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ナナシの使い(仮)  作者: りふれいん
第一章 目覚めと出会い
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第12話 冒険者ギルド、テンプレ

「えーと、俺に説明しろ、シルビィ。なぜ俺らはに囲まれてる?しかももれなく全員武器を構えてるんだが」



 カイトシールドの前に剣と杖が交差するようなデザインの看板を掲げた看板の、町の中心部に建てられた大きな木造の建物。これがこの町の『冒険者ギルド』である。

 ある一定の大きさの町にはそれぞれの国に仕える領主がおり、その領主が治めている町にはほぼ冒険者ギルドがある。

 エレン達3人の案内で『ファスター』の町のギルドに入ったのだが、入って早々冒険者らしき服装のゴロツキ数人に囲まれたのだった。



「うーん、多分ウチとエレン、アスモさんの美女3人を連れた、見慣れない男が入ってきたからじゃないかな?

 多分この後続くセリフもナナシクンの予想通りだと思うよー?」


「何ゴチャゴチャ話してやがる?そこの弱そうなにーちゃん、金と女置いてとっとと失せな、俺たちが貰ってやるからよ」


「あー、うん、テンプレ通りの何の面白みもない雑魚が絡んでくる一種の通過儀礼ってやつか、本当にわかりやすい説明で助かったわ。

 あ、受付の人ー、対応は俺に任せてもらってもいいかい?」



 ナナシが男どもを無視して受付の女性に声をかけると、とてもいい笑顔で親指を立て、強く頷いた。

 どうやらここのギルドで問題ばかり起こし、迷惑をかけている集団の様だった。

 それを見たナナシはとても嬉しそうにニヤリと悪い笑顔を男どもに向けた。



「んじゃお前ら。邪魔だからロープ無しバンジーの旅をプレゼントするわ、行ってらっしゃい」


「は?お前何を言って…!?」



 ナナシがそう言うと、絡んでいた男たちは一斉に外に吹き飛ばされ、天高く上空へと飛んでいく。

 数秒後、ドサっという音とともに地面に激突する音が聞こえる。風魔法を使って邪魔だった男たちをもれなく全員追い出したのだった。

 死なない程度にダメージが入るようにはしたが、数人は骨折や脱臼をしてしまったらしい。

 一連の流れを見ていた野次馬やギルドの職員たちは、驚きにより硬直してしまったようで、誰も声をあげることもなく静かにナナシを見つめていた。



「うむ、調整もばっちりだな。誰も死んでないし俺自身の手も汚していない。実にスマートに解決だ」


「さすが旦那様!素晴らしいお手並みですわ!私なら一瞬で消し飛ばすところでしたわ」


「さ、さすがナナシクンだね…いつもウチはコソコソ隠れて移動してたからこんなことになったの初めてだけど、あっという間に解決しちゃったね。ってエレン?どうしたの、そんな青い顔して…」


「だ、だってこんなことになったの初めてなんだもん。シルビィといつもフードを深く被ってたし、ほとんど喋らなかったから絡まれることなんてなかったもん!

 あの目つき、短絡的な考えしか持たない思考、そしてあのブサイクな顔…思い出すだけで鳥肌が立つわよ…」


「あ、お姉さんここで冒険者登録でいいんだよね?俺とこいつの二人分登録したいんだがいいかな?身分を証明できるものが無くて…って大丈夫?」


「…はっ!すいません、あっけに取られておりました!はい、登録はこちらでできます。

 えっと…個室の方でご案内させていただきます。こちらへどうぞ」



 未だに事実を飲み込めていないエレンとシルビィを横目に、受付の案内に従い個室に移動するナナシとアスモ。

 そして何故かナナシと会話をした受付の女性は頬を赤く染めていた。一緒に町へ向かっていた一行は既に慣れていたから忘れがちなのだが、ナナシは10人の女性に聞けば10人が認めるイケメンである。

 そんなイケメンが鮮やかに問題を解決し、見惚れていた自分の所へ来て冒険者登録を求めるものなので、咄嗟に本来ではあり得ない個室へと案内してしまったのであった。



「査定終わったぞ…ってエレン、シルビィ、何してんだ?ってナナシ達はどこへ行った?冒険者登録しに来たんじゃなかったのか?」


「あ、ドルフ…なんかナナシ達は応接室の方へ向かったみたいよ。多分チンピラたちを撃退してたから、それについての事情聴取も兼ねているんじゃないかしら…」


「チンピラ達…って外でぶっ倒れてるあいつらか?おいおい10人くらいいるじゃねぇか…まぁ物凄い手加減したんだろうな、扉とか一切壊れてないし、他の人にも被害がないようにしてる。さすがだな。

 っと、こいつが査定の分け前だ。一人頭金貨15枚ってところだ。狩りすぎだって怒られちまったがな」


「金貨15枚!?そんなに…ってアタシたちはほとんど倒してないけどね。9割くらいナナシが倒してたし…後で渡しましょ」


「ウチもエレンの意見に賛成!だけどドルフはいかにも手放したくないって顔してるね…

 予想だけど、ナナシクンはそんなのいらないって言うと思う。『道案内の報酬」とか言いそう」



 一人離れていたドルフは、ナナシ達が絡まれる前に素材の買い取り査定に向かっていたため、事の顛末を見ていなかった。一般人からすればあり得ない行為だが、『ナナシだから』という理由で落ち着いたようだ。

 エレンとシルビィはナナシにも取り分があるという発言をしていたのだが、ドルフは違った。

 なぜならば、今回の往復で使っていた愛用の斧(銀貨8枚の価値)の刃の部分が大きく欠けていた為、装備を新調しようと考えていたからだ。

 前線を張る役職のドルフにとって、武器や盾は生命線であり、盾役の命とも呼べるからである。


 一方、応接室に移動したナナシ達はというと。



「冒険者登録ってササっとできるものじゃないのか?一々個室に入る必要があるなら結構手間だと思うんだが…」


「い、いえ!本来ならば受付窓口で少しお時間を頂ければ済む作業になります!

 えっと、今回個室にお呼びしましたのは、先ほどの騒動についてのお詫びと、上からの命令でして。

 それと私の個人的な理由もございます。手間をかけてしまい、申し訳ございません」


「ああ、そういうことね…って個人的な理由もあるのかよ!えーと、とりあえずここに名前を書けばいいのか?他に何かする必要があったりするか?」


「はい、後はお二方の血を頂きます。冒険者に渡されるプレートがあるのですが、血を垂らすことにより所有者登録がなされます。他人に万が一盗まれたときに、偽造防止やなりすまし対策ですね。

 後は上からの、というか所長からお話いただけると思います」


「ふーん、所長ね…所長?ここの一番偉い所長か!?どうしてまた…」


「ふむ、貴殿が先ほどの争いの火種か。なるほど興味深い。ようこそ冒険者ギルドへ」



 応接室の入り口から入ってきた、筋骨隆々なおっさんがいきなり話しかけてくる。

10時、14時の2回に分けて1日2話ずつ投稿を目標にしています。

読みづらい、こうした方がいいなどのアドバイスがあればコメントいただけると幸いです。

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