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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第一章 目覚めと出会い
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第1話 命名、能力付与

「それは…その通り…なのかもしれないね。ごめんね、君の言う通りだよ。でも一つだけ訂正させてほしいんだ。『天使の駒』にするつもりはないよ。君は自由に生きてほしい。ボクの予想ではそれが『神』を助けることになるはずだから」



(自由に生きることが神を助ける?よくわからん。なんで好き勝手生きることが助けることに繋がるんだ?

 そもそも死ぬ必要がないなら元の世界に戻してくれればいいんじゃね?)



「話は分かった。じゃあ元の地球に返せば早いだろ。なんでそれをしない?」


「君はもう葬式も終わって親族や友人たちからもお別れが済んでいるんだ。そこに記憶を失ったとはいえ君がひょっこり生きていたら混乱は免れない。蘇生、復活が倫理的にあり得ない世界に送ることはできないんだ」


「その言い方だと俺が送られる予定の『別の世界』ならそういう考えがあり、日常的にとは言わないものの俺らで言う『黒魔術』的な行為が認知されている、ということになるぞ」



 確証はない。だが確信は持てる。なぜなら『倫理的にあり得ない世界に送る』ことができないとこの天使は言ったからだ。そうでなければ俺を送ることなんて考えられないからだ。



「君は本当に頭がいいんだね。その通り、その世界では『死者の蘇生』が何千年にも渡って研究されていてね。君のいた世界でゲームなるものにあるゾンビ、スケルトン、ゴーストなんかが蔓延る要因にもなっている世界なんだ。一括りで『アンデット』なんて呼ばれているけどね」


「なるほどな、その『死者の蘇生』が研究されているからこそ俺をそこに転生させても問題がない、と。

 失敗ではあるものの、ゾンビやらができてしまっている以上、成功例があってもおかしくはないと言いたいんだな」


「そう言いたいところなんだけど…蘇生自体はボクが済ませてしまっているから、君は転生ではなく転移、になるね。

 今のところ蘇生は一度の成功例もなく、全てアンデットと化している上に、何も蘇生の要素を弄っていないところに急に成功させてしまっては、アンデットが永遠に尽きないだけになってしまうだろう?」



 なるほど確かに。成功させてしまっては盲目的に同じ実験を繰り返すだけになってしまう。

 その上死体とは全く違う人間が現れるのもおかしい話になるな。

 転生じゃなく転移なら場所を選ばず好きな所に降り立てるわけだし。



「それに、君はしゃべり方を変えるだけでいいって言っていたけれど、それはボクを許したことにはならないんだ。君がよくても上が許さない。だから君にプレゼントというわけじゃないけど特別な能力を渡さないといけないんだ」


「特別な能力?魔法が使えるようになったり人間離れした能力になったりってか?」

「君に与えるのはまず言語。これから送る世界には共通語がある。それを日本語に読み書き発音できるようにする。会話が成立しないと始まらないからね。

 次に能力。この世界では魔法は日常的に存在し、魔力は生きとし生けるもの全てに存在する。もちろん君も好きに使える。

 最初に身体能力の向上のしやすさを与える。わかりやすく言うと経験値を取りやすくする。

 この世界の人間は地球人の一般人の1/10程度が平均なんだ。

 それに君の身体はボクが作った特別製でさらに数十倍になっている。現地人の数百倍の能力値がある、と思ってくれればそれでいい。そこにさらに経験値向上、技術も力もすぐ身に付くようにする。

 そして特殊スキルを与えるよ。この世界の人々にはスキルがあって、誰でも持っているし学ぶこともできる。魔法もスキルの一種だと思ってくれればそれでいい。そして…『ちょっと待て!早い!』」


「一つずつ消化してくれ、いくら処理速度がもともと早いと言っても蘇生やら転生やらでいっぱいだ。

 まず先に身体能力を向上させてくれ。そうすれば理解の速度も早まる」


「…君はすごいね。じゃあまず能力向上から行うね。目を閉じて力を抜いてリラックスしてほしい」



 言われた通りに脱力し、目を閉じる。そこに天使が右手をかざす。

 その右手が赤い光を帯びていき、少年の身体を纏うように赤い光が動いていく。



「…終わったよ。君の能力は生前の数十倍以上になっているはずだ。もちろん思考速度も」


「ふーん…特に変わった感じはしないもんだな。んじゃ次に言語能力をくれ」


「ああ、それも纏めて付与しておいたよ。だから特殊スキルを次に与えるね。

 まず『鑑定』(サーチ)、これは宝石や道具の能力を観ることで判断できる力だ。道具の品質も同様に観ることができる。それどころか人の能力や状態なんかも観ることができる。もちろん自分も。

 次に『収納』(ボックス)、『収納』はいわゆるアイテムボックスだと思ってくれればそれでいい。いつでもどこでも好きな数好きなだけ亜空間に収納することができる。

 次に『吸収』(アブソープ)『贈与』(リターン)、相手の能力を吸い取り自分のものとすることができる。

『吸収』は奪い取るわけじゃないからわかりやすく言うならコピー、かな。コピー対象は能力持ちならなんでも、だ。

『贈与』は自身のスキルを与えることができる。制限はあるけど、仲間に与えることで仲間に使わせたい能力を付与することができる。ボクが君に与えたみたいにね。

 最後に『掌握』(グラスプ)スキルをあげるよ。これは気を付けて使わないといけない。強制的に自分に従わせる、という恐ろしい能力だよ。ただ、解除も同じくすぐできるから問題はない…と思いたい。君を信用して与えるわけなんだから」


「ふーん…『収納』、『鑑定』、『吸収』に『贈与』、そして『掌握』…か。なるほど。

 おっ、俺自身にもスキルがあるんだな。『隠蔽』(ハイド)ね…なるほど。スキルや能力値を隠せたり偽造したりできるのか。便利だな」


「えっ、そんなはずは…そうか、『隠蔽』自体が見えないのか。なるほどね。

 とにかく、これらの特殊スキルを君に与える。特殊スキルは『贈与』できないからね。

 そのままの状態で大丈夫だよ。今度は一瞬で…ほい、終わり。自分で『鑑定』してみなよ」




 名前:???

 種族:???

 状態:仮死

 特殊スキル:『収納』『鑑定』『吸収』『贈与』『掌握』『隠蔽』『   』

 常用スキル:『万能感知』『経験上昇』『言語把握』『魔法知識』『戦闘知識』

 ステータス:測定不能




「名前と種族が不明、状態が『仮死』はわかる。『常用スキル』ってのはなんだ?」


「それがさっき言ったこの世界の人が学び、取得できるもの。そして『吸収』『贈与』できるもの。

 そして『常用スキル』は統合し、成長もする。君が持つ『万能感知』、『言語把握』はそれぞれの最たる能力だね」


「んで…俺自身のステータスを調べようと思ったんだけど測定不能ってなって見れないんだが」


「測定不能!?そんな…ボクですら表記されるのに君はもうボクを遥かに超えているのか…」


「それとあと一つ。特殊スキルの名前が無く、その効果も見れないものがある。これはなんだ?」


「…名前が見えない、効果も見れない…もしかするとそれは転移されたら判明するかもしれない。

 あと一つ、渡すのを忘れていたものを渡しておくね。この世界での通貨にあたる金貨を20枚。

 これだけあればやりたいことを探して安定させるまでもつだろう」



(銅貨、銀貨、金貨、白金貨、王金貨の順で価値が上がっていく。

 銀貨10枚で金貨1枚、銅貨1枚辺り100円相当)



「あとは向こうに着いたら『収納』の中にいくつか使いそうなものを入れておいたよ。他に君自身が欲しいものなんかはあるかな?」


「んー…地球の情報を入手する手段が欲しい。わかりやすく言うなら携帯電話だな」


「なるほど…それじゃオマケでボクへの連絡先も追加しておこう。地図なんかも向こうの世界が見れるようにした特別製を渡そう」



 そういうと天使は両手を胸の前で合わせ、「創造」と小さく呟いた。

 小さな光とともに開かれた掌の上に、地球で馴染みのある黒い『i〇hone』が浮かんでいた。



「本来は電力が必要なんだけど、君の魔力や太陽光、『魔素』と呼ばれる空気中に存在する魔力の素でも維持できるように改造してある。ネットも地球の物が見放題にしてあるから存分に使ってね。

 それじゃそろそろ君を向こうの世界に送り届けるけど…準備はいいかな?」


「おう、わかった。とりあえず好きに生きるわ。たまには話し相手になってくれや、天使…じゃ呼びづらいな。勝手だが『ミコト』って呼ばせてもらう。命をくれたしな」


「ミコト…うん、ありがとう。君にも名前をあげるよ、名無しのままじゃ不便だろうから…

 そうだな、名前が無い、で『ナナシ』でどう?安直だとは思うけど」


「ナナシ、か。名前としてどうかと思うがまぁ無いよかいいや。ナナシ、と名乗らせてもらう。

 色々と感謝するぞ、ミコト。ナナシの初めての友人として。名付け親として」


「ふふ…君をいつでも見守っているよ。それじゃお別れだ。バイバイ、ナナシ」



 その言葉を最後に、ナナシの視界は真っ白に包まれ、意識を溶かしていく。

10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。

読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。

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