅子に座り、毛布を1枚かけそこで寝ることにするのだった。

 その案を聞いたアスモとエルはとても残念そうに頬を膨らませていた。滅茶苦茶可愛い顔である。


 ナナシは色々と考えていたこともあって、精神的疲労が大きく、すぐ寝てしまう。

 その寝顔を見つめる影が4つに増えていたこともナナシは知らない。



「やぁ、久しぶりだねナナシ君。夢の中だけど少しお話しておこうと思って来てみたよ」



 ナナシは寝ていたはずなのに、声が聞こえてくる。そして気づくと、見覚えのある白い世界にいた。

 そう、ここはナナシが最初に蘇生された世界、死後の世界である。



「お前は…ミコトか。なんで急にここに俺を呼び寄せた?まさか俺はまた死んだのか?」


「夢の中って言ったじゃないか。大丈夫、今回は死んではいないよ。ボクの力を使って、君の夢としてここにいるだけだから。

 今日は大事な話を君にしておこうと思ってわざわざここに呼んだんだ。通話でもよかったんだけど、常に誰かが君と共にいるからね。こういったことでしか大人しく会話できなかったんだ」


「そういうことなら仕方ないな。話があるんだろ、ちゃちゃっと済ませてほしいんだが」


「わかったよ。もう既に君は気づいているかもしれないが、ボクは天使じゃないんだ。だから君の種族が『半人半神』となっている。これはいいかな?」


「だろうと思ったよ。んでその俺の種族が何か問題でもあるのか?」


「まだボクも半信半疑なんだけど、おそらく君の肉体はボクが作ったことにより、まだしばらく先の話にはなるけど神と同等の身体になる。

 別に悪いことがあるってことじゃないんだけど、不老になり、その身体から生まれる子もまた『半人半神』となってしまうかもしれないんだ」


「不老にはなるが、不死にはならないんだな。子供の話はともかくとして、俺の身体が神になっていくってのはなんとなくわかっていた。

 気づかぬうちに妙な能力を使えるようになっていたし、町に着いてから変な疲労感が出てきたからな」


「もしそれが本当であるならば…ボクの予想以上に進行が早いってことになるね。

 ボクの見立てだと半年くらいからその疲労感が気づかない程度で始まるんだけど」



 ナナシは疲労を感じるはずのない身体に違和感を覚えていた。

 精神的な疲労はともかく、なぜか肉体にも多少なりの疲労を感じていた。

 神と認めた『ミコト』によると、もっと後に、それもナナシが気づかないレベルの疲労が出てくるはずだったのだ。

 ミコト曰く、2年もしないうちにナナシは神と同等の肉体になるという。本来の『半神半人』の体質を持つ人は変化しきるまでに少なくとも50年くらいはかかるらしい。



「要するに俺はこの能力値のせいでこうなっているってことでいいんだな?

 ということは…原因はお前じゃねぇか!なんてことをしてくれてんだミコト!」


「ア、アハハ…えーと…ボク、一応神なんだけど…ごめんね?

 でもボクは君の潜在能力を引き出したに過ぎないんだ。君が今いる世界の『勇者』とか他の『転生者』たちはそこまでの潜在能力を持っていないんだ。

 ボクじゃない他の神たちがどうしているかはわからないけどね」


「俺以外の『転生者』や召喚された『勇者』も能力を弄られているのか?

 だが…そこまで脅威とは感じないんだよな。それも俺の潜在能力ってことか…」


「つまりはそういうことだね。よかったよ、君が暴君になったりするような危ない人物じゃなくて。

 まぁそうならない魂を持っていたのが君だけだったんだけどね。

 おっと、もうボクの力での接続が終わるみたいだ。

 最後に一つ、助言とプレゼントをしておくよ」


「助言?一体なんだ?そしてまたプレゼントか…」


「君はこれから平穏な生活を目指すのだろうが、他の神たちは君を神にさせないためにあれこれ画策してくるようだよ。

 君が大切だと思ってる人たちには思う存分能力を奮ってあげること。いいね?

 それとプレゼントはこれだ、えーと『贈与』…成功だね。起きたら確認してみるといいさ。

 君なら必ず使いこなせる。頑張るんだよ、ボクの大切な初めての友人、ナナシ」



 ミコトから最後に何かのスキルを送られ、ナナシの夢の中での意識が途切れる。

 相変わらずのお節介だな、とナナシは思っていた。

 そして気が付くと、自分が借りている部屋に戻っていた。寝るときのままの状態で。

 外を見ると空が白み始めていた。エルとアスモはベッドでまだ寝ていたので、ナナシは静かに屋上へ出たのであった。



「そういやなんかのスキルをあいつはくれたんだよな…『鑑定』、っと…なんだこれ!?」



 ミコトからもらったスキルを確認しようとして、『鑑定』で自分を調べるとこんなスキルが追加されていた。


 特殊スキル:『スキル生成』

 ありとあらゆるスキルの作成が可能。生成時、魔力を一定量消費してスキルキューブとして生成される。ただし、スキルの能力に応じて使用される魔力の量が異なる。


 スキルキューブ:登録されたスキルを外部から習得する際に使用される。迷宮にてランダムな常用スキルを付与された状態でたまに発見される。10㎝程の立方体の箱型をしている。



 わかりやすく言うならば、自分や周囲が所持していないスキルを生み出し、それを好きに習得できるというものである。

『スキルキューブ』という道具として生成されるため、他の人でも使用可能なものになる。

 ただし、迷宮で生成されるものは数が少なく、かなりの価値があり、生活系スキルでも一つ白金貨10枚近くの値が付く。



「本当にとんでもないスキルを渡してきやがって…どんだけ過保護なんだ、あいつは」


 ---『スキル生成』には魔力を使用する制限がございますが、マスターの魔力量であれば生成できないスキルは存在しません。試しに一つ作ってみてはいかがでしょう---


「作れないスキルが存在しない、ねぇ…んじゃ今思いついたスキルを作ってみるか。『スキル生成』」



『賢人』に従い、ナナシはあるスキルを作り出した。魔力をごっそり持っていかれたのだが、それでも10%に満たない量である。

 常人がもしこのスキルを使用しようとするならば、国を総出で魔術師を集め、ほとんどの魔力を込めてようやく発動できるというレベルである。

 そんなスキルを一人で使用しても10%にも満たない魔力の消費で済んだナナシだが、やはり魔力消費による疲労感が出るのであった。

 ナナシが作り出したスキル、それはこの世界に存在しない、ただ一つのものだった。



 特殊スキル:『思念融合』

 自我を持つ思念体を肉体を持つ生命へと変換するスキル。自我を持つ物質から抜き取ることも可能。生み出された生命体に対し『贈与』も可能。



「よし、うまくいった。早速だが使ってみるか。準備はいいな、『賢人』?」


 ---マスター、まさか私『賢人』を召喚するためにそのスキルを使用したのですか?

 理由は…はい、マスターの思考から読み取らせていただきました。マスターの指示に従います---


「よし、今まで俺の脳内でしか活動させてやれなかったからな。んじゃ行くぞ、『思念融合』!」



 ナナシは自ら生み出した『思念融合』を使用し、脳内でいつもサポートしてくれていた『賢人』を召喚する。

『召喚魔法』とは違い、ナナシから流れる魔力が直接人の形を作っていく。

 ナナシの持つ紅の魔力の色による光が薄くなっていくにつれて、その姿が露になる。

 綺麗な銀色のショートカット。青くぱっちりと開かれた瞳。適度な膨らみのある胸。

 背は160㎝ほどで、すらりとした体形をしていた。すれ違うものが皆振り返るような美しさを持ち、その立ち姿はどこか気品も持ち合わせているかの様だった。



「無事、スキルの成功を確認致しました。それに伴い、私に自我が芽生えたようです。

 自らで考え、行動し、発言する。こんなにも素晴らしいのですね」



 その声は、いつも脳内で会話して聞きなれていた『賢人』そのものの澄んだ綺麗な声だった。

10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。

読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。

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